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しろくま先生のブログ
しろくま歯科医院より歯にまつわる楽しいお話や、
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当院では、心停止の救命措置に必要なAED(自動体外式除細動器)を設置しております。

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2008年8月20日 (水)

口臭に悩んでいる人ほど臭くない

本日は、西川義昌先生の「知っておきたい歯と口の健康学」よりお届けいたします。

口臭に悩んでいる人ほど口は臭くない

最近、“口臭外来”の看板を掲げる病院、歯科医院をちらほら見かけるようになりました。1999年の保険福祉動向調査では、日本人のほぼ7割が「歯や口の中の悩みや気になること」があると答えており、そのうち口臭を悩みにあげている人は14.5%(複数回答)で第4位となっています。すなわち、およそ7人に1人が口のにおいを気にしていることになります。

口臭の悩みをもつ人を、男女別に見ると、男性が15.8%、女性が13.2%で、男性の方がやや多く、年齢別に見ると、45~54歳が最も多く、次いで55~64歳となっています。

口臭を治療してほしいと歯科医院を訪れる人は、妻(夫)に口が臭いといわれた、孫にいやな顔をされたなど、他人に指摘されて口臭が気になり出したというケースがほとんどです。では、口臭は何が原因で発生するのでしょうか?

ひとくちに口臭といっても、発生原因や症状から大きく次の4つに分類されます。

  1. 生理的口臭・・・誰にでもある口臭。一日の生理的なサイクルや、心身の状態、加齢によるものなど。起床時口臭、空腹時口臭、緊張時口臭、老人性口臭
  2. 病的口臭・・・口腔内に原因があるものと全身的原因(呼吸器・消化器・耳鼻科領域など)によるものがある
  3. 食餌性口臭・・・食品による一時的な口臭。納豆やニンニク、アルコール、喫煙によるもの
  4. 心因性口臭・・・他人には全然臭わないのに、自分だけが口臭があると信じて悩む。自臭症あるいは口臭恐怖症ともいいます。

このうち、口臭治療の対象となるのは病気や不潔によって生じている口臭です。そして、その口臭の8~9割の原因は口腔内にあり、全身的なものはほとんどありません。

ニンニクを食べた後、いつまでもくさいにおいが残ることから、口臭が胃から来ていると信じている人も多いようですが、胃からガスが上がってくるのはゲップをしたときくらいで、あのニンニクくささは実際には口に残っている臭いです。

では、具体的に口の中のどこに臭いの発生源があるのかといえば、これまた一般に信じられてきたように歯垢や歯石ではなく、むしろ舌苔や舌の付け根当たりの部分です。舌苔とは、舌表面の糸状乳頭という上皮組織が毛のように伸び、そこに口腔粘膜がはがれたものや食物のカスがたまり、細菌が繁殖して、白っぽく苔が生えたように見えるものです。

歯垢と口臭では、関与する細菌の種類が違うことが指摘されています。口臭のにおいは、汗のにおいと同様、細菌が代謝(分解)した産物でどんな栄養素を代謝するかというと、主としてタンパク質を中心にした食物のカスや、後鼻漏(こうびろう)などの体液です。

もちろん、歯垢や歯石がまったくにおいを発しないということではありません。それに、口に残ったタンパク質の多くは糖と結合して糖タンパクの形で存在しており、その糖を歯垢を作る細菌が分解し、結果的にタンパク質分解細菌の活動を助けているからです。

口臭は、ただ一種類のいにおいではなく、何百種類もいる口腔細菌のどれかが作り出す多数の化合物が入り混じった混合臭です。悪臭の正体は、主なものだけでも、硫化水素(卵の腐臭)、メチルカプタン(糞便臭)、スカトール(糞便臭)、カダベリン(死臭)、プトレシン(肉の腐臭)、イソ吉草酸(足のむれたにおい)などがあげられます。これでは口臭がくさくないはずがありません。

ところが、著者の経験からいって、口臭に悩んでいるといって歯科医院を訪ねてくる人の口はそれほど臭いません。歯の治療に来ている患者さんのなかには、もっとひどい臭いを口から発散させている人がいるにもかかわらず、そうした人たちは口臭のことなどまったく気にもとめておらず、さわやかな息の人のほうが悩んでいるのです。軽い口臭恐怖症だといえるような状態です。

しかし、なぜ、口臭に悩んでいる人の息ににおいがないのでしょうか。それは、、その人達が口臭を気にして、常に歯を磨き、うがいをし、洗口剤を使うなどして、口の中を清潔にしているからです。

周囲の皆がにおわないといい、歯科医もそう断言しているにもかかわらず、それでも口臭が気になってしかたがないときは、神経科のカウンセリングを受けた方がよいケースもあります。

新潟大学予防歯科の調査では、口臭外来を訪れた人の4割に実際に病的口臭がみられたものの、半分以上の6割は誰にでもある生理的口臭を病的なものと誤解して来院したものだったといいます。そして4%の人が、精神的な面から治療が必要な口臭恐怖症と診断されたそうです。

ほとんどの口臭症は、口の衛生管理にきを配ればよくなります。

参考文献 知っておきたい歯と口の健康学 西川義昌著 山海堂

2008年8月 1日 (金)

退化型の若者たち2

本日も昨日に引き続き、丸橋先生の著書からお届けいたします。

◇生物の形態は美しい左右対称

魚は泳ぐために、鳥や蝶は飛ぶために、現在の形態を獲得してきました。人間も含め、あらゆる生き物は必要な能力を得るために進化を遂げてきましたが、結果的にその形態は美しい左右対称形であったといっても過言ではありません。

魚も鳥も蝶もトンボも蝉もカエルも蛇も猿もヒトも、ほとんど狂いのない美しい左右対称形に仕上がったのです。魚の美しい左右対称の流線型、薄くて強いヒレ、左右まったく同じ位置にあって同じ形態の目、それらは最も能率的に、速く、巧みに水中を泳ぐために必要で、理にかなった洗練し尽くされた形態なのです。

もし、それらの形態が左右非対称であれば、重心に狂いが生じ、左右の能力にも差が生じ、能率的に巧みに動く能力は発揮されにくくなることは容易に理解できます。

左右対称形で重心が中心にある形態が最も合理的に能力を発揮するという原則は、人間が作った多くの機械や道具にも見られます。飛行機や潜水艦のなんと鳥や魚ににていることか。

ところが近年、人間の形態に大異変が生じています。進化の過程で美しい左右対称形に出来上がった体形が崩れ始めているのです。顔や体の形態が明らかに歪んで非対称となっています。顔が曲がる顎偏位症や、脊柱が曲がる脊柱側弯症などはすでに注目されています。

しかし、よく観察すると、左右の目の位置や大きさ、形態も多くの若者で非対称となり、鼻、口唇、頬部の形態も明らかに歪んでる人が多くなっています。そして、これらの顔や体の歪みは、歯列弓(歯ならびのアーチ)の歪みとはほぼ相関関係にあると見られます。

「使わないものはだめになる」というのが生物の退化の原則です。

近年、日本人がとみに軟らかい物を食べるようになり、使う頻度のすくなくなった咀嚼器官である口から退化が進み、顎骨が小さくなり、それによって歯列弓が小さくなって乱杭歯(歯列不正・凸凹した歯並び)となり、噛み合わせが狂った結果、下顎の位置が偏位したのです。

下顎位が偏位すると顔形は非対称に歪むが、そればかりではなく、首から上の部分の重心も偏位します。これが引き金となって、脊柱が弯曲hし、側弯症となります。姿勢はグニャグニャと曲がり、本来の美しいシルエットが崩れます。

そして、もっとも深刻な問題は、形態が崩れた結果によって生じる能力の低下や著しい不快症状の発症です。それによって活力が低下して元気がなくなり、気力も萎え、集中力、持久力も低下します。視力や頭の働きまで低下するのです。これら生物学的能力の低下が基本にあって、学んだり遊んだり働いたりする気力のない若年者が大量に出現していることをまず理解してもらいたいのです。

参考文献 退化する若者たち 丸橋賢著 PHP出版 

2008年6月29日 (日)

再石灰化を促進するミネラルパックで

本日は、株式会社GC(ジーシー)による健康マガジン「ヘルシーダイアモンド」に掲載された東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科の田上順次教授のインタビューの記事をご紹介いたします。

☆食事のたびに小さなむし歯が出来ている

私たちが一般的に“むし歯”と呼ぶのは、歯に穴が開いていて着色が生じてしまった状態を示すことがおおいです。しかし実際に口の中では、目に見えないレベルで歯が溶けてむし歯が出来き、それを修復するという作業が毎日繰り返し行われています。これが、歯の「脱灰」と「再石灰化」であります。

歯の表面のエナメル質を形成しているのは、ほとんどが「カルシウム」と「リン」というミネラル成分でありますが、これらはごく弱い酸性度(pH5.5)で溶け出してしまいます。

食事をしたり甘い飲み物を飲んだりすると、口の中に生息しているむし歯の原因菌が糖を取り込み、分解して酸を生成します。この酸によって、歯の表面からミネラル成分が溶け出すことを、「脱灰」といい、この状態が続くと本格的な“むし歯”ということになります。

この「脱灰」を食い止める役割を果たすのが、唾液です。唾液は、酸を洗い流して口内を中性に戻すばかりではなく、唾液中に含まれるカルシウムやリンなどのミネラル成分が、歯に取り込まれて修復の材料をなります。これが「再石灰化」と呼ばれる現象です。

むし歯を発症させないための「内科的齲蝕治療」を研究する田上教授は、「脱灰と再石灰化のバランスが保たれていれば、むし歯は出来ないはずです。しかし、歯が酸にさらされる時間や回数が多いと、歯の脱灰が続き、再石灰化が追いつかずにむし歯が進行してしまいます」と警告します。

つまり、三度の食事以外に間食をする回数の多い人や糖分を含んだ飲み物を飲む機械が多い人、また唾液の分泌量が少ない人などは、むし歯のリスクが高くなります。

柑橘系のジュースやお酢なども酸性が強く、むし歯ではないが歯を脱灰する要因になります。またビールやワインなどのアルコール類も酸性であるため、長い時間をかけて酒を飲むことも、脱灰のリスクを高めることになります。日常の中に、脱灰と再石灰化のバランスを狂わせる生活習慣がないかどうかを見直すことも、むし歯予防の大切な要素です。

☆歯にミネラル成分を補う「MIペースト」

再石灰化を促す環境を整えるためには、必ず食後の歯磨きを行い、口の中に酸を作る糖を残さないことです。また、むし歯菌の塊であるプラークやそれが固まった歯石を徹底的に除去するために、定期的に歯科医院でのクリーニングを受けるのも効果的です。

最近では、再石灰化を促すミネラル成分を歯に浸透させる「ミネラルパック」も注目されていいます。これは、牛乳由来の成分であるCPP-ACP(リカルデント)を配合した「MIペースト」というものを、パックするように歯に塗る方法です。

「MIペーストには、唾液と比較するとはるかに高濃度のカルシウムとリンが含まれています。これを使うことで、脱灰によって失われたミネラル成分が効率よく歯に再吸収されます(田上教授)」

使用方法としては、まず歯磨きを行い口腔内を清潔にした後、綿棒などを使って歯全体にペーストを塗布するだけです。牛乳成分由来なので安心して使うことが出来ます。10~30分程度したら軽く口をゆすいでも良いです。もっと効率的に行うためには歯型から作る「カスタムトレイ」というものにペーストを塗り、歯全体に被せる方法もあります。

「歯磨きの後にミネラルパックを行うことで、通常よりも再石灰化がより促進されます。また、歯の隙間に残ったペーストの働きによって口内が酸性になりにくい状態を維持出来るため、むし歯予防の相乗効果も高まるでしょう。

さらに、知覚過敏を起こす歯の象牙質の微少な空隙にもカルシウムやリンが取り込まれるため、症状が緩和される効果もあります(田上教授)」

これまでのむし歯予防は、歯磨きによって糖や虫歯菌と取り除き、唾液により再石灰化を待つしかありませんでした。しかし、「MIペースト」を使うことで、攻めの予防”を行えます。

むし歯になりにくいじょうぶな歯を作るためにも。必要なものを補給してやるケアが行えるわけです。丈夫な歯を作るためのミネラルパックは、新しい時代のむし歯予防法といえます。

2008年6月27日 (金)

歯の無い人は寝たきりになりやすい

本日は吉川涼一先生の著書よりお届けいたします。

歯のはい人は寝たきりになりやすい?

「虫歯や歯周病で歯を失ってしまった人は、老後寝たきりになりやすい」という統計結果をご存じでしょうか。

若い頃からはを大切にして出来るだけ歯を残すことが、老後の幸せにも繋がるというお話です。

統計的に見ると、歯を失った人はそう出ない人に比べて、寝たきりになる確立は10倍、アルツハイマーになる確立は4倍高いと言われています。

また、日本歯科医師会が薦める「8020(ハチナルニイマル)運動」(「80歳になって20本以上、自分の歯を残しましょう」という運動)の中で行われた調査では、お年寄りの歯がどれだけ残っているのかということと医療費のあいだに明らかな関連があることがわかりました。つまり、残っている歯の数が多い人ほど、医療費が安かったのです。

ちなみに、兵庫県歯科医師会が高齢者を対象に行った調査では、残存歯20本以上の人と、まったく歯のない人では、1ヶ月の医療費に1万5000円もの差がありました。

歯は、健康のバロメーター。歯を失ってしまうと、健康を維持している生活活動の一部が狂ってしまうので病気になりやすいのです。それが、この統計結果に現れていると思います。おろそかには出来ませんね。

参考文献 金属アレルギーと歯科治療 吉川涼一著 現代書林

2008年6月14日 (土)

応急処置あれこれ2

本日は、昨日の続きです。

本日も清水先生の著書からお届けいたします。

出血が止まらない

歯医者で抜歯などの外科処置を受け、血が止まらない時は、まず圧迫します。この時、麻酔は切れていますので痛みがありますが、30分から一時間、ガーゼ、なければティーバッグなどの柔らかいものを咬んだままでいるとほとんど止まります。

軽度の出血の場合は、圧迫で止まるはずです。ただ、薬を服用している時、たばこを吸う人、歯肉が感染している時の抜歯などでは血が止まりにくいことが多いのです。また圧迫しているつもりでも、話しをしていると、かえって咬んでいる物で傷口をたたいていることもありますので、なるべく咬んだ歯を離さないようにしゃべってください。

たばこを吸う人や血の味が気になって傷口を吸ってしまう人は一週間程度、唾液に血がまじることがあります。出血量が多く見えますが、それはたばこを吸うリスクと考えてください。

それでも血が止まらない時

血液の病気や坑凝固剤を服用している人は、本当に止まらないことや、輸血しないと止血できないこともあります。大事にきちんと全身疾患の有無、薬の服用について担当医に話すようにしてください。そして、とにかく病院につくまでは圧迫しておいてください。

歯が抜けた

打撲などで歯が抜けた時の予後は、再植するまでの時間が出来るだけ短い方がいいので、出来るだけ早く歯科医を受診してください。頭を打った時は脳神経外科が先ですが・・・。

抜けた歯は出来るだけ清潔に生理食塩水などにつけて歯の頭を持つようにして持参してください。

顎がはずれた!

とにかく歯医者か、病院を受診することが一番いいでしょう。

通常そのまま上や下に押す方がいますが、これでは痛いだけで元にもどりません。両方の下の奥歯の上に柔らかい物をおき、まず下に押し下げて手前にすこし回転させ後ろに押せばもとに戻りますが、これはコツが必要なので病院を受診することをお勧めします。

参考文献 見えないから怖い 口の病気 清水敏之著 早稲田出版

2008年6月13日 (金)

応急処置あれこれ

本日は、清水敏之先生の著書「見えないから怖い口の病気」からお届けいたします。

応急処置あれこれ

歯が痛むとき

痛いときはとりあえず安静にし、我慢できない時は出来れば今まで服用してアレルギーの無かった痛み止めを服用する方法もあります。

しかし、これらは根本的な治療ではないので、出来るだけ時間を都合して歯科医に行かなければなりません。針を刺したり、マッサージをして膿みを出すなどの応急処置に本に記載されていますが、消毒の問題や、膿みを広げる危険を考えれば、先進国で生活しているのなら必ず歯医者に行くべきと考えます。また入浴、運動は避けてください。

腫れた時

歯が原因で腫れた時は決して冷やさないでください。病院によって流儀はありますが、一般的に冷やすのは打ち身の時だけで、細菌による感染には逆効果です。

通常、細菌感染や傷は血液中の成分によって打ち身などの時だけで、細菌による感染には逆効果です。

通常、細菌感染や傷は血液中の成分によって治癒するのですが、冷やすと血管が細くなります。当然血管の中を通る血液量も減少し治癒が遅れます。それでもやっぱり冷やしたい時は濡れタオルにしておいてください。氷などは避けてください。

腫れることは身体の中に異常が生じ、その異常に対処するために反応する身体の防御反応です。腫れること自体が悪いのではなく、その原因を治癒しないと駄目なので、腫れは病状の程度の診断材料にはなりますが、腫れだけを積極的に消すことはあまり意味がありません。

腫れに伴う痛みは、たまった膿が健康な組織を押すことによって痛みを生じるため、医療機関で膿みさえだせば痛みは消えていきます。

膿みをさす方法としては、歯肉だけの小さな腫れにおいては肉の下が骨なのでマッサージで対処する方法もありますが、膿みの出口がないのにマッサージしてしまうと、膿みを身体の他の部分に押し込む事もありますので、すこし大きく腫れた時や顔の外まで腫れた時はマッサージをしないでください。しかし、患者さんがその判断をするのは難しく、歯科医の指導の下で行うことが良い方法です。

また、抗生物質(化膿止め)を服用して三日以上経っても改善しない時は、原因の悪化に身体の防御反応が追いついていないか、薬の変更が必要なので歯科医を受診すべきだと思います。

明日へ続きます。

参考文献 見えないから怖い口の病気 清水敏之著 早稲田出版

2008年6月12日 (木)

虫歯や口の中でこうして生まれる

本日は、花田信弘先生と井田亮先生、野邑浩美さんの著書「むし歯・歯周病」よりお届けいたします。

虫歯は口の中でこうして生まれる

歯を失う原因の第一に、虫歯があげられます。虫歯はどうやってつくられるのでしょうか。最新の知識をもとに解説していきましょう。

歯の表面は、エナメル質という人間の体の中でもっとも硬い組織で覆われています。エナメル質が歯そのものをしっかり守っているわけです。そのエナメル質を唾液が常におおっています。

ところが、虫歯の原因であるミュータンス菌がたくさん口の中にいると、その菌がエネメル質に取り付いて、食べ物の中に含まれている砂糖を餌にして、乳酸や酢酸を作り出し、その酸のせいで虫歯菌が作られていくのです。

虫歯菌がエナメル質に取り付くと述べましたが、ミュータンス菌が砂糖と出会うと、グルコシトランスフェラーゼ(GTF)という酵素を分泌して、ねばねばしてくっつきやすい粘着性の強いグルカンというものを作り出します。

このグルカンが菌の表面にべったり付いて、そこでいろいろな菌が集まってきます。歯垢(デンタルプラーク)と呼ばれるものです。歯垢は食べ物のカスのように見えますが、すでに細菌の集団なのです。

最初のうちは歯ブラシでこすればとれますが、しだいに厚みをまし、その中で菌が増殖して、膜を作っていきます。これが「バイオフィルム」です。

このバイオフィルムにおおわれた歯は、ミュータンス菌が出す強い酸によって溶かされ、虫歯が出来て行くのです。

プラークを作らない、バイオフィルムを作らせない、これが虫歯の本格的な治療であり、予防なのです。

歯周病も細菌によって起こりますが、その細菌もバイオフィルムの中にいるのです。

参考文献 むし歯・歯周病~もう歯で悩まない 花田信弘、井田亮、野邑浩美 著 小学館

2008年5月24日 (土)

ブラキシズムに注意

本日は、歯科材料のGC(ジーシー)株式会社から歯科医師向けに出された小冊子「ヘルシーダイヤモンド」よりお届けいたします。

睡眠中の歯ぎしり「ブラキシズム」に注意

睡眠中の“病的な歯ぎしり”

歯の表面がすり減り、被せものがしょっちゅう取れる。

朝起きると顎に疲労感や不快感があったり、こわばったりしている。そしてこの半年以内に2度以上、人から「寝ている時に歯ぎしりをしていた」と言われた人は、要注意です。

「ブラキシズム」という、口の異常な習癖を“病的”に起こしている可能性があるからです。

ブラキシズムとは、上下の歯をすりあわせて音を出すグラインディング(いわゆる「歯ぎしり」)、音は出さないけれど歯を強く噛み合わせるクレンチング(「噛みしめ」)などの運動障害の事をいいます。

緊張のあまり歯を噛み締めるなどは昼間でも起きますが、ブラキシズムは主に仮眠も含んだ睡眠中に生じます。

人はものを噛んだり唾液を飲み込むときに上下の歯が接触しますが、それは1日15分前後で非常に短いものです。その他に、重いものを持ち上げる時などを除くと、上下の歯を常に2ミリほど離れていて接触していません。

しかし睡眠中には健康な人でも「歯ぎしり」や「噛み締め」といったブラキシズムを一晩に15分前後も行っています。それが長時間に及び過度になってきますと、“病的”なブラキシズムとなり、口の中や周りの問題が起こってきます。

病的なブラキシズムは全身に関わる問題

ブラキシズムの研究を長年にわたり行ってきている小林義典日本歯科大学教授は、「病的なブラキシズムは、睡眠障害や情動のストレス、自律神経系の問題も起こす全身的な疾患として注意しなければなりません」と語ります。

病的な歯ぎしりや噛みしめの力は、ガムを強く噛んだときの数倍から数十倍に達するといいます。病的なレベルの歯ぎしりが続くと歯がすり減ったり、義歯や冠が壊れたりするだけでなく、咬筋の肥大による容貌の変化や強烈な肩こり、耳の障害、顔面頭部の痛みなどを起こします。またブラキシズムは、顎関節症、情動ストレス、睡眠障害、特に睡眠時無呼吸症候群なども起こします。

特にブラキシズムは眠りを浅くし、レム睡眠を阻害する睡眠障害を起こすことに注意しなければなりません。また、病的レベルの歯ぎしりの約80%が、睡眠時無呼吸に密接に関連しているこが確認されています。

さらに、この約70%が危険な中枢型の睡眠時無呼吸であることが分かっています。

「歯を噛みしめない」と自己暗示を

睡眠中になぜブラキシズムが起きるのかについてはまだ分かっていないと小林教授は次のように説明します。

「病的なレベルに増大させる原因としては、精神的ストレスに代表させる〈咬合問題〉が議論されています。歯ぎしりと情緒的問題との関係を長期に調べた臨床研究では、両者の密接な関係が認められています。ただ、この場合の歯ぎしりは、1日くらいで元に戻る一過性の反応で、危険性が少ないと言えます。

一方、咬合問題で私たちは、健康な人の下の奥歯に厚さ0.1ミリの小さな干渉を付与してかみあわせを変化させ、睡眠中の生体現象の変化を見ました。その結果、干渉を付与すると、歯ぎしりが持続的に増大すること、顎関節症に匹敵あする機能障害の症状が出ることに加え、情動ストレス、自律神経系の機能の変化、睡眠障害を起こすことが分かりました。」

このことから、病的レベルの歯ぎしりを持続させる要因の一つとして、微細な噛み合わせの問題が重要となります。

メカニズムがまだ解明されていないので、治療法は対処療法となります。中でも、寝るときに歯にスプリントを装着する「スプリント療法」が歯ぎしりをなどを質的に軽減させることが分かっています。また、「歯はわずかに離して寝る」などと、就寝間に繰り返して唱える「自己暗示療法」や、「薬物療法」、「行動療法」、「理学療法」なども効果があるといいます。質の良い睡眠を確保するためにも、ブラキシズムの兆候や症状がある人は、歯科専門医の受診をおすすめいたします。

2008年5月 9日 (金)

加齢とともに起こるドライマウス

本日は、吉川涼一先生の著書「金属アレルギーと歯科治療」よりお届けいたします。

加齢とともに起こるドライマウスの弊害

パソコン画面を見つめ続けると起こりやすい「ドライアイ」は、新しい職業病として注目されるようになりました。唾液が出にくくなる「ドライマウス」も、いま非常に増えていて、この症状を抱えている人は、800万人にものぼると推定されています。

普段唾液の量などに気を配っていることはないと思いますが、唾液は食べ物に対する最初の消化液という役割ばかりではなく、殺菌作用という大切な働きをもっています。

これは、虫歯や歯周病といった口腔内の疾患の予防には欠かすことの出来ません。

ストレスが多い子供は虫歯になりやすいという研究報告がありますが、これもストレスによって、唾液が少なくなるためではないかと考えられています。

ドライマウスには、口の中が乾燥するために痛みが起こる、飲みにくいために食事がしづらいといった症状もあります。男性よりも女性におおいと言われ、原因としては加齢、ストレス、全身疾患(糖尿病、シェーグレン症候群など)、薬の副作用、口呼吸などがあげられています。

歯科疾患の予防のために、ドライマウス対策はとても大切です。気になる方は、歯科医院で相談してみるとよいでしょう。

参考文献 金属アレルギーと歯科治療 吉川涼一著 現代書林

2008年4月12日 (土)

口臭に潜む脅威

本日は、平成19年11月18分の福島民報の「サンデー健康」よりお届けいたします。

口臭に潜む脅威

口の臭いに悩む人は多くいます。

程度の差こそありますが、口臭は年齢や性別、病気の有無にかかわらず、誰にでも起こりえます。

最大の発生源は舌の表面に付着する「舌苔(ぜったい)」と呼ばれる汚れ。臭いの原因物質は歯周病を誘発したり、全身の健康に悪影響を与えたりします。予防には舌の清掃が大切です。

「おじいさんの方が臭いということはありません。男性も女性も、においの強さは同じです」

こう話すのは、新潟大学医歯学総合研究所の宮崎秀夫教授。十代から六十代までの男女計二千六百人について口臭の原因物質を測定した結果、年齢が上がるほど濃度は高くなったが、男女間で差はなかったのだといいます。

この場合の口臭は「生理的口臭」とよばれるものです。歯周病などの口の病気や、呼吸器や耳鼻咽頭科系などの病気で起きる「病的口臭」とは違い、大半の健康な人に発生します。

その主要な原因が舌苔と見られています。鏡で舌をみてみましょう。白いこけのようなものが付いていたら、それが舌苔です。剥がれた粘膜の細胞や血液成分、食べかすなどが推積(たいせき)したもので、タンパク質を多く含みます。

もともと口の中には三百種を超える細菌が棲んでいます。その一部はタンパク質を分解する際、硫化水素やメチルカプタンといった口臭の原因となる「揮発性硫黄化合物(VSC)」を作り出します。うっすらと付く程度の舌苔は正常ですが、過剰な場合は口臭の温床になってしまいます。

宮崎教授によると、口臭の強さは一日の中でも変動します。「においの強さは唾液の分泌量に関係しています。唾液が少ない就寝中はにおいが強く、起きて食事をしていると臭わなくなります」

加齢で唾液の分泌量が減ると舌苔も付着しやすく、口臭強くなります。

ところで、VSCの一つである硫化水素は火山ガスにも含まれる有毒な気体で、卵の腐ったようなにおいを発します。日本歯科大の八重垣教授は「0.3ppmでも不眠やむかつきが現れます。口臭としてでるのは1ppm。悪影響が無いわけではないのです」と毒性を強調します。

細菌や毒素が歯肉中に侵入し、歯の土台が壊される歯周病。八重垣教授によると通常は基底膜という組織が侵入を防いでいますが、VSCはバリアーを破壊した上、歯周病を発生させる化学反応をおこします。

歯周病になると、硫化水素より臭いメチルメルカプタンが大量に作られ、においはさらに強烈になります。

ほかにもVSCが、遺伝子を傷つけてがんの引き金になる活性酵素を増やすことや、硫化水素がDNAを直接損傷することなど、口臭物質の悪影響が分かってきました。

また、舌苔は口内の細菌が気道に入り肺で増殖する誤嚥(ごえん)性肺炎の危険性を高めます。物を飲み込む機能が衰えた病人や高齢者は特に用心したいものです。

では、口臭はどうやって防ぐのか。必須なのは舌を傷つけないよう注意しながらブラシなどで舌苔を清掃する方法。タンパク質分解酵素を配合した錠剤を口に含み、舌苔を化学的に除去する方法もあります。

ただし、歯周病がある場合は、これを治すのが最優先です。

2008年3月31日 (月)

歯の詰め物でも汚染される

昨日の続きです。本日も斉藤一郎先生の著書より、重金属汚染についてお届けいたします。

歯の詰め物でも汚染される

マグロなどの魚の水銀汚染について述べましたが、アンチエイジングの立場から、本書で詳しく言及したいのは、アマルガムについてです。

アマルガムとは、水銀と他金属の合金を意味しています。語源はギリシア語の「やわらかい物質」に由来しています。

アマルガムは歯の詰め物として長年使用されてきました。成分の55%が水銀の合金で、水銀と銀、スズ、銅などを練和し硬化させて、歯の充填用として使用します。

虫歯の部分に銀色の詰め物をしてあるのを見たことがありませんか?あれがアマルガムで、健康保険が適用され、かつては広く使用されていました。歯科用の水銀は無機水銀が使用されていますが、メチル化されると水俣病の原因となった有害な有機水銀となってしまいます。

アマルガムは、口の中の入れる前は軟らかく、そして蒸発しやすい性質をもっています。軟らかいアマルガムは、虫歯を取り除いたところに圧力をかけながら少しずつ詰められ、次第に食事が出来る硬さに変化していきます。

アマルガムを使用すると辺縁破損が起こりやすく、二次カリエス(虫歯)の発症頻度が高くなります。いまでは人体と環境への影響を懸念して、歯の治療にアマルガムを使用を中止する歯科医院が増えてきました。

とはいえ、かつての虫歯の治療で歯にアマルガムが充填されている人は大変な数に上ると思われます。

アマルガムに含まれる水銀は、吸入により肺に入ります。そしてその約90%が体内に移行します。消化管、肺などいろいろな経路を経て体内に吸収された水銀は、さまざまな臓器に分布しています。

歯にアマルガムを充填したラットで水銀量の臓器分布を調べると血液、腎臓、肺、毛髪や爪などに分布することがわかっています。

アマルガムを詰めていても、そこから水銀蒸発あるいは水銀イオンが溶出する量は微量であるため、急性水銀中毒あるいは慢性水銀中毒を生ずることはないとこれまで考えられてきました。

重金属汚染による深刻な中毒の発症率は非常に少なく、普通はそれほど心配する必要はありません。

しかし、水銀は微量で水銀過敏症を生ずる性質があります。普通はそれほど心配する必要はありません。

しかし、水銀は微量で水銀過敏症を生ずる性質があります。実際、アマルガムによる水銀アレルギーについて多数の症例が報告されています。症状としては口腔内の浮腫、潰瘍、口腔以外では湿疹、皮膚炎などです。

水銀過敏症は、水銀蒸気が比較的大量に発生する際に起こります。歯の詰め物としてアマルガムを充填したときや詰め物を取り出すアマルガムの充填除去時です。

日本人健常者のアマルガム成分金属に対する感作陽性率(何らかの障害を受ける確立)は水銀11.1%、スズ6.3%、銅1.0%、銀0.1%となっています。

水銀過敏症は金属アレルギーの一種です。特にアマルガムは口腔粘膜や歯肉に常時接触しているため、アレルギーに原因になることも知られています。

金属アレルギーは発疹・痒みを伴う皮膚炎、関節痛などの症状をもっています。アレルギーですので、一度生じてしまうと、長年悩まされることが多いのが特徴です。

アレルギーの原因となる金属は、水銀の他にも、ニッケル、クロム、コバルト、パラジウム、銅などがあります。

これらは普段の生活環境に広く存在していて、皮革、セメント、砂、消毒薬、予防接種薬など、見た目では金属に見えない物にも入っています。アレルギーが起こるのがアクセサリーなどが原因であれば即刻身に着けるのを中止します。歯の詰め物に含まれていれば、やはり除去するのが賢明です。

歯科治療に使用されている金属には、水銀の他にパラジウム、クロム、鉄、コバルト、マンガン、ニッケル、亜鉛、銅、白金(プラチナ)、金、銀などの合金が使用されています。この中で貴金属は、人体に影響を及ぼすことが少ないとされていますが、高価なために、非金属との合金が使用されることもあります。

参考文献 不老は口から 斉藤一郎著 知恵の森文庫

2008年3月30日 (日)

現代人に進む重金属汚染

昨日の続きで、本日も斉藤先生の著書からお届けいたします。

健康へのリスクを伴う水銀は重金属です。ところが、重金属とひと言で言っても、人体に必要不可欠なものもあるのです。

それらは、昨日ミネラルとして紹介した鉄、銅、マンガン、マグネシウム、カルシウムなどです。鉄が不足すると貧血を起こしやすく成るというように、これらが不足すると、体に不具合を起こしてしまいます。

逆にまったく不必要な百害あって一利もない重金属が、水銀、鉛、カドミウム、ヒ素、アルミニウム、スズといったものです。ところで私たちの体は、こうした不必要な重金属までも体内に取り込んでしまっているのです。

現代社会は、重金属汚染のリスクが極めて高い社会になっています。海の水銀汚染のことは前にも触れましたが、もう一つの鉛汚染についてお話します。

もともと、鉛中毒は炭鉱労働者や工場労働者に多いとされてきた病気でした。鉛により神経系が冒され、急性の場合、死に至ることもあります。

下痢、嘔吐、緑や黒の異常便、呼吸困難、神経麻痺などの症状をもっています。慢性では、貧血、疝痛、歯肉の変色、便秘、神経麻痺などが表れます。

現代ではこうした鉛中毒のひどい例はあまりないようですが、それでもすくなからず鉛汚染が進んでいるのです。大気汚染や鉛の水道管などが大きな原因です。また、絵の具やワインのオイル蓋なども鉛が使われていますからこれも病気の原因になります。

森に棲む希少動物のワシやシカ、キツネなどがかなり鉛汚染の被害を受けていることが報告されています。原因は人間が狩猟で使う鉛の散弾です。鉛の銃弾を餌と間違って食べてしまたり、餌として食べた小動物の体内に鉛がたまっていありするからです。

釣りで使用する錘も、鉛で出来ています。魚が針を一緒に鉛を飲み込むケースもよくあるので、こうして考えると私たちは鉛に汚染された魚を食べている可能性もあるわけです。

鉛汚染は、人間の子供に対して影響が深刻だろ言われており、子供の知的能力に深く関係するという報告もあります。自動車の排気ガスの長年の蓄積で、公園の土砂はかなり鉛に汚染されています。

鉛や水銀などの重金属が体に害を及ぼすのは、人体の酵素がうまく働かなくなるからです。人間の体には、何千もの酵素があり、それぞれの酵素はたいていひとつの重金属を抱えています。

亜鉛一つとっても、結合する酵素は300種類ともいわれています。ところが、不要な重金属が入ってくると、本来結合すべき金属と置き換わってしまうのです。こうなれば酵素の働きが止まってしまい、様々な障害が出てくるといわれています。

明日へ続きます。

参考文献 不老は口から 斉藤一郎著 知恵の森文庫

2008年3月28日 (金)

魚を食べると体に悪い?

本日は鶴見大学歯学部教授斉藤一郎の著書「不老は口から」からお届けいたします。

魚を食べると体に悪い?

口の最も重要な機能は「食べる」ことです。このブログでは何を食べるか、について取り上げます。とりわけ、普段食べている食べ物リストの話をしたいと思います。

人が生命を存続させるためには栄養が必要で、その栄養は主に食事から摂取しています。

栄養には五大栄養素があり、それらは、炭水化物(糖質)、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラル(無機質)の五つです。

ミネラルの必要量はごくわずかですが、体の成長や維持に必須の栄養素です。ミネラルとはそもそも水や土壌などに存在しています。

鉄、亜鉛、銅、コバルト、マンガン、モリブデンなどの金属は人体に必要なミネラルで、不足状態に陥ると味覚障害や貧血などの病気が発症します。

ところで現代社会は日本に限らず、世界中で大気汚染、土壌汚染、食物汚染などの環境汚染問題を抱えています。これらの環境汚染の主役は、重金属です。

アルミニウムやマグネシウム、チタンなどの比重の小さい軽金属に対して、重金属とは金や銀、銅など、比重が4~5以上の金属の総称です。

重金属は毒性の強く物が多く、微量であっても繰り返し摂取した場合、体内で蓄積され、人体に有害となります。公害病として知られている水俣病は有機水銀中毒、また、イタイイタイ病はカドミウム中毒が原因でした。環境汚染で問題となる重金属には、ほかに鉛、ヒ素などもあります。

私たちは、常に汚染された空気と水分を摂取し、汚染された土壌で栽培された穀物、野菜果実を、汚染された海や川で生息し食物連鎖した魚介類を体内に取り込んでいるのです。

それらに含まれている重金属はたとえ微量であっても繰り返し摂取させることで蓄積され、人体に影響を及ぼします。

1年ほど前でしょうか、「妊婦は胎児への影響を考慮し、キンメダイ等の魚の摂取量を控えるように」と国からの注意事項が発表されました。

注意が必要とされている魚はすべて食物連鎖による生き残った大きな魚です。

食物連鎖とは、何でしょうか?たとえば、農作物の場合、重金属を含んだ雨が田畑に流れ込み、農作物は根から重金属を吸い上げ、牛は重金属入りの草を食べ、そして重金属入りの牛乳やバターが出来き、人間は重金属入りの農作物を食べるというここの関係を食物連鎖というのです。

これが海の場合、魚の中に含まれている重金属が水銀なのです。

アメリカのレストランに行くと、入り口に必ずと言ってよいほど「マグロは水銀を多く含んでおり、それを食べることは健康へのリスクがあります」といった警告文が掲出されています。いかにもアメリカらしい感じですが、いずれにしても魚を食べること一つをとってもそれなりのリスクを伴うのだと知っておいた方が良さそうです。

明日へ続きます。

参考文献 不老は口から 斉藤一郎著 知恵の森文庫 

2008年3月22日 (土)

噛み合わせと体のバランス2

昨日の続きです。

●歯ぎしりは体に悪いか?

歯ぎしりを聞くと、周りの人に迷惑を掛けたり、歯や体に割るそうという“悪”のイメージしか沸いてこないのではないでしょうか。

そのため、歯ぎしりの治療方法としては、自己暗示や噛み合わせ治療で、歯ぎしりを止めさせることがいい方法だと考えられていました。

しかし、今では、歯ぎしりはストレスの発散として重要な役割があるので、それを正しい環境で行わせれば良いと考えるようになりました。しかし、噛み合わせの悪い人がする歯ぎしりや食いしばりは、歯・歯周組織・顎関節・筋肉などへ、想像以上の負担をかけています。それは、自律神経系にも多大な悪影響を与え、死にもつながる可能性のある、睡眠時無呼吸症候群とも関係があるのです。

すなわち、噛み合わせの悪い人がする歯ぎしりは、ストレス発散のメリット以上に、多くの組織を破壊しようとするデメリットの方が多くなっています。

具体的にいえば、悪い噛み合わせの歯ぎしりや食いしばりは、筋肉に不自然な運動を強要するので、筋肉が異常に緊張し、血流が悪くなり、筋肉性の頭痛や首のこり、肩の懲り、肩こりなどが生じます。

また、噛み合わせが悪いと、特定の歯だけがすり減り、歯が折れたり、歯の根元が欠けて、知覚過敏なったり、歯がすり減らずに歯周組織が破壊され、歯がぐらぐらしてきたり、歯が動いたりします。

これらのマイナス作用をおこさないようにするためには、下顎が自然な自然な一定の動きを維持し、左右に動かしたときにも奥歯が当たらないような、理想的な噛み合わせを作らないといけないのです。

ただし、子供が乳歯の時期にする歯ぎしりは、下顎の成長発育にとって、大切な役割を持っているので、歯ぎしり自体は正常なことであって、一切心配する必要はありません。

●噛みやすさに左右の差があるのは問題

右利き、左利きという言葉があるように、腕や手、足などは、使いやすさに左右差があるのが普通です。左右のどちらかが噛みやすいというのは、何らかの問題があります。

右が噛みやすいのは、顎を左に動かそうとするときに、どこかの箇所の歯が顎を左に動かすのを邪魔しています。邪魔している原因の歯がその位置に存在する限り、無理に左側で噛もうとしても、顎の筋肉がとても疲れやすくなったり、筋肉の動きがおかしくなって、よく間違って頬を噛んでしまいます。

腕や手足は、右側だけというように、別々に動かすことができますが、顎の場合には左右が同時に動くので、左右の噛みやすさに差があるとすれば、それは歯の位置関係自体に問題があるのであって、正しい噛み合わせが作り出せれば、必ず左右両方で同じように噛めるようになります。

●人間の進化が作り出した悪い歯並び

悪い噛み合わせにも色々ありますが、最近特に増えているのが、奥歯で噛んでも前歯が閉じない「オープンバイト(開咬)」というのがあります。

この“開咬”という、奥歯で噛んでも前歯が閉じない咬み合わせが、なぜ増えてきているのでしょうか?

人間の歯には、前歯、小臼歯、大臼歯と、いろいろな形態の歯がありますが、それぞれに大切な働きがあるのにも関わらず、食べ物の軟化によって、すべての歯を使わなくても食事出来るようになってしまったという悪い影響で開咬が増えているように考えられています。

硬いものを噛まなくなったために、前歯を使って食べ物をかみ切る必要性が減ってきて、その結果前歯を使う筋肉が未発達のままになります。下顎の前方への回転が十分におこなわれない成長になり、間違った噛み合わせのままで成長が止まってしまうのです。

肉食動物では、人間の犬歯(前から三番目の歯)のような、先端の尖った歯がズラッと並び、肉を食いちぎるのに都合の良いようになっていますし、草食動物では、人間の大臼歯(一番奥の大きい歯)のような、臼のような歯が並んで、草などをすりつぶすのに都合のいいようになっています。

それに、顎の動きも肉食動物では上下に噛むことで、鋭い歯によって固い肉を引きちぎるのに都合の良い動きをしますし、草食動物では顎を左右に動かし、臼のような歯で、草などをすりつぶすのに都合のよい動きをします。

そのため、歯の形も顎の動きも、自然に長い時間をかけて、それぞれの食べ物が食べやすい形態に進化してきました。

人間も同様に、肉でも野菜でも食べるために、それらが食べられる歯の形態が作りだされてきたのです。

参考文献 よくわかる家庭の歯学 青山健一著 桐書房

2008年3月21日 (金)

噛み合わせと体のバランス1

本日は、青山先生の著書「よくわかる家庭の歯学」より、噛み合わせについてお届けいたします。

噛み合わせと体のバランス

●噛み合わせから見た歯の役割

①噛み合わせが悪いと鼻が詰まりやすい

噛み合わせが悪い人は、鼻がひどく詰まる気道が狭くなる傾向があるので、噛み合わせの悪い人ほど、寝ている時にいびきをかいている人が多いのです。呼吸、いびき、睡眠時無呼吸症候群なども、歯や噛み合わせと深い関係があります。

②噛み合わせが悪いと姿勢も悪い

姿勢の悪い子供の割合と、噛み合わせの悪い子供の割合は、ほぼ正比例しています。成長の途中で子供に永久歯が生えてきて、徐々にその人の噛み合わせが作られて行きます。

その噛み合わせが悪ければ、骨の成長に左右差が出たり、筋肉の収縮にも異常が生じます。これは子供に限った事ではなく、大人でも噛み合わせが悪くなることで、簡単に姿勢も悪くなります。

わかりやすい例では、片足だけ靴を履いていて生活していれば、いやが上にも背骨も曲がってしまうのと同じようなものです。

歯や噛み合わせは、全身に対しても計り知れないほど大きな影響を及ぼしています。

③ストレスのコントロールをしている

最後に最近注目されていることで、歯はストレスのはけ口として、歯ぎしりしたり、歯を食いしばったりするときに、大切な役割を果たしているのです。ストレスの多い現代社会では、無意識に、大脳新皮質に多くのストレスが蓄積されています。

このストレスを、趣味、お酒など、いろいろな方法で取り除こうとしますが、気分転換のうまくない人は、ストレスを睡眠中の歯ぎしりや食いしばりによって解消しようとするのです。歯には、新たにストレス解消の道具としての役割があると考えられるようになってきたのです。

明日へ続きます。

参考文献 よくわかる家庭の歯学 青山健一著 桐書房

2008年3月16日 (日)

要介護者の口臭の測定は可能か?

本日は、宮崎秀夫先生、八重垣健両先生の編集の「口臭ケア」からお届けいたします。

Q:口臭は測定出来るのでしょうか?

A:口臭は測定出来ます。

口臭を判定する方法は鼻で臭いをかぐ官能検査や、ポータブル臭い測定器、専門的なガス分析機器(ガスクロマトグラフィの使用の3種類の方法があります。

ここでは、最も簡単な官能検査について説明します。臭いを鼻で測定するというと、非科学的に聞こえますが、我が国の悪臭公害では、悪臭防止法にもとづき人間の嗅覚で悪臭を判定する事になっています。嗅覚による測定は、意外と信頼度の高い測定方法なのです。

1:判定者の条件

国際口臭学会では、判定者は正常な嗅覚を持つ者と勧告しています。正常な嗅覚を持っているか正確に調べるためには、我が国では耳鼻科を受診し、T&Tオルファクトメータ(第一薬品産業)などの嗅覚検査器を使用して調べます。

しかし、口臭の原因物質である揮発性硫黄化合物(VSC)には臭い基準物質がありませんし、また、手間もかかりますので上質の焼き海苔やゆで卵の臭い(これはVSCの臭いです)を感じるかどうかでも検査できます。

2:判定時の注意事項

人間は、VSCの1種類である硫化水素をかぎつけると、5分ほどで嗅覚が約1/3まで鈍ります。これは臭いに順応するからです。したがって、口臭をもつ要介護者と同室にいる介護者の嗅覚は、鈍っていると考えてよいでしょう。

一方、毎日一定時間、同じ臭いにさらされていると、数日後にはその臭いに対する嗅覚が鈍くなってしまいます。そのため、より正確に口臭を測定するには、介護者以外の人が測定すべきでしょう。

もちろん、介護者以外の人が測定する場合にも、臭い順応には注意が必要です。口臭ガスは居室に充満するため、検査者が入室した時点からただちに臭いへの順応が始まります。したがって、入室後は早めに口臭を測定するようにしてください。

3:口臭測定方法

通常、要介護者の口臭は、介護者や家族が指摘し、要介護者自身は知らないことが多いものです。容易に口臭検査とわかれば、本人の尊厳を傷つけてしまうかもしれません。

そこで、口の奥を診るかのように思わせて、呼気を嗅ぐ方法が最も適当でしょう。もし可能なら検査者の鼻を要介護者の口から10センチぐらいまで近づけてください。口臭検査に理解が得られた場合は、チューブとプライバシースクリーン(測定者の顔が見えない要にスクリーンで覆い、要介護者の口の位置に息を吐き出すチューブが出ているもの)を使った方法をとります。1分間口を閉じてからチューブに息を吐き出してもらい検査します。官能検査判定基準表の2以上から(下記参照)口臭ありと判断しますが、他人に迷惑をかけるのはスコア3ぐらいです。

もちろんこれらの方法は、医療関係者だけでなく、一般の人でも行えます。下記の表を参考にしてください。

表 官能検査判定基準

0:臭いなし・・・・鼻でかぎ取れるような臭いを感知しない

1:非常に軽度・・・・臭いを感知するが、悪臭と認識できない

2:軽度の口臭・・・・かろうじて悪臭と認知できる臭い

3:中等度の口臭・・・・悪臭と容易に判定できる

4:強度の口臭・・・・我慢できる強い悪臭

5:非常に強い口臭・・・・我慢できない強烈な悪臭

参考文献 口臭ケア ~要介護者の快適な生活のために~ 宮崎秀夫・八重垣健両編集 医歯薬出版 

2008年3月 5日 (水)

8020と日本の現状

今回は、渡辺秀司先生の「歯周病を自分で治す!」からお届けいたします。

☆80歳で20本の歯を残そう

皆さんは、「健康日本21」という運動をご存じですでしょうか。これは、厚生労働省が平成12年4月から始めた国民健康づくり運動です。

この運動では、次の3つの項目を目的にしています。

・壮年期死亡(早世)の減少

・健康寿命(痴呆や寝たきりにならない状態で自立して生活できる期間)の延伸

・生活習慣病の質の向上

これらの目的を実現するために、当初10年間の目標として、9分野70項目100の指標を設定しています。この中に歯科の保険も含まれています。

歯の健康について一例をあげると、成人期の歯周病(俗にいう歯槽膿漏)の予防に関して、歯周病の中でも症状の進行した歯周炎を有する人の割合を、四十歳では現状の32%から、2010年には22%以下に引き下げることを目標にしています。

また、歯の喪失に関しては、80歳で20本以上、60歳で24本以上の自分の歯を有する人の割合について、次のように設定しています。

平成5年の歯科疾患実態調査に基づくと、80歳(75~84歳)で20本以上の歯を有する人の割合が11.5%で、60歳(55~64歳)で24本以上の歯を有する人の割合を20%以上に、後者の割合を50%以上に設定しています。

歯科の分野ではまた、平成4年度から「8020運動」を展開してきました。これは当時の厚生省(現、厚生労働省)が口腔保険の事業として推奨しているもので、要するに、「80歳になっても自分の歯を20本残そう」というスローガンです。

☆日本では55歳くらいから歯を失う人が急増

こうした運動が展開されているということは、裏をかえせば、それだけ現状は問題が多いということです。

前述したように、80歳で自分の歯を20本以上持っている人の割合は、平成5年の歯科疾患実態調査で11.5%しかありません。平成11年の調査では少し改善しましたが、それでも15.25%にとどまっています。

アメリカと比較すると、60歳以前では、日本人の方が残存歯の数が多いのですが、60歳を境に逆転しています。日本では、55~60歳あたりから歯を失う人が急に増えているのに対し、アメリカでは80歳になっても60歳の人と同じくらいの数の歯が残っています。

平成11年の歯科疾患調査によると、残存歯の数の平均は、50~55歳では24.1本、60~64歳では20.4本、65~69歳で16.8本、70~74歳で12.8本、75~79歳で9.01本、80~84歳では7.41本です。

参考文献 歯周病を自分で治す本 渡辺秀司著 マキノ出版

2008年2月12日 (火)

入れ歯にならないための秘訣

本日は、青山健一先生の著書「よくわかる家庭の歯学」からのお届けです。

入れ歯にならないための秘訣

☆磨く回数よりも磨く内容

「一日に何回もブラッシングをしているのに虫歯が出来てしまう。」とか「一日に何回磨けばいいのですか」といった質問を受けることがよくあります。

そういう質問に対する答えとして、たとえば家の掃除をするときに、一日中掃除機をかけたとしても、真ん中ばかりの掃除では、角のホコリや細かい汚れは取れません。

隅々まできれいにするためには、掃除機できれいにしにくい場合は、ぞうきんを使ったり補助的な細かい器具を使わなければなりません。

歯磨きも同じで、一日何回ブラッシングをしているという自己満足とか、歯磨き剤の爽快感を味わいたいのであれば、それはそれで結構ですが、虫歯や歯周病予防のために汚れを取り除きたいのであれば、回数が問題ではありません。一日一回だけでも十分な効果が期待できる場合もあります。

3分の適当な磨き方をするのなら、一日一回だけでも丁寧に細かい場所まで時間を掛けてきれいにする方が断然効果的です。

ブラッシングの回数や時間はあくまで目安であって、それが正しい方法なら時間をかけただけの効果はありますが、間違ったやり方では、いくら時間を掛けても意味がありません。

試験勉強であまり大切でないところを一生懸命勉強している人は、いくら勉強時間をかけても合格点がとれません。歯の磨き方もこれと同じで、歯の表面ばかりをきれいにしている人は、一日中磨いたとしても、虫歯と歯周病の予防には無意味なのです。

どこが試験に出やすい重要な部分なのかは、専門の先生に聞けばそのポイントを教えてくれます。これと同じで、どこに汚れがたまりやすいかは、歯科医師、歯科衛生士などの専門家に教えてもらうのが一番です。

☆食後にガムを噛むことの効果

食後にガムを噛むことは、虫歯や歯周病の予防のためにとても良いことです。それは食事中に口の中が酸性になり虫歯になりやすい環境であったのが、ガムを噛むことによって唾液が排出されて、口の中の酸性のph がより中性に近づくからです。

もちろんブラッシング出来る状況なら、その方がより効果的ですが、外出先などでブラシを持ち合わせていないときは、せめてガムを噛むことによって虫歯を予防しましょう。

その際は、キシリトール入りのガムでないと、逆に虫歯を促進してしまいます。それは後にアメをなめるにはいくら唾液が出てもアメの糖分が口の中を酸性状態にしてしまうのと同じで、糖分を含まないキシリトールのガムである必要があるのです。

☆虫歯予防とフッ素の関係

フッ素やキシリトールが虫歯予防に有効だということが、一般にも浸透してきました。しかし、欧米などの先進国に比べて十年以上遅れてやっと浸透したという感じです。

今まで、日本は虫歯後進国といわれ続けてきました。フッ素が虫歯予防に有効なことは、欧米などでの実績をみてわかってはいたのですが、多量のフッ素によって歯に白斑が出てきたり、大量に摂取すると体に良くないという考えで、厚生省はなかなかフッ素の導入に踏み切りませんでした。

それが時代の流れで、虫歯予防にフッ素が当然のように使われてきて、虫歯の患者さんは確実に減りました。

米国では、十人に一人は一本の虫歯もありません。虫歯の減っているのは明らかにフッ素の効果なのです。米国では水道水にフッ素を含ませてみたり、妊娠の時からフッ素のタブレットを飲んだりして、フッ素の摂取にとても積極的です。

☆フッ素効果の高め方

最近の歯磨き剤にはほとんどフッ素が入っています。フッ素は、歯の表面の再石灰化を促進し、初期の虫歯ならばフッ素によって治ってしまうのです。

口の中は、虫歯になろうとする酸(脱灰)と、それを治そうとするカルシウム(再石灰化)などが綱引きをしている状態です。

ただし、フッ素の働きを最大限に活用するためには、歯にフッ素を長く停滞させなければならず、歯磨きの粉の中に研磨剤などと一緒に入ったフッ素では、うがいをすることによってフッ素も流れ落ちてしまうので、フッ素の効果を最大限に求めるならば、フッ素だけの歯磨き粉で、それに応じた方法で使用しなければなりません。ですから使用上の注意などを歯科医院で聞いてから使用するほうが、より効果的でしょう。

参考文献 よくわかる家庭の歯学 青山健一著 桐書房

2008年2月 5日 (火)

噛み合わせによる頭痛、肩こりについて

本日は、長坂 斉先生の「アンチエイジング 歯のかみ合わせ力」からお届けいたします。

頭痛、肩こりについて

噛み合わせ異常から起こる全身症状で一番良く知られているものとして、頭痛があげられます。

頭痛の起こりやすい箇所は偏頭痛(右または左肩から首にかけて)、また、後頭部痛(後頭部が重く、ボーっとした感じがする)で、専門医を受診しても原因が見当たらないなどといわれることが多く、肩こり、首こりなどをともなっている場合があります。

これらの症例で、時として顎関節の症状を伴い、そのような人は、同時に歯科を受診し顎関節と診断されるのです。

このような頭痛の原因は左右顎関節の異常運動にあり、特にかたがみをしている場合に多く見られます。また、左右どちらかで噛む癖がある場合、毎日の咀嚼習慣により、噛み癖のある側の噛む面のすりへりが起こり、当然左右の高さにズレが生じてきます。

そのあたりから左右および前後の頭の位置のズレが生じ、そのズレで自然に頭を支えようとする筋肉の緊張が生じるのです。

その緊張が持続することにより筋肉緊張性頭痛が発生し、筋肉の肩こりや首こりが発生することになるのです。

例えば、右のかみぐせがある場合、肩こりの部位は左に多く発生するのはそのためです。このような場合、左右均等に噛む練習をすることで、その症状がかなり緩和されます。また噛み癖は、右、左だけでなく、右奥(大臼歯部)と左手前(犬歯、小臼歯部)などというように不定に噛む癖があり、そのような場合、右、左と頭痛の位置が定まらず、頭、頸部と広域に発症することも多いのです。

いずれにしても頭痛、肩こりにおいては、噛み合わせ治療を行い、左右および前後で均等に噛む訓練を行うことにより、その症状の軽減が起こることが多いのです。

このような場合、噛み合わせ異常による関連頭痛、および噛み合わせ異常による関連の肩こり、また顎関節関連症状をして歯科治療の対象となります。

このような症状がある時点での聴力検査を行うと、頭痛および肩こりの反対側の聴力低下(右に肩こり、頭痛がある場合、左の聴力の低下が多い)が顕著で、噛み合わせ治療後、再度測定を行うと聴力の低下側の向上など左右差の減少が確認され、同時に頭痛、肩こり症状が起きていることに気づくのです。

以前、このブログでも書きましたが、聴力の変化の原因は、左右の噛み合わせ異常による関連筋が協調運動することで、左右耳の付近の血流が均等化することによる内部リンパ圧の正常化が原因と考えられています。

このようなことから聴力は噛み合わせのセンサーであるということで、最近、歯科治療を行う上で最もすぐれた噛み合わせの客観的な診断法となっています。

参考文献 

2008年1月15日 (火)

口から始めるアンチエイジング5

昨日の続きです。

抗酸化物質の効能

さまざまな抗酸化物質は健康補助食品としてだけではなく、これを配合した美容的効果を謳った化粧品も多く出回っているので、とりわけ女性に人気があるようです。

特にコエンザイムQ10はもともと心臓病の治療薬として認可されていたもので、強力な抗酸化物質としてフリーラジカルの除去作用を持っていることが数多く報告されたいます。

コエンザイムQ10は、私たち人間の体の細胞の総てに存在しています。人間の体内で生合成され、また少量とはいえ、魚介類など多くの食品からも摂取することができます。

コエンザイムQ10が重要なのは、ミトコンドリア内でエネルギーの生産に関わる補酵素として働くなど、私たちが健康に生きていくうえで必要不可欠なものだからです。しかし、残念なことに、コエンザイムQ10は肝臓や心臓、肺などの臓器の中では、年齢を重ねると減少してしまいます。

年を取るとともに、抗酸化作用のあるコエンザイムQ10が減少するということは、活性酵素などのフリーラジカルを除去する働きが弱まるということです。となると、フリーラジカルの攻撃にさらされやすくなるわけですから、老化のスピードが速まる事になります。

このような事から、個人差はありますが目安として1日100ミリグラム程度のコエンザイムQ10の摂取を推奨します。コエンザイムQ10はイワシやサバなどの青魚や牛肉などの食品にも含まれますが、その量は決して多くはありません。

30ミリグラムのコエンザイムQ10を摂るためには、イワシなら6匹、牛肉なら950グラムも食べなければならない計算になります。必要な量を食事から摂取しようとすれば、必然的にカロリーオーバーになってしまうわけです。そういう理由もあって、サプリメントとして採取するほうがいいと考えられています。

歯科医として私が抗酸化物質に注目しているもう一つの理由は、歯周病に対する予防効果も認められているからです。アメリカではいろいろな抗酸化物質入りの歯磨き粉が売られている程です。

コエンザイムQ10を利用して口腔機能の維持や改善に役立てたいということで、私たちは現在、コエンザイムQ10入りのチューイングガムの臨床研究を行っているところです。錠剤を服用する形ではなく、ガムのように噛んでサプリメントを摂取する方法は、吸収率が優れているというメリットがあります。

ビタミンCを配合したガムに関する研究を例としてあげましょう。

ビタミンCは100ミリグラムを配合したガムと錠剤では、どちらが摂取後に血中のビタミンC濃度が高くなるかを比較したところ、ガムによる摂取のほうが高いことが分かったのです。また、同じ量のビタミンCでも、一度に摂取するより、時間をあけて分割で摂取したほうが吸収率が良いことも明らかになりました。

サプリメントを錠剤やカプセルの形で摂ると、消化管内を移動するにしたがって吸収率が低下することがわかっています。ビタミンCは調理の際の加熱によって破壊されることも知られています。

また、カボチャやキュウリなど他の食品に含まれる成分によってビタミンCが破壊されることもあります。しかし、ビタミンCをガムに含ませて噛めば、口腔粘膜から成分を吸収させる事になり、吸収率の低下や他の食品による破壊などのデメリットがありません。

もともと、口腔粘膜は吸収率が高いことで知られています。そのため、口腔粘膜によるドラッグデリバリー・システム、つまり薬をすぐに体内に迅速に効果を発揮させる性質を利用した薬剤も多いのです。

たとえば、狭心症など心臓疾患のある人がニトログリセリンを舌下錠として服用していますが、飲み薬のように飲み込まずに舌の下に入れて使用するものは、口腔粘膜からすぐに吸収されるからです。

ニトログリセリンをごくんと飲んでいたら、肝臓で代謝されて体の中をぐるっと回っている間に心臓発作が起きて死に至る、ということもあり得るでしょう。すぐに薬の効果が表れる舌下錠だからこそ、患者さんも安心して使用出来るのです。

禁煙したいと望んでいる人達を対象とした、ニコチンを含んだガムも同様です。口腔粘膜のh下にある毛細血管からダイレクトにニコチンが入り、すぐにニコチンが体内に回るため、タバコを吸いたいという気持ちが抑えられる効果があると言われています。

これらの事を考えると、抗酸化物質入りガムは、錠剤よりも優れているといえるでしょう。もちろん、ガムですから、噛むことによって唾液の分泌も促されるはずです。その点でも十分なメリットがあるのです。

参考文献 「現代病」ドライマウスを治す  斉藤一郎著 講談社

2008年1月14日 (月)

口から始めるアンチエイジング4

昨日の続きです。

唾液分泌の促進を

ここで、鶴見大学歯学部付属病院アンチエイジング専門外来における取り組みの内容を踏まえて、アンチエイジングに対してどのような歯科的アプローチが可能か見ていきましょう。

老化対策としてまず考えたいのは、「唾液分泌の促進です」。

唾液に含まれる様々な成分が、脳や体の老化を防止したり、細胞を活性化したりすることは、すでに述べたとおりです。さらに、外部からの病原菌の侵入を防ぐ抗菌作用や、粘膜を修復する作用、あるいは歯の再石灰化を促す作用など、人間の体をトータルにケアしている唾液ですから、全身のアンチエイジングには欠かせない要素と言えます。

唾液の分泌を良くする方法についてはすでに述べましたが、病気や機能的な障害がない限りは、基本的にはよく噛むことで唾液の分泌量が増えるはずです。唾液は単なる水分ではないということをよく理解して、普段の生活の中で唾液をよく出すように心がけたいと思います。

アンチエイジングに対する次の取り組みは、「筋機能療法による顔面・口腔周囲筋のトレーニング」です。

口の周りの筋肉が衰えることによって咀嚼筋が弱まり、それによって唾液の分泌量が減少し、脳の働きや体の筋力も低下するわけですから、口腔の周りにある筋肉のトレーニングが重要になります。

顔の表面に表れるシワやたるみも、口腔周囲筋や表情筋を鍛えることによって改善することができます。見た目の若さも大切ですから、トレーニングも日常的に習慣づけることが大切です。

サプリメントを取り入れる

次ぎに、「坑酸化物質の口腔粘膜からの採取」がアンチエイジング対策としてあげられます。簡単に言えば、サプリメントを採取して老化に対抗しようというものです