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しろくま先生のブログ
しろくま歯科医院より歯にまつわる楽しいお話や、
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2008年6月18日 (水)

赤ちゃんの口にはミュータンス菌はいない

本日は、坂本洋介先生の著書「元気でキレイは口もとから」よりお届けいたします。

赤ちゃんの口にはミュータンス菌はいない

生まれたばかりの赤ちゃんの口には、ミュータンス菌が存在しません。乳児の口の中にニュータンス菌がみられるようになるのは、離乳食が始まるころからです。

これは、離乳食が始まるとお母さんが熱い離乳食を冷ましたり、口の中で砕いて小さくしたり柔らかくしたりして、口移しで子供に食べさせたり、同じ箸やスプーンを使ったりするためです。

つまり、母親の口の中のミュータンス菌が子供の口の中に入ってしまうのです。ミュータンス菌を完全になくすことは出来ませんが、唾液1ml中1000個以下にすれば感染しないといわれていますから、出来れば赤ちゃんの使うスプーンや食器類は別にするのがよいでしょう。

もちろん、母親をはじめとして父親、兄弟など赤ちゃんに接する人たちがキチンと歯の手入れをしておくことが大切なのはいうまでもありません。

参考文献 元気でキレイは口もとから 坂本洋介著 北海道新聞社

2008年5月22日 (木)

指しゃぶり、おしゃぶりはいつまで続けていいの?

本日は、「AERA with  Baby 08 春号」より赤ちゃんの口の中も成長しています からお届けいたします。

指しゃぶり、おしゃぶりはいつまで続けていいの?

赤ちゃんにとって指をしゃぶるのは意味のあること。

胎児の頃は、指をしゃぶり羊水を飲んで哺乳の準備をします。生後2~3ヶ月になると、自分の手をしゃぶってその感触を感じながら自分の体とほかのものとの区別をしていきます。

おしゃぶりを使う赤ちゃんもよくいます。おしゃぶりを使うと鼻呼吸が育つという人もいますが、赤ちゃんは生まれつき哺乳しながら鼻呼吸するもの。おしゃぶりの効能は、吸うと気持ちが落ち着くことにあります。

指しゃぶりとおしゃぶりは、長年続けると問題になります。小児科と小児歯科の保険検討委員会は2005年におしゃぶりについて「乳臼歯が生えそろう2歳半、さらに3歳過ぎまで使用していると噛み合わせの異常が生じてしまう」と指摘しました。噛み合わせに悪いのは指しゃぶりも同じ。スキンシップやおしゃぶりを楽しみながら、遊ばせて気分をそらしたりおしゃぶりを使う回数を減らすようにして、徐々にやめていきましょう。

2008年5月20日 (火)

母乳は赤ちゃんにとって最も安心な食事

本日は、田中英一先生他が書いた「すこやかな口元気な子ども」よりお届けいたします。

母乳は赤ちゃんにとって最も自然な食事

“母乳”という名のごとく、哺乳類の赤ちゃんは乳をすって育ちます。成長後の食性は、肉食、草食、雑食と様々ですが、出生直後の哺乳類の赤ちゃんは、母乳の乳を吸って栄養を摂取します。

乳の成分や濃度は、哺乳類の中でも種属によって異なり事が知られていて、その動物の生態と関連が深いと考えられています。人間の赤ちゃんは牛乳、そして山羊の赤ちゃんは山羊乳で育つのが最も自然でしょう。

動物の場合、何らかの原因で母乳が吸えないと、赤ちゃんは栄養が摂れずに生存の危機にさらされてしまいますが、人間では母乳に近い人工乳(育児用ミルク)が確保されているため、栄養的な問題は起こりません。

母乳の栄養学的、免疫学的利点についてはすでに多くの報告があります。赤ちゃんにとって、母乳がもっとも自然な食事であることは間違いないわけですが、赤ちゃんの身体が成長し、運動機能も発達してくると、代謝や活動のために必要なエネルギーも増えてくるので、母乳だけでは十分な栄養を補いきれなくなり、また母胎の負担も大きくなります。

離乳食を経て普通食に移行していくことは、固形食による効率のよい栄養摂取に切り替えることで必要なエネルギーを確保するとともに、食事以外のさまざまな活動に費やす時間を増やせることにもつながります。

参考文献 すこやかな口 元気な子ども 田中英一他著 医歯薬出版 

2008年4月16日 (水)

口呼吸が引き起こす様々な病気や口腔への影響2

昨日の続きです。

本日も坂本先生の著書よりお届けいたします。

★口呼吸は歯並びにも影響する

口で息をしていると口元の筋肉が弛んでいるため、歯並びが悪くなります。また、口呼吸をするときは下あごを下げ、舌を下に付けるようになりますので、アデノイド顔貌と呼ばれる面長であごの長い顔つきに変わってしまうこともあります。

そのほかにも、口を開けていることによる様々な弊害が起きてきます。例えば、発音が発揮ししなくなったり、物を食べる時にクチャクチャと音がするといったことがあります。

また、口呼吸をすると口の中が乾燥するので、唾液の量も少なくなり、のどを痛めたり口の中が荒れやすくなったりします。

口臭の原因にもなり、病原菌が入りやすくなることによって虫歯や歯周病、口内炎といった病気が再発しやすくなります。

◇口呼吸を治さないと歯も治らない

一般的に、口呼吸の人は虫歯や歯周病などの歯の治療をしてもすぐに再発してしまいます。私のところへ来院した25歳の女性は、口呼吸のために口の中が乾燥して唾液の量が少なく、汚れが残りやすい状況でした。

何度治療しても、口の中が良くならない状況でした。歯並びが悪かったこともあって、治療法としては、根本的な口呼吸を改善するために歯の裏側からの矯正治療を約2年行いました。

口呼吸に対しては、食事の時の鼻の使い方(臭いを嗅ぐ努力)、口を閉じて、アメを最後まで噛まずに溶かしきるなどのトレーニングをしてもらい、その結果、歯並びが整い、自然と口が閉じる習慣を身につけることができました。

虫歯や歯周病の再発が少なくなったことばかりか、風邪も引きにくくなり、鼻で息をすることによって自然と腹式呼吸となり、便秘も改善され肌の状態もよくなりました。さらに横顔もきれいに整っています。こうしたケースは最近、非常に多くなっています。

参考文献 元気でキレイは口もとから 坂本洋介著 北海道新聞社

2008年4月15日 (火)

口呼吸が引き起こすさまざまな病気や口腔への影響1

本日は、坂本洋介先生の著書「元気でキレイは口もとから」よりお届けいたします。

口呼吸はアトピーの一因

「おしゃぶりをはずすのが早すぎると、口で呼吸する癖がついてしまいます。では実際に口呼吸はどのような悪影響を及ぼすのでしょうか。

口呼吸が引き起こす病気には、さまざまなものがあります。

そのうち、子供に多く見られるのがアトピー(アトピー性皮膚炎)、気管支喘息、アレルギー性鼻炎です。

これらのアレルギー疾患は時期がことなり、乳幼児期にアトピー、2,3歳のころに気管支喘息、小学生くらいでアレルギー性鼻炎が出てきます。こうしたアレルギー疾患の一連の流れは、前の病気が収まってきたら次の病気が出て、進行していくように進んでいくことから「アレルギーマーチ」とも呼ばれます。ただし、必ず三つの病気に成るわけではありません。

アトピーと気管支喘息は成長とともに自然と治ってくることが多いのですが、アレルギー性鼻炎はなかなか治りません。アレルギー性のうち、花粉によって起こる季節性のものが、いわゆる花粉症です。

アトピーの原因としては、離乳食が早すぎて卵などのタンパク質がもとになっている場合やダニ、花粉などさまざまなものがありますが、口呼吸もその一つです。口呼吸は免疫力を低下されるため、さまざまな免疫病を引き起こします。口呼吸はおなかに力が入らないために、子供のころから慢性の便秘症も誘発してしまいます。

免疫病を引き起こす口呼吸

人間が健康に生きるためには呼吸、食事、睡眠の三つが必要不可欠ですが、特に酸素をを体内に取り入れる目的である呼吸は大切です。

最近の研究で、咀嚼(食事)、睡眠のバランスが崩れると喘息や花粉症、アトピーなどの免疫症を引き起こすことが分かってきました。免疫病とは、本来、病原菌から自分の体を守ってくれるはずの免疫に異常が起きて発症する病気のことです。

呼吸をする器官は本来は鼻ですが、人間は口で呼吸もする「口呼吸」もできます。最近は口呼吸をする人が急増していますが、口呼吸を長年続けていると鼻の機能が低下し、免疫病を引き起こしやすくなります。

鼻で息をしていれば、空気中の細菌やウィルスは鼻というフィルターにかけられて、体内に侵入しにくくなります。ところが、口呼吸では直接、チリや細菌などが口から体の中に入ってしまいます。侵入した細菌が、口の奥にある扁桃リンパ輪(輪になった扁桃腺の集まり)に直接はいるため、入り込むと風邪の度に、喉が痛くなります。この繰り返しが続くと、常時多くの病原菌がのどの奥にとどまるようになり、病原菌を退治する白血球の力を弱めてしまい、免疫力が低下します。

このように、免疫病の多くは、口呼吸が原因となっていて、特に、口呼吸は乳幼児のことに正しい育児をしないと癖になってしまうので要注意です。

明日も続きます。

参考文献 元気でキレイは口もとから 坂本洋介著 北海道新聞社

2008年4月13日 (日)

妊娠中に気をつけたいこと

本日は、昭和大学歯学部小児成育歯科教室が編集した「よい歯を育てる食生活」よりお届けいたします。

妊娠中に気をつけたいこと

健康な赤ちゃんを産み、赤ちゃんに丈夫な歯が生えるようにするには、妊娠中のお母さんはどのよな事に気をつければよいのでしょうか?

☆規則正しくバランスの良い食事を心がけましょう

お腹の赤ちゃんは母親の身体から必要な栄養素を受け取ります。ですから、母親自身が健康で暮らせるように、規則正しくバランスの取れた食事を楽しく取ることが大切です。また、この規則正しい食習慣は、生まれてくる子供の食習慣の形成にもつながります。

☆特定の食品の取りすぎは、アレルギーの原因にも

妊娠中、牛乳や卵などを普段より多く取る方がいらっしゃいます。しかし特定の食材を多量に摂取することで、子供がアレルギーを持って生まれてくる危険性が高くなります。

牛乳は1日200cc程度、卵は1日1個程度にとどめ、タンパク質やカルシウムはいろいろな食品からとるようにしましょう。

☆妊娠中に歯がダメになるって本当?

胎児が必要とするカルシウムが、直接歯から溶け出すということはありません。しかし、妊娠中には歯が悪くなりやすい要因がいくつかあることは確かです。

意識して歯を健康に保つようにつとめましょう。体調の良いときに歯の健診を受けておくもよいでしょう。

★つわりがもたらす、歯に悪いこと

・食生活が不規則になる、酸性の食品が増える(口の中が酸性になって、虫歯になりやすい)

・吐いたものに含まれる胃酸が歯を溶かす

・歯ブラシを口の中に入れるだけで気持ち悪くなって歯磨き出来ない

*食べたらそのつど歯磨きするのが理想ですが、難しい場合は水で口をすすいで、歯を清潔に保つようにしてください。比較的気分のよい時間帯に丁寧に歯磨きをしましょう。歯ブラシを小さいものに替えると磨きやすくなることもあります。

参考文献 よい歯を育てる食生活 昭和大学歯学部小児成育歯科学教室偏 わかば出版

2008年1月22日 (火)

離乳食を食べ始める

本日は、金子芳洋先生、菊池武先生監修の「上手に食べるために~発達を理解した支援~からお届けいたします。

離乳食を食べ始める

☆離乳開始のサイン

離乳食は、「嘔吐反射が消えてきた」「ミルク以外の食物に興味を示すようになってきた」などのサインがみえたら開始しましょう。

「嘔吐反射」のあるうちは、自分の意思で口を動かすことが出来ないので、どんな食べ物が入ってきても、おっぱいを飲むときの動きしかできません。これでは本人もお母さんもストレスでいっぱいになってしまいます。生活のリズムという点では、離乳間隔が規則的に3~4時間あいている事も大切です。

また、内臓の機能が発達するのは、生後5ヶ月頃です。このことからも、早すぎる離乳は、消化不良やアレルギーの問題を引き起こすため注意が必要です。

急がず、慌てず、それぞれの赤ちゃんのペースで進めて行きましょう。

指しゃぶりは大切

離乳食がスタートすると、いろいろな硬さ、粘り気、形、味の食べ物が口の中に入ってくることになります。また、いままではお母さんやほ乳瓶の乳首が食器がわりだったわけですが、これからはいろいろな材質のスプーンやフォークなどを使うようになっていきます。それまでとは違う、様々な刺激が口やその周りに与えられるようになっていくので、そのための準備が必要です。

赤ちゃんは、生後2ヶ月くらいから、指しゃぶりなどによって、自分の口の周りにいろいろな刺激で触れられる経験を増やし、離乳の準備をしているのです。

食べる準備

おっぱいを飲むときには、お母さんに抱っこされて飲むことが多いですよね。離乳食になっても、はじめのうちはお母さんが抱っこして食べさせてあえてよいのですが、だんだんに赤ちゃん用の椅子に座ることに慣れさせ、坐って食べるようにしてきましょう。

椅子に座ってしっかりした姿勢を保つためには、首がすわっていることが大切です。また、首がすわっていることで、口や顎を上手に動かすことができます。

食具は、赤ちゃんが嫌がらない材質、形のスプーンを用意し、少しずつ慣れさせていきます。形の目安としては、スプーンのボール部(食べ物をのせるところ)の幅が、赤ちゃんの唇の幅より狭く、深さは浅めのほうが良いでしょう。赤ちゃんはまだ唇を閉じる力が弱いので、ボール部が大きくて深いと、なかなか食べ物を取り込めません。

食べ物の準備

味に慣れさせることから始めます。離乳食の開始は「嘔吐反射」が消えるサインが目安になりますが、味ならしは、果汁やだし汁などの薄味の液体をほ乳瓶から与えることで始めます。これは生後2~3ヶ月くらいから初めても良いでしょう。

ただし、「ほ乳反射」が消え、5~6ヶ月ころから実際の離乳食として与える場合には、ペースト状の食べ物からはじめていきます。

参考文献 上手に食べるために~発達を理解した支援~ 金子芳洋、菊池武監修 医歯薬出版

2008年1月21日 (月)

乳幼児の食生活Q&A

今回は池田市歯科医師会 母親Q&A検討委員会が作成した「すぐに役立つ歯育て支援Q&A」よりお届けいたします。

乳幼児の食生活に関するQ&A

Q1:甘いものは虫歯になると聞いたが、甘いものが好きなので、どうすれば良いですか?

甘いものだけでは虫歯にならないので、寝る前にきちんと歯を磨く、フッ素を使うなど、他のカリエスリスクとなる要因を減らし、甘いものを食べる時には、だらだら食べるのではなく、時間を決めて食べるようにしてください。

また、おやつの後、歯磨きをするかキシリトールガムを噛むなどすれば、虫歯のリスクを抑えることが出来ます。しかし、甘いものばかりを多量に摂ることは、全身の健康、発育のためにも望ましくないので、少しずつ減らすようにしましょう。

Q2:ノンカロリー(ノンシュガー)のスポーツドリンク、100%の野菜ジュース・果汁ジュースでも虫歯になりますか?

ノンシュガーであれば、虫歯にはなりませんが、100%野菜ジュースや果汁ジュースには果糖などが含まれており、虫歯の原因になります。砂糖、果糖、ブドウ糖の表示のある場合は、気を付けてください。

Q3:一切甘いものを食べたり、飲んだりしなければ虫歯にはなりませんか?

甘いものをまったく食べなければ虫歯は出来にくいと考えられますが、虫歯菌はパンやスナック菓子などからでも酸を産生しますので、注意が必要です。

Q4:チョコレートのカカオ成分は歯を虫歯にしないと聞いたのですが、本当ですか?

チョコレートの主成分であるカカオ豆に虫歯を予防する成分が含まれているようだということが分かってきました。

ポリフェノールと脂肪酸、タンニンなどが含まれており、これらが虫歯を抑える働きをしていると考えられています。しかし、チョコレートには砂糖が多く入っているため、虫歯に成りやすい商品といえます。

Q:寝る前に風邪薬のシロップを飲ませてそのまま寝るのですが、虫歯になりますか。

薬の甘み成分は砂糖が一般的です。短期間の場合は心配いりませんが、長期間続けていると虫歯の原因になると思われますので、気を付けてください

Q:寝る前にお茶を飲ませますが、夜中に虫歯になりやすいですか?

いいえ、お茶にはフッ素やポリフェノールが含まれているので、虫歯予防の一助になります。

参考文献 すぐに役立つ歯育て支援Q&A  池田市歯科医師会 母親Q&A検討委員会著 クインテッセンス出版

2007年11月17日 (土)

元気な赤ちゃんを産むには歯周病の治療を

本日は、宮田隆先生の著書「歯周病の本当に怖いわけ」からお届けいたします。

元気な赤ちゃんを産むには歯周病の治療を

生まれた時の体重が2.500グラム未満の赤ちゃんを「低出産体重児(低体重児出産)」と呼びます。

そして、最近、新生児に占める低体重児出産に割合の増加が問題になっています。厚生省の統計ですが、1993年に8万1.288人だった低体重児は、2003年には10万2.320人になり、10年間で2万1.032人も増加しているんのが分かります。

また、全出産数に占める割合も、1993年の6.8%から2003年には9.1%と、明らかに増えています。

なぜ、このように低体重児出産が増えてきたのでしょう。「日本未熟児新生児学会」によると、低体重児を出産する確立は、妊娠前の体型がやせ形で、妊娠してからの体重の増加が7キログラム未満の場合に高いとされています。

最近は、若い女性を中心に「やせ志向」が高まってきており、「妊娠中も太りたくなり」と考える妊婦も増えてきているようだ、と警告しています。

低体重児での出生にはいろいろな問題がついてまわります。栄養の摂取困難、虚弱、知能や運動能力の発達にも問題がついてまわります。

また、成人になってから、糖尿病や高血圧症などの生活習慣病を発症しやすいとの研究報告もあります。

歯周病と低体重児出産の関係

ところが、歯周病と低体重児出産の関係は長い間議論されてきませんでした。現在でも、低体重児に関するウェブサイトを見ても、歯科系のものを除きほとんど指摘されていないのが現状です。

しかし、1990年代の半ば頃から米国を中心に歯周病が低体重児出産に悪い影響を与える、という指摘が相次ぎました。1996年にはオッフェンバッハーという歯周病の研究者が、妊娠の歯周病が低体重児出産のリスクを高めることを確認したレポートを発表しました。

そして、歯周病の治療を受けると、早産の18%は防げ、実数では4万5.000人もの低体重児の出産を未然に防げると具体的な数字を示したものですから、米国では一大センセーショナルとなりました。

米国は訴訟社会ですから、特に産婦人科医は異常出産に対する告訴に大変敏感でした。ですから、出産を希望する女性に歯周病の治療を義務づけた産婦人科医が続出したほどでした。

その後、歯周病を低体重児出産の因果関係を示す研究が続々と発表され、欧米先進国では低体重児出産のハイリスクとして歯周病が位置づけられています。

さて、それではなぜ、歯周病が低体重児出産に関与するのでしょう。歯周病が早産を誘発するメカニズムはやはり歯周病菌と免疫ネットワークに関係がありそうです。歯周病菌が増えると歯周病菌に対する「自然免疫」と「獲得免疫」の両面で過酷な戦いが始まることはすでにお話しました。そして、免疫を担当する細胞から血中に「サイトカイン」という伝令タンパク(情報伝達物質といいます)が大量に放出させることもお話しました。

このサイトカインが過剰に出ると炎症が起き、歯肉や歯槽骨など組織が破壊され、歯周病は進行します。

ところが、妊婦の体内では、血中サイトカイン濃度が出産のゴーサインと見なされるのです。歯周病に罹患した妊婦では、妊娠37週未満にサイトカイン濃度が高まり、妊婦の子宮筋を収縮させる“スイッチ”が“オン”になると考えられています。

結果として、十分に成長していない状態で赤ちゃんを産む「早産」に繋がるという理屈です。

実際に、日本の最近の研究でも、正常妊婦の48人と、37週未満に分娩兆候の見られる切迫早産の状態にあった妊婦40人を対象に出産状況を調べたところ、正常妊娠・正期産の人に比べて、切迫早産で早産・低体重児を生んだ妊婦の歯周病の数は約4.5倍、血清中のサイトカイン量は約14倍多かったことを報告しています。このように歯周病に加え、サイトカインの多さと、妊娠期間の長さには明らかな相関関係があるようです。

さて、この低体重児出産のメカニズムは分かりましたが、それでは、歯周病のどのサイトカインがこんな悪さをするのでしょうか。それが最近の研究で明らかになりつつあります。

歯周病菌には細菌そのものが強い毒を放出するタイプのものが少なくありません。「ポリフォモナス・ジンジバーリス」(Pg菌)という細菌がそうですが、この細菌のようなグラム陰性菌の外側表面は糖が結合して出来た「多糖体」という構造になっていて、そこから「エンドトキシン」という強力な毒を出します。

エンドトキシンとは、「エンド(内部)」+「トキシン(毒)」という意味で、「内毒素」と訳します。それが私たちの身体に接着するとさまざまな反応を起こします。

分かっているだけでも発熱や白血球、血小板の減少、骨髄出血と壊死、血糖低下などなど、実に多くの病的な反応を起こします。それだけ強烈な毒素ということがいえましょう。

そして、このエンドトキシンに対し、生体はさまざまなサイトカインを放出して免疫ネットワークで抵抗を試みます。どのサイトカインの中に痛みに強く関係しているといわれているプロスタグランディンとTNFがあります。

TNFはインスリン抵抗性にも関与しているとお話しましたが、実はこの出産の合図ともなるサイトカインとも考えられています。これらのサイトカインはいずれも炎症を起こさせるもので、歯周病と免疫との戦いのなかで炎症の結果として生じるサイトカインがどうやら低体重児出産に強く関わっている図式が見えてきました。

参考文献 歯周病の本当に怖いわけ 宮田隆著 医歯薬出版

2007年11月 4日 (日)

お友達には虫歯がないのに

今回は、「口腔の成育をはかる こんな問題にであったら 医歯薬出版」からお届けいたします。

虫歯の発生をどのように考えるか

地域で開催される幼児の歯科検診や、外来を訪れるお母さん方のなかに、「うちの子供は、歯磨きやおやつのあげ方にも注意してきたので、何とか虫歯ゼロで頑張っています。でも、お隣の子はほとんどなにもしていないみたいなのに、虫歯が無いみたいですよね。どうしてでしょう」と不思議そうに訪ねられる方もいらっしゃいます。

虫歯の病原菌の中には、種々の連鎖球菌や乳酸桿菌、放線菌などがありますが、その中でもミュータンス連鎖球菌がよく知られています。虫歯は、これらの病原菌が砂糖などの糖質を原料として酸を産生し、その酸によって歯が溶けてくる病気をいいます。疾病発生の要因からいえば、歯面に付着しやすいミュータンス連鎖球菌を中心としたプラークが病因ということになります。

そして、当然のことながら、歯の質(石灰化度や形態などを総称して)や唾液の質(唾液の流失量や唾液緩衝能などを総称して)のような宿主の抵抗性(感受性)も影響してきます。

さらには、糖質の種類や摂取の仕方、保育環境、育児環境、教育環境などの多くの環境要因も関連してくる訳です。すなわち、これらの要因には、歯に対する攻撃要因と抵抗要因が混ざっているわけです。

簡単に言えば、攻撃要因の力が抵抗要因の力に勝っている時には、虫歯の発生する方向にすすみます。反対に、抵抗要因が強い場合には、虫歯にならずにすむということです。

そこで、子供を虫歯から守るために養育者が行っていることは何かを考えてみましょう。

虫歯予防に対して効を奏するのは、おもに、歯ブラシによるプラークの除去と糖質の摂取状態の改善ですが、プラークは、その構成割合の70~80%がミュータンス連鎖球菌など虫歯を発生するのに関連する細菌で出来ていますから当然、歯に対する攻撃側の要因です。糖質の頻回の摂取状態も、細菌に栄養を与えているのですから攻撃側の要因に力を貸していると言えます。

したがって、保護者が虫歯予防のために一生懸命に取り組んでいる内容は、攻撃側の抑制という、真にかなったことだった訳です。

ではどうして「なんにもしていないお隣の子」は虫歯がないのでしょうか?

虫歯に対する抵抗性

先に述べたように、虫歯の発生は攻撃側の力と抵抗側の力のバランスによって決まります。シーソーを思い浮かべてください。「なんにもしていないのに虫歯にならない」のは、虫歯に対する抵抗性が強い証拠です。

抵抗性について具体的にいえば、、一つは歯の要因で、もう一つは唾液の要因と考えることが出来ます。歯の要因には、たとえば歯の形、すなわち裂溝の複雑さや深さなどが関係しています。さらには、目には見えませんが、エナメル質の結晶構造の違いなども影響します。

また、唾液の要因には、唾液の流出量、緩衝能、PHなどの要因があげられています。これらの要因は個体特性であり、可変的な要因で無いことが最大の問題点です。

一般的にいう「恵まれた」要因をもつ人は必ずいるもので、このような人たちは、歯磨き習慣や間食の摂取の仕方などにおいてコントロールが十分でなくとも、虫歯になる機会が少なくないのです。

なぜ虫歯は減ってきたのか

一般に、「虫歯が減ってきた」というとき、虫歯の本数が減ってきたということと同時に、重症の虫歯の減ってきていることをしめします。

虫歯が発生しないということは、先に示した、宿主(歯や唾液などの要因)、環境(糖質の摂取状況、育児環境などの要因)そして病因(ミュータンス連鎖球菌などの細菌塊であるプラーク)の重なりが少なくなったり、あるいは離れたりしている事を意味します。

基本的に、健康教育による保護者の知識の獲得が、あらゆる面で効を奏していると言われています。そのことで、歯磨きの見直しが図られるとよいと思います。

ところで、虫歯の発生に関わる多くの要因の寄与率を計算すると、フッ化物含有歯摩剤が大きいことが分かります。このことは、ヨーロッパ諸国においても同様ですが、背景には健康教育の実践も寄与hしているのです。

虫歯を作らないこと、口の機能を十分に育ててあげること、これらはすべて「子供を育てていく」過程の一つです。

乳幼児の頃は、養育者が管理してあげないと健康を保つ事が出来ない場合が多いと思いますが、その中でも少しずつ、自分の身体を大切に守っていく心も育てたいと思います。

虫歯を予防することは、決して難しい事ではありません。歯科医療機関での専門的なサポートを受けながら、家庭において楽しく健康作りができるよう、歯科医療者は「育児支援」「親子のふれあい」の中で、歯・口の健康作りを通じてライフステージに沿った健康づくりの基礎を支援することが求められていくことと思います。

参考文献 口腔の育成をはかる こんな問題に出会ったら 生活者ととこに考える解決策 安井利一担当分 医歯薬出版

2007年10月28日 (日)

八重歯はかわいい?

今回のテキストは、佐々木先生の著書 「口腔の成育をはかる こんな問題に出会ったら」から八重歯についてお届けいたします。

八重歯はかわいい?

以前は、“八重歯はかわいい”といわれたことがありましたが、最近では、このような意見を聞くことはあまりありません。

現在患者さんが“八重歯を治してほしい”と言うとき、主訴は審美的な要求がほとんどです。しかし、八重歯を治療する目的は、審美的な問題のみでなく、機能的な問題もあります。

歯列、咬合、顎顔面形態は、単に両親から受け継いだ遺伝情報によってのみ決定されている訳ではありません。生まれてからの機能も大きく影響しています。

このような考え方を、機能母体説(functional matrix theory)といいます。

歯列は、外側から咬筋や口輪筋などの表情筋が、内側から舌が押し合っているその力の中立帯に配列しているにすぎないのです。

ディスクレパンシー(歯の配列の乱れ)があり、口輪筋の力が比較的強いと、切歯が直立し、八重歯になります。

もし、口輪筋の力が弱いと、切歯は舌に押されて唇側に傾斜し、口元が突出した顔貌になります。つまり、八重歯は上顎のディスクレンパンシーの一表現型であり、その形態に影響を与える要素の一つに機能(Functional matrix)があると考えられます。多くの患者さんからも分かるように、八重歯になる患者さんの口元は、多くの場合、引き締まっています。

八重歯の顔をかわいらしいと感じていたのは、八重歯がかわいいのではなく、八重歯になるような口元をもった顔貌が好感をもたらすからかもしれません。

2007年10月23日 (火)

子供の体力 下げ止まり?

本日は、日本経済新聞 10月8日分の社会面に掲載された記事からです。

☆子供の体力下げ止まり?

短距離走のスピードや筋力など子供の運動能力の低下に歯止めがかかってきたことが、文部科学省が2006年に行った体力・運動能力調査で分かりました。中学生男子の50メートル走や握力の成績がここ数年、横ばいか上昇傾向で推移しており、文部省は「下げ止まったといえるか検証を続けたい」と話しています。

調査は昨年5~10月、6歳から79歳までの男女約7万4千人を対象に実施しました。約7万1千人の調査票を回収しました。

13歳の男子で見ると、50メートル走の平均記録は前年と同記録。3年連続改善か横ばいを続けており、握力は2年連続上昇しました。

ハンドボール投げは前年より低下したものの10年前と同水準で、テスト結果が大きく落ち込んだ1980年代後半~90年代半ばに比べ全体の低下傾向は緩やかになっています。

50メートル走は小学生で男女とも多くの年代でここ5年ほど改善か下げ止まりの傾向が見て取れます。

立ち幅跳びは10年前の水準より低いものの、7歳で前半よりやや改善。ソフトボール投げは7歳男子で3年連続記録が伸びているものの、11歳男子は4年連続下落し、低学年と高学年では、ばらつきがあります。

一方、中学校で実施する持久走は男女とも2年連続で記録が悪化し、持久力の低下には歯止めがかかっていないのです。

体力調査について、文部省は「子供によって運動能力の二極化が進んでいる」と分析。調査を担当した順天堂大学の内藤久士準教授は「運動不足に端を発した能力低下が行き着くところまでいって、急激に回復しているとはいえない」と見ています。

☆睡眠短い子ほど運動能力低い

文部省は体力・運動能力調査で生活習慣病と運動能力の関係も調査しました。握力や立ち幅跳びなどで運動能力を測る体力テストを得点化して比較したところ、睡眠時間が短い子供ほど運動能力が低い傾向にあることがわかりました。

6~15歳で「睡眠時間が6時間未満の子供」を比べると、男子は6歳を除くすべての年齢、女子は8歳を除く全年齢で平均の合計点数が低かったのです。筋力の指標となる「握力」では目立った差は出ませんでしたが、全身持久力の指標となる「20メートルシャトルラン」や「持久走」で差が大きいのです。

同様に1日のテレビの視聴時間が長い子供の成績がより短い子供を下回り、朝食を「時々もしくは毎日食べない」層の成績が「毎日食べる」層を下回る傾向がありました。

20歳以上でみると、20代の男性と45歳以上の男女で合計点が8年前の調査を上回りました。週1日以上運動する割合が男性はほとんどの年代で、女性も40代以上で8年前より多くなっており、成年層は健康ブームを背景に運動能力が高まっている様です。

2007年10月 9日 (火)

おしゃぶりなら大丈夫なの?2

昨日の続きです。

なぜ、指しゃぶりをやめられないのでしょう?

幼児期になると、子どもは母親が自分とは異なる存在であることを理解し始め、養育者との基本的信頼感が確立する3歳頃には、親元を離れて1人で行動するようになります。

さらに行動範囲や興味が広がる4歳以降では、不安解消が目的の吸綴も不要となっていきます。多くの子ども達がこのような経過をたどっていくので、3,4歳までの指しゃぶりを心配はないのです。

4歳以降も指しゃぶりが続く子ども達がいます。その理由として、内在する安心感が弱い、外界との接点がうまくもてない、といった状況から生まれた吸綴行動への潜在的欲求があると考えられるかもしれません。しかし、どのような理由や背景があったとしても、この行動を続けていれば、繰り返し学習から行動パターンとして定着していきます。これが、指しゃぶりが継続する多くの子ども達の背景です。

おしゃぶり習慣

西欧で非栄養的吸綴習慣といえば、主におしゃぶりの長期使用をさします。スウェーデンでは1940年~1980年までの間での長期にわたるおしゃぶりと指しゃぶりをしらべたデータがあるのですが、前半は指しゃぶりがリードしていたものの、後半はおしゃぶりが盛り返し、両者の頻度は逆転しています。

つまり、第二次世界大戦後、社会で積極的におしゃぶりが使われ始めると、指しゃぶりは激減したものの、結果として非栄養的な吸綴行動全体は増加したと読めます。

また、日本でも指しゃぶりとおしゃぶり習慣の頻度が逆転しそうな状況であることが分かっています。

おしゃぶりを日常使っている子どもには、指しゃぶりはほとんど見られません。また、前述したように、母乳育児が3歳以降まで続く社会集団でも指しゃぶりはみられません。

授乳行動を介した養育者との相互作用が、赤ちゃんの発育に大切な要素であることや、授乳機会を自制した西欧社会でおしゃぶり習慣が定着した訳が理解できます。

おしゃぶりの功罪

このようにおしゃぶりの使用には、歴史的にも文化的にも変遷があったようです。新生児から使用することは一部地域を除く欧米社会では一般的ですが、アジア地区でも急激に使用頻度が増えていると思われます。ではこの傾向は世界中の保険医療機関に認知されてきた結果なのかというと、実はそうではありません。

現在、世界的に母乳育児が推進されていますが、人工乳首もおしゃぶりも母乳育児を阻害する要因と考えられ、これらを排除する勧告もなされています。

おしゃぶり習慣で吸綴欲求が満たされるだけでなく、乳首の認知混乱が哺乳量・哺乳時間の減少をもたらすからです。

また、耳管機能の障害や細菌叢の変化が原因で、滲出性中耳炎の罹患頻度が倍増することもしられています。

唯一、おしゃぶりの使用を有効だとする状況として考えられるのは、経管哺乳へ移行するための準備として、おしゃぶりは吸綴機能の発達促進に有効な手段と考えられてきました。しかし、確証は得られておらず、この目的で使用することは否定されていませんが、明確な根拠はありません。

明日へ続きます。

参考文献 お母さんの疑問に答える すこやかな口 元気な子ども 佐々木洋著 医歯薬出版

2007年10月 8日 (月)

おしゃぶりなら大丈夫なの?1

昨日からの続きではありませんが、今回は「おしゃぶり」に関してです。

今回から数回分のテキストは、「すこやかな口 元気なこども(医歯薬出版)」からです。

赤ちゃんの吸綴機能

赤ちゃんが自分の意志で哺乳量を調節する“自律哺乳”が出来るようになるのは、生後3ヶ月以降です。その後は栄養摂取目的の哺乳だけではなく、主に不安解消が目的の吸綴が増えてきます。前者はストロー飲みなどの成人様の吸綴運動として発達していき、後者は遊び飲みや乳首以外の指やタオルをしゃぶる習慣として定着していきます。

栄養摂取が目的でない吸綴には鎮静(痛)効果があり、授乳を介した基本的信頼感(アタッチメント)の形成を強化すると同時に、むずがる赤ちゃんの機嫌を落ち着かせるための手段として、夜間授乳のおしゃぶり使用の動機にもなっています。

赤ちゃんが指しゃぶりするわけ

しかし、多くの赤ちゃんにとって、これが初めての指しゃぶり体験ではありません。超音波検査装置で確認すると、胎生15~20週ごろから、胎生の赤ちゃんが指をしゃぶる様子が頻繁に観察されます。

羊水に浮かんだ胎児にとって、母体内は温かく安全で、また重力の影響が少ない、自由に体を動かす事の出来る空間です。安易に指を吸うことが出来き、手指と口の感覚を発達させることが出来ます。

もともと口には「ものを探る」働きがあり、出生後も手足を吸ったり、なめたりして自分の身体を認知していきます。新生児期には、重力によって身体の動きは制限されるので、指しゃぶりはお休みしています。しかし、首がすわるなど次第に重力に拮抗して身体をコントロールすることが出来るようになると、自然に口もとに届いた指を反射的にくわえるようになり、鎮静効果をもった非栄養的吸綴運動として定着していきます。もちろん、指しゃぶりをしない赤ちゃんもいます。

3歳までは吸うのが当たり前

新生児の口は、食べ物としては乳首からの乳汁だけを受け入れるようになっています。咬んだり、つぶすことはまだ出来ないので、危険な固形物や身体に害があるのかもしれないすっぱい味(酸味)・苦い味(苦味)は受け付けません。

これは生まれながらにもつ、自ら身体を守るための反射的なしくみの一つなのですが、このままでは固形物の摂食、つまり離乳は始められません。原始反射の減退・消失が離乳には欠かせないのです。また、こうした口の脱感作や、指しゃぶりやおもちゃなめから生まれる感覚刺激によって拡大していくと考えられています。

このように、赤ちゃんの吸綴行動は、哺乳から離乳に至るまでの口の動きだけでなく、こころと行動の発達に深く関係しています。

吸っているのは、母親の乳首や自分の指であったり、身近なタオルやおしゃぶりといった人工物であったりと多岐に渡るのですが、こうした背景から、人やチンパンジーなどの高等霊長類の吸綴行動は3~5歳までは当たり前の行動と考えられています。しかし、対象が異なれば、様々な吸う行動の頻度は互いに拮抗します。

たとえば、社会学的調査からは、ヒト社会でも3歳以降まで母乳育児を続けている集団では、指しゃぶりはほとんどみられないことが報告されています。母乳で育つ赤ちゃんにとっては、お母さんの乳首がもっとも魅力的なのは当然でしょう。

参考文献 お母さんの疑問に答える すこやかな口 元気な子ども 佐々木洋著 医歯薬出版

2007年10月 7日 (日)

おっぱいを飲む

今回は、金子・菊谷両先生の監修した「上手に食べるために-発達を理解した支援-」からお届けいたします。

おっぱいを飲む

おっぱいを飲むときの赤ちゃんの口の動き

生まれたばかりの赤ちゃんの場合、おっぱいを飲む動き(哺乳行動)は、原始反射である「哺乳反射」によって行われます。哺乳反射には、「探索反射」と「吸綴反射」があります。

生まれたばかりの赤ちゃんにとっては、しっかりと栄養を取るために、このような反射は亡くてはならないものです。けれども、この反射は成長とともに次第に消えていきます。

生まれたばかりの頃は口に入ってくるものは何でも反射的に吸ってしまうため、飲む量を調節できず、そのために吐いてしまいます。

けれども、「吸うことを拒否する能力」は少しずつ発達していきます。通常の場合、生後3~4ヶ月ごろになると、何となく飲みが悪くなったような気がしてくるのですが、これは赤ちゃんが「自分で飲む量を調節出来るようになった」と言うことなのです。そしてやがて反射は少しずつ消えていき、5~7ヶ月ころになると、離乳食を食べ始めることが出来るようになって来ます。

赤ちゃんの飲み方。

赤ちゃんがおっぱいを飲むとき、口はどうなっているのでしょう?

口は上下に大きく開け、上は上顎、下は舌が乳房を支えています。そして乳首を上顎の奥の方まで引き込んで、「吸綴反射」の動きで飲んでいます。つまり、唇と顎は開いたままで、飲むことが出来るわけです。

このような飲み方は「乳児嚥下」と言われます。けれども、いつまでもこのような飲み方をしていると、固形物を食べることが出来ません。「哺乳反射」が消えていくのとほぼ時を同じくして、唇や顎を閉じながら飲み込む、「成熟嚥下」が出来るようになっていきます。

哺乳反射の残る4ヶ月以前に離乳食を始めてもなかなかうまくいかないのは、このような発達のしくみがあるからなのです。

参考文献 上手に食べるために 金子芳洋・菊谷武監修 医歯薬出版

2007年10月 6日 (土)

子供はほめて育てよう

本日は、日本経済新聞(9月25日)に掲載された「脳を鍛える大人のDSトレーニング」監修者 川島隆太先生の記事からお届けいたします。

子供はほめて育てよう*******東北大学教授 川島隆太

息子が4人いる。大学生の万平(22)と康介(19)、高校生の端記(17)、中学生の克也(14)。計算や音読で脳を鍛える「脳トレ」がブームになり、我が子の脳を刺激して賢く育てようと熱心な父親が多いようだが、脳を研究している僕自身が実行したのは一つだけ。

毎日、短時間でいいから机に向かわせる習慣をつけさせることだ。

ゲームは放っておくと何時間もしてしまうので、平日は禁止。終末のみ「兄弟4人で合計2時間まで」と決めた。守らなければゲーム機を壊すと宣言し、実際にソフトを目の前で折ったこともある。

ゲーム自体は悪くなくても、目が悪くなると感じた。家族団らんや兄弟同士の関わり合いの時間も奪われる。生活時間の配分には、親がしっかりと関わるべきだ。

脳には栄養と睡眠がとても大事だから、寝る時間にも厳しくした。小学生までは9時に寝る。高校受験のころも10時には布団に入れさせた。朝食を食べないと登校させない。眠くて食べられないならもっと早く起きろと言った。

長男は東京の大学で医学部生になり、次男は教育に関心があるようだ。進路相談には乗ったが、勉強を見たり干渉したりはしなかった。それには僕の父親の存在も関係しているかもしれない。

父は物理の研究者で、今の僕など足下にも及ばないスパルタ型だった。父親が家にいる終末は憂鬱でしかたがなかった。その父をモデルに「怖い父親」」を僕もやってきた。食事の態度が悪ければ手を上げ、悪さをすれば尻をたたいた。

父親が怖いと分かれば、子供は自然と自分を律するようになるからだ。

ところが、三男が誕生した時、僕自身の変革が求められる事態に至った。長男と次男が「萎縮している」感じた妻が「これからは強くしないで」と言い出したのだ。しかる子育ては間違いだという。「子供はほめて育てよう」という方向へ、時代の空気も変わった。

仕方なく、三男が生まれた瞬間に気持ちを切り替えた。次男までとは違い、三男、四男はほとんどしかっていない。下二人は、しつけの行き届かない面があるのかもしれないが、伸び伸び育った。

面白い発見もあった。長男と次男が、僕にしかられたと同じように三男や四男をしかり、兄弟間で教育するのだ。子供が家庭の中で社会をつくり、教育までするというのは驚きだった。結局、親が頑張らなくても子は育つということを学んだ。

ゲームソフトの監修で何億円というロイヤリティーを得たが、個人で受け取らずに大学の研究棟建設にあてた。身の程を越えたお金があっても困るだけだ。子供に金銭教育はしていない。自ら稼ぐようになってから学べばいい。

お金に限らず、親があれこれ子供にしてやるのは間違っている。子供は他者が自分のために何かをしてくれると学習してしまう。世の中、そんなに甘くない。脳のトレーニングも大事だが、家庭で生き方のトレーニングを出来ないのは不幸だろう。

2007年9月28日 (金)

子供にブラッシングを教えよう2

昨日の続きです。

ブラッシング成功のカギはお母さん

乳幼児はバカではなく、とても鋭敏な感受性を持っています。特に母親の心を感知し、母親が許す範囲でわがままをいったり泣いたりしているのです。

もちろん、父親やほかの家族の存在も重要ですが、乳幼児はお母さんが大好きで、その分、母親の本音がどこにあるかが一番大切なのです。

母親が心の底から本音で、子供のためにブラッシングが大切だと考えていれば、子供は素直に受け入れるようになります。

子供は大好きなお母さんの願いを踏みにじるようなことはしないのです。

口腔衛生意識や健康観を養う基礎となる大切な時期ですから、是非楽しく、一生懸命やってみてください。お母さんの意識が高ければ高いほど、家族は美しく輝いた歯になります。

参考文献 歯で守る健康家族 丸橋賢著 現代書館

2007年9月27日 (木)

子供にブラッシングを教えよう1

今日から2回に渡り、丸橋賢先生の著書「歯で守る健康家族」から子供のブラッシングについてお届けいたします。

子供にブラッシングを教えよう

①ブラッシングは1本目が生えたら始める

子供のブラッシングは、いつから始めたらいいですか、という質問をよく受けます。

乳歯が1本顔を出した時からブラッシングを始めましょう。天から与えられた玉のように美しい乳歯を虫歯だらけにするなどということは天の意思、人の道に反したことなのです。

それに乳歯は、成長期における子供の咀嚼の主役であり、正しい栄養摂取を助け、咬むことによって、顎骨も成長します。また、永久歯が正しく萌出するためのパイロット役も果たしています。

乳歯は大切であり、軽視してはいけないのです。また、ブラッシングの習慣をインプリントするためにも、最初から習慣づけることが大切です。大きくなって、ブラッシングの大切さを理屈で分かる前に、食べたら磨くものという習慣を体にしみこませてしまうことが大切です。トイレに行った後に手を洗う、などと同じです。では、子供の歯はいつ頃萌出するのでしょうか。

②乳歯の萌出

標準的な乳歯の萌出時期を示しますが、3~4ヶ月程度の差はあるので、すこし遅れたからといって心配はいりません。6ヶ月、10ヶ月も遅れる例もありますが、歯胚があればいつか萌出してきます。特に悪い影響もなく、心配いりません。

③乳歯萌出の時期と順序

1.最初に萌出するのは下顎乳中切歯(下の真ん中の歯)・・生後6ヶ月前後

2.次ぎに下顎乳側切歯(真ん中のとなり)と上顎乳中切歯(上の真ん中)・・生後7ヶ月前後

3.上顎乳側切歯(上の真ん中のとなり)・・生後9ヶ月

4.あとは1年以上たってから下顎第一乳臼歯、上顎第一乳臼歯、下顎乳犬歯、上顎乳犬歯、下顎第二乳臼歯、上顎第二乳臼歯の順で萌出します。乳歯列完成は生後約2年です。

この時期のブラッシングの習慣づけは、美しい乳歯列を守ること、インプリントすることの両面でとても大切です。

このころ、子供は自分から進んでブラッシングするはずもなく、上手にも磨けません。お母さんを中心に家族が一緒に楽しく付き合い、面倒を見てあげることが大切です。

では次ぎに、この時期の成長に伴ったブラッシングの習慣づけの手順をまとめます。

  1. 1本生えたらブラッシングを始める。最初、粘膜が弱く痛がれば、水で濡らした綿棒などで清掃してもよい。
  2. 何本か萌出したら小さな乳児用ブラシで磨く。なじませるため、ブラシをおもちゃ代わりに与える。子供は何でも母親のまねをしたがるので、お母さんが率先して楽しそうにブラッシングしてみせる。
  3. 1歳半くらいから不完全ながら自分でブラシを使うようになる。子供が自分でブラシを使った後、親がひざの上に子供の顔を載せ、口を上からのぞき仕上げ磨きをする。
  4. 2歳くらいからかなり上手に磨けるようになる。しかし、小学校中頃までには、親の総チェックが必要
  5. それ以後は、原則として自分で磨かせ、時々チェックし、アドバイスする。

大事なことは、焦らず、時間を掛け、ゆっくりと身につけさせる事です。

小児科医の中には、小さいときからブラッシングを行うと、精神的に悪影響があると言う人がいます。私はその意見は間違いだと思います。幼いときに放置し、後になって無理に習慣づけようとすると嫌がるようになるのです。最初から時間をかけ、ゆっくりと身に付けさせましょう。

それに1歳半くらいから、虫歯は急速に増えてしまうのです。後になってからでは間に合いません。

明日へ続きます。

参考文献 歯で守る健康家族 丸橋賢著 現代書館

2007年9月 9日 (日)

口は幸福の究極の概念

本日は、メデントインスティテュード代表の伊藤正夫先生の著書からお届けいたします。

口は幸福の究極の概念をつくる

そもそも口は、人の幸福感ときわめて密接な関係を持っています。

口の機能がうまく働かないと、人は幸せを感じられなくなります。これは人の発達段階の一番初期の体験と結びついています。

オーストリアに有名な心理学者ジークムント・フロイトは、性的発達段階のひとつとして、口唇期というものを提唱しています。これは、授乳期にあたりますが、人の性格を形成する上で強い影響をもたらす時期です。

赤ちゃんは生まれてから、お母さんの乳房に吸い付くことによってのみ、生きることが出来るわけです。お乳が唯一の生活の糧です。

そのため、乳房に吸い付くことは、生存に欠くことの出来ない行為なわけです。赤ちゃんはこれでしか生きていけないということを感覚で感じ取っているわけです。

ところで、赤ちゃんはお乳を吸うときに、私たちがストローで何かを吸い取るように吸っているわけではありません。まずお母さんの乳房を口いっぱいにほおばります。そして乳房を舌で口蓋(口の天井)にぎゅっと吸い付ける、いわゆる吸綴(きゅうてつ)行動を起こします。これはとても強い吸引力です。

この時、赤ちゃんはまだ歯が生えていませんから、顎の土手、唇、ほっぺたと、口の全部の機能をつかっています。こうした行動によってお乳が口の中に流れ込み、飲むことが出来ます。

赤ちゃんは(ということはつまり人は)この時の感覚を覚えているのです。こうして口のすべてを使ってお乳を吸い、自分は生きていることが出来るという感覚、幸福の原始的な概念が構築されるわけです。

ところで、大人には、様々な幸福の概念があります。「幸福とは」と聞かれてば、人によって答えが違います。

しかし、幸福というものの核は、生後3ヶ月の間に決まっているのです。基本概念は赤ちゃんの頭の中に形成されているのです。

つまり、お母さんのお乳を飲む幸福感です。これは口という器官を通じて、情報が赤ちゃんの頭に入っているわけです。これによって口が、人にとっては死ぬまで幸福と密接な関係を持つことになるのです。

たとえば、幸福の瞬間といえば、恋人同士のキスがあります。これはお互いの幸福の感覚、すなわち生まれて以来慣れ親しんだ口の接触感覚を交換するという行為です。

歳をとったら、食べることだけが楽しみという人が多くなりますが、お年寄りは腹一杯食べたいからうれしいわけではありません。味わいやのどごしを味わいたい、そこに幸福を感じるのです。

これも赤ちゃんの時に確立した幸福感の延長線上にあるのです。

この口の機能に障害を受けると、幸福を感じられなくなります。幸福感が遠のいてしまうのです。

歯科医に、「この歯は抜きましょう」と言われただけで、人は大変に寂しい気持ちを抱きますが、これはたった1本の歯にせよ、自分の幸福の一部をはぎ取られるような感じがするからです。

口は、心臓などと較べれば生命の維持そのものには大きな役割を果たすわけではありません。栄養を体内に入れるという点だけならば、いろいろな方法があります。

しかし、、口は人が生きる目的である「幸福」と非常に密接な関係を持っています。口は幸福を感ずることが出来る器官だということが重要なのです。

参考文献 高度歯科医療最前線 監修 伊藤正夫 経済界

2007年9月 3日 (月)

食卓はしつけの宝庫

本日は、大脳生理学者で、京都大学名誉教授でいらっしゃる大島清先生のエッセイのご紹介です。

食卓はしつけの宝庫-弧食から幸せな子供は育たない-

かつての「日本の食卓」には、子供の精神形成に必要なことを学ぶ機械がたくさんありました。

「いただきます」などの挨拶の徹底は生活全体のけじめをつけ、食事前後の手伝いは、責任感や自主性を身につける効果があったはず。

食卓の会話は「なぜ冬はこの野菜をたべるのか?」「なぜ良く咬んだ方がいいのか?」などを教える場でもあり、それによって子供は自然に親を敬うことが出来ました。

すこし堅苦しいと思っても、おいしい物を食べる食卓だからこそワイワイ子供も楽しく学べたのです。

食卓の役割が薄れた現在ですが、たとえ親子2人であっても、家族が揃うことは重要です。様々な話をしながらしっかり味わうことは、一生を通じて脳に刻み込まれるもの。食事の時間が豊かなものであるほど、その後の人生も豊かになるといっていいでしょう。

何気ない食卓の会話から子供が学べる事は山ほどあるのです。

1人で食事をとる「弧食」には、そういった健全な学びがまったくありません。偏食で体調不良になるばかりか、深い情緒が育たず、理性のきかない大人になってしまいます。子供の幸せを願うなら、何よりも本来の食卓を取り戻すことです。家族が集まって一定の時間を過ごすだけでも、貴重なしつけのチャンスと考えてください。

2007年8月17日 (金)

子供の噛む力低下

ちょっと古い情報なのですが、福島民報7月8日付けの記事です。

子供の噛む力低下・・・虫歯は減少、生活習慣にも注意を

歯の健康に対して学校や家族の意識が高まり、子供の虫歯はこの20年で激減しました。

一方で食生活の変化などから、噛む力は低下し、歯肉炎なども増えています。学校ではブラッシング指導だけではなく、生活習慣を見直すことで歯の健康を守る活動も始まっています。

「サッカーのシュートや野球のバッティングの瞬間、選手は歯を食い縛ります。歯が丈夫でないとスポーツで良い成績を出せません。物をよく噛む事には、歯をきれいにする働きもあるので、しっかりと噛む習慣を付けましょう。」

「虫歯予防デー」の6月4日、東京都荒川区立ひぐらし小学校で行われた特別授業「カミカミスクール」。日本歯科大学東京短期大学(東京都千代田区)の福田教授は、子供たちに噛むことの大切さを訴えました。

福田教授らは、透明フィルムを使って全児童約380人にの噛む力や左右のバランスを測定。さらに色つきのガムを噛んでもらって自分の噛み具合の特徴を確認させると、子供たちは興味津々の様子で説明に聞き入っていました。

文部科学省の学校保険統計調査によりますと、虫歯(処置ずみを含む)のある小学生の割合は1986年に91.2%でしたが、2006年には67.8%にまで低下。12歳児一人あたりの永久歯の虫歯の本数も4.58本から1.71本に激減しました。

中央教育審議会の学校安全部会委員を務める日本学校医会の丸山進一郎専務理事は「虫歯予防に対する家庭や学校の意識が高まった事に加え、医療体制が充実したことも大きい」とその背景を指摘しています。

ひぐらし小学校では、これまで歯科検診や歯磨き指導を行って来ましたが、「カミカミスクール」後、3年生と5年生の2学年が7月下旬まで、虫歯菌を弱らせる効果があるとされるキシリトール配合のガムを毎日、給食後に2粒かみ、噛んだ回数などの記録を付ける活動を始めました。

2007年8月 2日 (木)

乳歯のケガ

本日は、月星先生の「知っててよかった 歯のけが 口のけが」からお届けいたします。

〈乳歯のケガ〉

乳歯のケガも永久歯のケガと同様にすぐに歯医者さんへ行き検査を受けます。

しかし、乳歯のケガは歯医者さんでは放置あるいは抜歯することが多いかもしれません。なぜなら治療によって大切な永久歯を傷つけるおそれがあるからです。乳歯の下には大切な永久歯が育っています。

乳歯のケガで最も多いのは歯の変色です。少し打っただけで、数ヶ月後に歯の色が暗く変わります。乳歯の変色は一般的には治療を行う必要はありません。

しかし、歯肉が腫れてきたら、神経の治療が必要になります。その他に、乳歯でも、破折や脱臼がありますが状況により治療を行う場合と、歯を抜いてしまう場合があります。

〈乳歯のケガによる永久歯の様々な変形(問題)〉

乳歯はやがて永久歯に生えかわります。すなわち乳歯のすぐ下には永久歯がつくられつつあります。

もし、乳歯が外力によって動くと下の永久歯にさまざまな影響をおよぼすことがあります。

たとえば、歯の一部が傷ついたり、歯冠が折れ曲がったり、歯の根っこが曲がったり、成長が止まったりします。

このような永久歯の変形は乳歯の変形は乳歯がケガをした瞬間に決まってしまい、助ける方法はありません。

しかし、乳歯が抜け落ち、変形した永久歯が生えてきた時に、治療できる場合もあります。

〈予防と再発防止〉

どんな病気もケガも起きる前に予防できればそれに越したことはありません。歯のケガは一見予防とは無縁のように思われますが、いくつかの注意点をあげることが出来ます。

歯のケガは子供の遊びが活発化する時期に一気に増えます。まず歩き始めの時期では、親の注意が必要です。転落、転倒、くわえ歩き、はしゃぎなど、出来るだけ顔を打たないように注意しましょう。

スポーツの最中に歯のケガが起こる事は多いと思います。本人の顔面に対する保護意識が大切です。また、出来ればマウスガードの着用を勧めます。

選手同士の接触が多いスポーツクラブ活動ではマウスガードの着用の重要性を強調したいと思います。

歯並びが悪い場合、飛び出している歯ほど歯のケガを被る確率が高くなります。従って、歯並びを矯正により改善することも歯のケガの予防に繋がるかもしれません。

けんかや事故などは骨折を含めた、より大きな歯のケガをもたらします。冷静な日常生活を送りながら、歯のケガを出来るだけ少なくしたいものです。

参考文献 知っててよかった! 歯のけが 口のけが 月星光博著 クインテッセンス出版

2007年7月24日 (火)

歯育Q&A

今回は、池田市歯科医師会と母親Q&A検討委員会の方々が出版された「すぐ役立つ歯育て支援Q&A」からお届けいたします。

Q1:歯をあまり磨かないのに虫歯にならない人がいるのはなぜですか?

A:虫歯に成りやすいかどうか(カリエスリスク)は一人ひとりことなります。リスクの低い人の中には、歯を磨かなくても虫歯にならない人がいます。

Q2:兄弟の上の子には虫歯が全然ないのにどうしてしたの子は虫歯になるの?

A:兄弟でもカリエスリスは異なります。また、一般的に下の子は、上の子と一緒に早い時期から甘いものを食べ始めることが多いことも関係していると思われます。

Q3:歯磨きと虫歯は関係ないとおもうのですが?

Q4:虫歯にとてもなりやすいのです。歯を磨く以外に予防はないですか?

Q5:歯を一生懸命磨いているのに次々虫歯に虫歯になります。なぜですか?

A:歯磨きと虫歯は関係がります。しかし、歯磨き以外のカリエスリスクを左右する因子にも影響を受けるので、歯磨きをしなくても虫歯にならない人もいれば、歯磨きをしていても虫歯になるという人もいます。歯磨きをしても虫歯になるという人は次のことをチェックしてみてください。

  1. 正しく磨けているでしょうか?歯の真ん中ではなく、歯肉との境目やかみ合わせの溝など隅々を磨くように心がけてください。磨き残しがないかを確認するために、プラークを赤く染め出す染色液を使ってみることをおすすめいたします。
  2. フロスを使っていますか?歯と歯の間のプラークは、フロスでないと取れません。幼児にも使えるホルダー付きのフロスもあります。フロスの使い方を是非教えてもらってむださい。
  3. フッ素を利用していますか?フッ素は歯質を強化し、虫歯菌の酸生産能を抑えます。フッ素入りの歯磨きを利用したり、定期的にフッ素塗布をおすすめいたします。
  4. 甘いものを多く食べていませんか? お子さんが自分で勝手に食べていませんか?幼児期は母親が食べる量を管理するようにしてください。
  5. だらだら食べをしていませんか?あまり甘くない食べ物でも、だらだら食べることは問題になります。テレビを見ながら、あるいは遊びながらスナック菓子を食べ続けていると危険です。

Q6:歯の質は遺伝しますか?

A:個人個人の歯の質を検査する方法はありませんが、おそらく遺伝すると思われます。

Q7:カリオスタッドってなんですか?結果が悪ければ虫歯になるのですか?

A:「う蝕活動性試験」と呼ばれるもので、プラークの酸産生能を評価する試験です。結果が悪ければ、虫歯に成りやすいともいえますので、口腔清掃、食生活の見直しなどが必要となります。

参考文献 すぐに役立つ歯育て支援Q&A 井上祐子/田村康治監修 クインテッセンス出版

2007年7月15日 (日)

歯並びが気になりだしたら2

昨日の続きです。

本日も熊谷先生の著書(「歯科」本音の治療がわかる本)からお届けいたします。

歯並びの治療も、まずは原因療法

悪い歯並びや、悪い噛み合わせの原因は、遺伝悪い習慣、噛み癖、ひどい虫歯など様々です。

多くの場合、何らかの先天的な要素(遺伝)が関連しています。そこに別の要因が関わっていっそうひどくなったり、舌や口唇の悪い癖の呼び水となって原因は複雑になります。

なかには、舌の癖だけが原因になっているような簡単なケースもありますが、ここに成長の影響が加わると歯並びの異常は複雑になります。たとえ舌の癖がなおっても、悪い歯並びはなおりません。

このため成長の終わった人の矯正治療では、原因療法だけでは、期待するような効果は上がりません。舌や口唇の癖、噛み癖などは、しばしば悪い歯並びや悪い噛み合わせの原因になっています。

しかし、患者さんの無意識の癖を改善することは簡単ではありません。患者さんの協力が必要ですが、そもそも協力が得られないことも少なくないのです。

このため、矯正治療では原因療法という最も大切な考え方があまり大事にされていないのが現状です。

原因を知らないまま矯正治療で歯並びを治そうとすると、うまく治療が進まないだけでなく、治療が終わった後に、後戻りが起こる事があります。

成長期の原因療法

乳歯の根がいつまでも吸収せず、乳歯が抜けないことがあります。また骨の中に埋まった歯(埋伏歯)が、永久歯が生える邪魔をしていることもあります。乳歯の虫歯治療が、永久歯に悪い影響を与えることもあります。

口唇と歯肉の間にある小帯の位置も時々、歯並びに悪い影響を与えます。以上のような場合には、乳歯の抜歯や簡単な外科処置をすることが、原因療法になります。

親指を深く口の中に入れる指しゃぶりは、悪い歯並びの最もはっきりした原因です。鉛筆や爪を噛む癖も噛み合わせに悪い影響を与えます。

また、舌の運動不足、発達不足、舌の癖(舌を噛む、突き出す)や口唇の癖(巻き込む、歯で噛む、閉じない)、口呼吸なども、悪い歯並びや噛み合わせを悪くする原因になります。

癖を自覚して自己暗示をし