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しろくま先生のブログ
しろくま歯科医院より歯にまつわる楽しいお話や、
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当院では、心停止の救命措置に必要なAED(自動体外式除細動器)を設置しております。

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2008年8月29日 (金)

有意義な出会い

先週末に東京の品川にてインプラントの研修会に参加してきました。

私が研修会や勉強会にて必ず行うことがあります。

それは、名刺の交換です。隣に座った先生と必ず名刺の交換をいたします。

今回も岩手県の西尾先生とご一緒させて頂きました。

前回の研修会でもとても有意義な出会いがあったのですが、今回の出会いはもしかすると運命的かもしれません。

とても経験豊富な先生で、多くの事を学ばさせていただきました。

今後も、インプラントを含め口腔全体の事を学ばせていただければと思っています。

来年1月にお会いできればと思っています。

2008年8月 8日 (金)

本日午後大きな手術のため午後臨時休診いたします。

本日、午後インプラント手術のため、臨時休診いたします。

明日は通常通り診療いたします。

院長 猪狩弓彦

2008年7月26日 (土)

ショートインプラント

本日は、加藤大幸先生の著書「よくわかる歯科インプラント」よりお届けいたします。

ショートインプラント

低侵襲手術(Minimally  Invasive  Surgery)が医学文献に紹介されて15年以上経過しますが、最小限で最大の効果を期待する手術は、インプラントの分野ではどのように発展してきたのでしょうか。

その代表として、メスを使わないフラップレス手術や大きな骨造成を必要としないノングラフト手術などがあります。

インプラントは骨に埋入するわけですから、骨が無い所には骨を作らなけれ手術は不可能でした。そこで、身体の別の場所から自家骨を採取して、移植をする骨造成が行われてきました。

この骨造成は現在でも著しく骨が萎縮してしまった場合によりますが、以前ほど多くはなくなってきています。その理由の一つに、ショートインプラントの登場があります。

インプラントの長さを分類すると、ミディアムインプラントといわれる一般的な長さは10mmで、12mm以上がロングインプラント、8mm以下がショートインプラントとなります。

ショートインプラントのコンセプトは、骨造成を行わず短いインプラントを埋入することによって、手術による患者さんのストレスを解消しようとするものです。

それでは、短いショートインプラントで長持ちすることができるのか?噛む力に耐えうるのか?という問題に直面します。

ショートインプラントについて、フランスの開業医フランク・レノワが論文を発表しています。インプラントは骨結合した後、全く動かないもの考えられていましたが、実はそうではなく、噛む力を受けると、結合したインプラント周囲の骨ごと僅かながら動揺するのです。そして、その動揺のしかたがインプラントの長さによって異なるのです。

例えば、ロングインプラントは、インプラントの先端ではほとんど動揺しません。その代わりにインプラント本体が撓むことによって、力を解放しているのです。ミディアムインプラントはその中間です。

一方、ショートインプラントは、インプラント全体が骨の中で僅かに動揺して力を解放しよとします。つまり、建築物の基礎部分を動きやすくして構造体自身に負荷がかからないようにする耐震構造のような働きがショートインプラントでは起こるのです。

結論から述べますと、以前は長ければ長いほど、インプラントは安定すると考えられてきました。しかし、現在では短いショートインプラントでも十分に噛む力に耐えることと、耐震構造のような働きをするので力学的にも有利なことが最新の論文で実証されているのです。

ショートインプラントは、複雑な骨移植であるサイナスリフトやソケットリフトをせずに治療することが出来るので、外科的な刺激や患者さんのストレスを最小限にするだけでなく、術者のストレスを解放してくれるのです。さらに、骨移植をするよりも短期間で治療が可能で、しかも経済的です。

すべての患者さんにショートインプラントが対応出来るわけではありませんが、以前と比べると圧倒的にロングインプラントの使用頻度が増えて来ているように、インプラントの表面性状や骨との親和性、骨生理学や免疫学的の深い研究によって、術式や使用するインプラントの種類は変わってきているのです。

参考文献 よくわかる歯科インプラント治療 加藤幸大著 現代書林

2008年7月 8日 (火)

ちゃんと伝えられたか心配です。

先日、いわき市より研修会で親身にさせて頂いた、鈴木先生がインプラントオペの見学にいらっしゃいました。

鈴木先生は、インプラントの経験がないそうなので、一度開業医レベルでのインプラント手術を見学してみたかったのだそうです。

その日のインプラント手術は午後1時からでした。鈴木先生はきっちり1時にいらっしゃいました。

患者さんに診療室に入室していただいて、まずは口腔内の清掃・消毒にやく40分ほどかかりますので、その間に色々とレクチャーを始めました。

口腔内の清掃が終わりましたので、麻酔を施し、オペ室に患者さんに入っていただきました。同じ時に鈴木先生にも手洗いをしてガウンを着ていただき、オペ室に入ってもらいました。

オペ室で患者さんの口唇の消毒とドレープを見学していただき、笑気麻酔をかけ、患者さんのバイタルが安定してきたので、いよいよオペと開始しました。

その日の予定していたインプラントの部位は右下に2本埋入です。

オペの時間にしてやく25分ほどでインプラント手術が終了しました。その間、ずっと私の首の後ろに鈴木先生の顔があり、熱心にインプラントの手術を見学されていました。すごく顔が近いのでなんだかくすぐったい感じがずっとありました。

オペ終了後、またインプラントに関する事をディスカッションしようと思ったのですが、すぐに帰られてしまいました。手術後に本日の手術の事を鈴木先生とお話しようと思っていたのですが。

ちゃんと伝えられたか少し心配になりました。

2008年7月 4日 (金)

本日午後臨時休診です。

本日午後は手術がありますので、

臨時休診いたします。

ご迷惑をおかけいたします。

明日は通常どおり診療いたします。

しろくま歯科医院

院長 猪狩弓彦

2008年6月23日 (月)

午後は、臨時休診いたします。

本日午後は、大きな手術がありますので、

臨時休診いたします。

明日は通常通り診療いたします。

しろくま歯科医院

猪狩弓彦

2008年5月 8日 (木)

インプラントの材料

本日は、加藤大幸先生の著書「よくわかる歯科インプラント治療」よりお届けいたします。

インプラントの材料

1960~1970年代初頭までのデンタルインプラントは、どちらかというと実験的な治療と考えられ、取り組むのも先駆的な研究者や医師に限られていました。

その当時主流だったインプラントの形状は、骨貫通タイプ、骨膜下タイプ、骨肉ブレードタイプなどで、いずれもさまざまな金属で作られていましたが、骨と金属との反応の問題や、骨に埋め込まれたインプラント上部構造(金属の人工歯や土台)が装着させた時に起こる電食作用(電気分解により金属が腐食される現象)などが懸念されていました。

これらの問題を解消するために、炭化ガラス、熱分解カーボン、単結晶サファイア、そして、アルミナ等の非金属製の歯根型、ブレード型インプラントが開発されました。

しかし、それらの非金属製のインプラントは、骨に結合しないので適切な初期固定を得られなかったり、骨生理学や機能圧(噛み合わせ)への対応に関さす知識や理解も十分でなかったために、失われたインプラントがたくさんありました。

おそサファイアインプラントの90%以上が失敗していると思われ、現在ではこの様な非金属製の骨膜下インプラントは行われていません。

現在使われているインプラントの大半がチタン合金製で、チタン表面にプラズマを容射したり、ブラスト処理や酸処理をしたりして、表面を粗面にしています。そうすることによって表面先が大きくなり、骨との結合がより強固になるのです。

チタンの表面は、化学的に安定した酸化チタン膜で覆われています。チタンはイオン化せず、成分が腐食して溶け出す心配がない安定した金属で、毒性もなく、発ガン性の心配もありません。さらに、細胞との親和性が高く、拒絶反応がまったく起きないため、骨や軟組織の細胞が表面によく接着するというインプラントにとって最適な性能を備えているのです。

また、チタン表面に歯の成分と同じHA(ハイドロキシアパタイト)をコーティングして骨結合を促進するインプラントも開発されています。インプラントの形態もシリンダータイプやスクリュータイプだけでなく、歯根と同じ形態のものもあります。

このように、多くのインプラントシステムが開発されていますが、骨と接する表面には大きく分けると2種類に分類出来ます。インプラントのチタン表面を粗面にしたものと、HA(ハイドロキシアパタイトでコーティングしたものです。

HAコーティングは骨の状態が悪い場合に有効で、簡単に早く骨結合が起こります。しかし、HAコートが6~7年で吸収して溶けてしまい、表面に炎症性細胞が出現すると、急激にインプラント表面に炎症が起こり、オッセオインテグレーション(骨結合)が壊れてしまいます。

一方、チタン粗面は骨との親和性が研究された事によって、HAコートと同等の骨結合が出来るようになりました。ですから、経年変化がない安定した物質であるチタンの方が、問題発生の可能性が低いので、安定して信頼性の高いインプラント表面性状であるといえるのです。

チタン表面に起こる骨結合の質と量は、その表面性状にかなり影響を受け、粗い表面の方が滑沢なものより早く確実に結合が起こります。表面性状には機械で削りだしたときの研磨熱で酸化膜をつける初期のブローネマルクと表面処理をして表面積を増やし、結合を高めたものがあります。

削り出しタイプの初期のブローネマルクインプラントは現在でも発売されていますが、今日、インプラントという表面処理されたものが主流になっています。

表面処理にもいろいろなタイプがあります。それぞれ特許を取得しているためインプラントメーカーによって異なりますが、代表的なものとしてノーベルバイオケア社のタイユナイト、アトランティックのTiblast、ストローマン社のSLAサーフェイスなどがあります。

いずれも甲乙付けがたいものがあり、チタン表面にプラズマレーザーを容射して粗くしたり、表面に硬い粒子をジェット噴射でぶつけることによって表面処理したり、強い酸で表面を溶かして処理をします。どれも骨と親和性が良好で、電子顕微鏡で確認すると、インプラント表面に新生骨が加骨してくるのがわかります。おおよそ6週間で骨結合し、これは前述したHAコーティングとほぼ同等の結合速度です。

また、骨との親和性をさらに高くする表面処理や、より結合を強固にするインプラント形態も可能となっております。手術時に骨に対する力のかけ方や、過度の摩耗熱をかけることの危険性、さらにはインプラントに必要な安定性に関連した骨生理学や粘膜の創傷治癒の研究がより深く理解されて、安心して使用できるものになってきているのです。

そして、最新の研究では、仮にインプラント周囲に炎症(インプラント周囲炎)が起こったとしても、適切な処置をしていれば大丈夫であることも分かっています。今日までにデンタルインプラントは41年の臨床実績があり、感染が起こった場合や問題が発生した場合の研究にも盛んに行われているようです。

これまでのインプラントは、より早く安全に骨結合を獲得するための研究・開発が主流でしたが、最近では、さらに進化し、炎症が波及しにくい表面性状や骨が吸収されにくいインプラント形態などの研究・開発が進んでいます。ですから、最新のインプラントは最善のインプラントで、安心して治療を受けても大丈夫なのです。

日本ではまだまだインプラントを否定的に考える歯科医が多く存在しますが、これは、過去の古いインプラントの失敗がトラウマになっているのかもしれません。インプラントについて、正しく理解し、正しく使っていればなにも問題ありません。ダイビングで初めて海底に潜るのは怖いものですが、安全性を正しく理解した上で勇気をだして潜ってしまえば、そこに今までとは違った素晴らしい世界が広がっているのです。

参考文献 よくわかる歯科インプラント治療 加藤大幸著 現代書林

2008年4月17日 (木)

日本インプラント事情

2日前に、私が加盟しているインプラント10年保証のIGSの岡さんが郡山へ出張してるというので、久々にお会いして色々とインプラント事情を伺いました。

10年保証に加入している高原先生もご一緒に、近場の居酒屋にて楽しい時間を過ごしました。

最近のインプラントの動向は、やはり、患者さんの安全を第一に考えられる方向へ動いているという感じを受けました。

やはり、大型のインプラントの場合、手術範囲が大きくなると、患者さんの歯肉の腫れや、痛みが出る場合は多くあります。それを出来るだけ切開の範囲を少なくし、腫れや不快症状を少なくする試みを、メーカーサイドはよく理解していて、それをなんとか技術や開発によって最小にすることが出来ないかという努力を続けてくれています。

本当にありがたいことで、うれしく思います。

しかし、同時に、歯科医師にはその技術やテクノロジーに必死に付いていかなければいけないですし、解剖や病理といった体の仕組みも厳しく要求されます。

私たち歯科医師に出来ることは、今の流れに必死に食らいついていこうと思っています。

この努力が出来なくなった時は、インプラントをすると患者さんに不利益が出る可能性があるので、インプラントを辞めようと思っています。

今は、ただ勉強の努力を続けるだけです。

2008年3月25日 (火)

本日午後は臨時休診です

本日午後は、インプラント手術のため、臨時休診です。

ご迷惑をおかけいたします。

明日は通常通り診療いたします。

2008年3月14日 (金)

本日午後、インプラント手術のため臨時休診いたします。

本日の午後は、インプラントの手術のため臨時休診いたします。

明日から通常通り診療いたしますので、よろしくお願いします。

院長 猪狩弓彦

2008年3月 2日 (日)

オールオン4

本日は、加藤大幸先生の著書「よくわかる 歯科インプラント治療」からお送りします。

オールオン4

オールオン4(All on 4)はブローネマルクインプラントを発売しているノーベルバイオケア社の即時埋入治療(イミディエートファンクション)のコンセプトをもとに、ポルトガル・リスボン市の歯科医パウロ・マロ博士(Dr.Paulo Malo)によって開発された治療方です。

従来、上顎の奥歯には上顎洞という副鼻腔があり、インプラントを埋入する場合に骨移植などの複雑な処置が必要なケースが多々ありました。また下顎に関しては下顎管といわれる神経が走っているため、無理にインプラントを埋入すると、神経を傷つけてしまい麻痺が起こることがありました。

その上顎洞や下顎管を避けるために、奥歯に埋入するインプラントに傾斜を付けて安全に手術をする発想から生まれたのが、オールオン4です。

無歯顎患者のインプラント治療にはオールオン4の他にもボーンアンカードフルブリッジ、オーバーデンチャー、ザイゴマインプラントなどがありますが、手術後すぐに固定性の人工歯をいれることが出来るのは、オールオン4だけです。

この方法はインプラントを4本しか用いないために治療による刺激が少なく、しかも経済的です。さらに審美的に美しく治療することが可能です。

インプラントの手術自体は、1時間くらいでおわってしまいます。午前中に手術を終え、型どりをしてから患者さんにはしばらく休んでいただきます。

その間に仮の人工歯を制作しますので、夕方までには新しいブリッジを装着して帰宅できるのです。

歯の抜けている期間がまったく無いため、患者さんは正常に食事をすることができ、社会生活に不便をきたすこともありません。

高齢者のQOL(生活の質)は食生活と密接な関係を保っていますので、オールオン4によるインプラント治療は老後の人生を豊かにする必要十分条件となるはずです。今日の高齢者が求める自己イメージは、「若さ」です。この考え方はアンチエイジング(坑加齢)医療の路線と一致します。

オールオン4を用いるということは、今までインプラント治療が不可能とされていた骨量が不足する患者さんにも、ひろく適応できるということを意味しています。上顎の臼歯部、奥歯では骨吸収のために上顎洞が近接してインプラントを埋入できないことが多いのですが、こうした状況でもインプラントを傾斜させることによって、小臼歯(犬歯より奥の歯)の部位から上顎洞を避けて埋入することができます。上顎のサイナスリフトや骨移植の適応症の80%は、オールオン4を用いることによって回避できるのです。

オールオン4は下顎においても有効です。下顎の臼歯部(奥歯)では、合わない入れ歯を入れているために歯槽骨が吸収して下顎管(神経)との距離が薄くなり、インプラントが埋入できないことが多々あります。しかし、オトガイ孔(神経孔)の前方には十分なボリュームの骨が存在し、解剖学的にもしっかりしていますので、小臼歯相当部から傾斜した状態でインプラントを入れることによって、神経近くを避けて前方の豊富な骨を利用することが出来るのです。

このようにオールオン4の手法なら、上下顎の臼歯部(奥歯)に存在する解剖学的な制約を傾斜埋入することによって克服することができるので、骨量に問題を抱えてインプラント治療を諦めていた総入れ歯の患者さんには大きな福音となるでしょう。

そして、サイナスリフトや大きな骨移植のような高価で刺激の強い治療法は不要となり、患者さんの肉体的、精神的、経済的負担は大幅に軽減されるはずです。

従来、骨密度に問題がある場合には、骨移植を行ったり1本あたりにかかる力を分散させることによって上下顎の豊富に骨があるところを利用できますので、インプラント治療が抱えていた骨量という高いハードルが取り払われたといえます。

参考文献 よくわかる歯科インプラント治療 加藤大幸著 現代書林

2008年2月26日 (火)

余裕を持つことはとても大事

先週、材料の発注ミスがありました。

届いたインプラント材料がまったく別の材料でした。

さっそく、メーカーに問い合わせ、急ぎで材料が届いたのです。

しかし、この材料も注文したものではありませんでした。

私はかなりせっかちなので、だいたい1ヶ月前に手術の準備を済ませてしまうのですが、

今回はこのせっかちが幸いしました。

手術は2週間先だからです。

余裕をもって準備をすることの大切さを改めて認識しました。

よかったeye

2008年2月19日 (火)

インプラントの歴史2

昨日の続きです。

インプラントの歴史2

ブローネマルクシステムによる治療を最初に受けたのは、ヨスタ・ラーソンという34歳の男性でした。生まれつき病気のために顎の骨が弱く、歯も数本まばらに生えていただけで、食事や会話に不自由な生活を余儀なくされていたのです。

彼は、ブローネマルクにとって初めての治療であることを納得した上で、上下の顎にインプラントを埋入する手術を受けました。

結果は見事に成功。ラーソン氏は新しい人工の歯で、それまでの悩みを解消する事が出来たのです。彼のインプラントは、40年以上経った晩年も問題なく機能していましたが、残念ながら他界してしまいました。

ブローネンマルクはラーソン氏に対する治療の後も、旺盛に治療と研究を続けました。そして1977(昭和52)年、ブローネマルクのグループは、1965~1975年の10年間に行った症例についての報告を世界に向けて報告したのです。

対象となったのは211名(235顎)で、ラーソン氏のように上顎あるいは下顎の歯が1本もない無歯顎の人達でした。なかには上下顎の歯が1本もない人たちもいました。埋め込まれたインプラントは全部で1618本にのぼります。その後も研究は続けられ、1981(昭和56)年に発表されたデータでは2768症例にも上りました。

この発表は、歯科学会に一大センセーションを巻き起こしました。治療成績が非常によかったからです。発表によると、確立期(インプラントのデザインや治療法が確立した以降の時期)では、治療完了後、5年経過したインプラント残存率は、上顎81%、下顎91%、つまり100本のインプラントのうち、上顎では81本が、下顎では91本が残ったのです。

この発表に、当時の研究者や歯科医師の多くは、高い成功率に驚きながらも、「金属が生体のなかで生かされるわけはない」と懐疑的な反応をみせました。

また、この時のデータは、無歯顎患者のみを対象にした研究結果だったので、部分的に歯のない、つまり天然歯がのこっている口腔でも有効なのかどうか、疑問視する声もあがりました。

しかしその後、アメリカの各大学においても実験が繰り返され、ブローネマルクの報告、つまりチタンと骨との結合は科学的に正しいと認知されるに至ったのです。

そしてそれ以後、様々なメーカーが続々とチタン製インプラントの開発に取り組んだのです。

1998年(平成10)、チタン製インプラントについての様々な功績が評価されたブローネマルクは、スウェーデン政府からノーベル賞に値するグランドプライズ賞を授与されています。

このように歯科治療に画期的な貢献をしたブローネマルクは、現在、ブラジルで隠居生活をしていますが、ノーベル賞が授与されないのが私には不思議でなりません。

参考文献 よくわかる歯科インプラント治療 加藤大幸著 現代書林

2008年2月18日 (月)

インプラントの歴史 1

本日は、加藤先生の著書「よく分かる歯科 インプラント治療」から、インプラントの歴史について2回にわけてお届けいたします。

インプラントの歴史

乳歯、永久歯に続く第三の歯を人工物で作る試みが、20世紀後半になって盛んに行われるようになりました。

インプラントは入れ歯のように歯肉に不安定に乗せるのではなく、顎の骨に直接植え込む方法ですから、しっかり噛むことが出来ます。

ただ、この方法も決して新しい考え方ではなく、失った歯を人工物で補うという試みは古くから行われていました。

インプラントの起源をたどると紀元前までさかのぼることが出来ます。

また、最近、紀元100年頃の古代ローマ人の頭蓋骨が発見され、上顎骨に植立された鉄製のインプラントが見つかりました。このことは、歯が欠けた後の治療法として昔からある程度の普及をみていた事をうかがわせますが、20世紀後半になるまでデンタルインプラントは一般的な方法ではありませんでした。

その理由は、骨の中にしっかりと植立しておくことの出来る材料・手術法が見つからなかった事にあります。

インプラントが現在のように普及する発端は、チタン製インプラントが登場した1960年代以降です。

それまでエメラルド、鉄、金、サファイア、コバルト、クロム合金、ステンレス、アルミニウムなど多様な素材が有望視されましたが、結局は期待通りの結果を出すことが出来ず、淘汰されて行きました。

現在、インプラントといえばチタン製を指し、おそらく今後も、チタンは主流で有り続けると思います。その特質とは、骨との親和性が高く、強固に結合する性質を持っていることです。このチタンの登場によって、インプラントに大きな飛躍が訪れたのです。

チタンと骨が結合することに気が付いたのは、スウェーデンの学者で、応用生体工学研究所所長のペル・イングヴァール・ブローネンマルク教授です。

1952(昭和27年)年、ブローネンマルクは、スウェーデンのルンド大学医学部で、骨が治癒する過程で骨髄が果たす役割について研究しました。ある日、ウサギの脛骨(すねの骨)にチタン製の生体顕微鏡用の器具を埋め込み、内部を観察する実験を終えて、その器具をとりだそうとしたところ、不思議なことが起きました。

強く引っ張っても、器具が骨から外れないのです。よく見ると、骨と器具のネジがぴったりとくっついていました。器具はチタン製でした。これ以前に使っていた別の金属で出来た器具では、骨と癒着したことなどいちどもなく、ブローネマルクは「チタンは骨とくっつく」という性質を初めて知ったのです。しかし、当時はこの性質を何かに応用できるとは考えなかったようです。

1960年、イエテボリ大学の解剖学教授となったブローネマルクは、血液循環の研究に取り組みました。生体内において血球がどのような働きをしているかを探るために、今度は人源を対象にした実験に着手し、チタン製の生体顕微鏡用器具を被験者の腕に埋め込んで、血流の観察を試みたのです。

これをきっかけに、ブローネンマルクは、チタンの新たな性質に興味を抱くようになりました。それは、チタンが骨だけでなく、軟組織(結合組織、上皮など骨以外の組織を軟組織といいます)に対しても親和性が高いという性質です。

観察は数ヶ月にも及びましたが、取り外した後、の軟組織には何の異常も見られなかったのです。これは、チタンが生体に拒絶されなかった事を意味します。

この偶然の発見から、ブローネンマルクはチタンがさまざまな医学的領域に応用出来る可能性があると考え、犬の顎にチタン製のインプラントを埋め込む実験を開始、数年にわたって繰り返し行った動物実験の結果から、チタン製インプラントが骨と強固に結合することを確信し、これを「オッセオインテグレーション(Osseointeration)」と名付けました。

Osseとは「骨の」、integrationnとは「結合」を意味します。そして1965年、いよいよ人間への応用に踏み切ったのです。

明日へ続きます。

参考文献 よくわかる歯科インプラント治療 加藤大幸著 現代書林

2008年2月 9日 (土)

インプラント体験記(CTスキャン偏)

いままで何度かこのブログにも書いて来ましたが、私は、いま先輩の先生にお願いをして歯の治療をしています。

どんな治療をしているのかといえば、インプラントです。

本当は、インプラントにするつもりは無かったのです。時間とお金がかかりますし、それに恐怖心があったからです。

しかし、自分が患者さんに提供している医療を、自分が体験するというのは、非常に有意義だということは、過去の経験で分かっています。

先日も奥歯が痛くなったときに、患者さんの訴えていた症状を体験することが出来ましたし、インプラントも自分で体験していれば、その患者さんの状況(体、精神、経済)をみておすすめしたり、他の治療法をおすすめできると思ったからです。

目標としては、今年中にインプラントを完成させたいとは思っていますが、私のわがままで治療が予定通りに進んでいません。

でも、私の担当医の高原先生がしっかりとした仮歯を入れてくれているので、生活には全く問題がありません。

で、先日、休みを利用して、奥羽大学へCTを撮影しに高原先生と出かけました。

インプラントメーカーの担当者も2名来ていて、奥羽大学の放射線科の先生も初めての試み(今回は、特殊な診断機器を利用するのです)のようで、しきりに、担当者へ質問をしています。

で、CT撮影。私は極度の閉所恐怖症。以前にこのブログでも書きましたが、MRI撮影の時も怖くて怖くて仕方がなかったのですが、今回のCT撮影はたったの2分であっさりと終わりました。

いささか拍子抜け。

今後は、今回撮影したCTを元にインプラントの診断へと進む予定です。

2008年1月31日 (木)

インプラント治療が制限されるケース2

昨日の続きです。本日も増岡先生の著書よりお届けいたします。

インプラント治療が制限される可能性のあるケース

インプラントの治療に制限がかかる可能性のあるパターンとして、これまで年齢、金属アレルギー、骨粗鬆症、妊娠の問題を取り上げましたが、ここではそのほかの例を見ていきましょう。特に、全身疾患に関してはインプラントの治療の際には注意を要するものもあります。

⑤糖尿病

糖代謝の異常によって引き起こされ、血液中のブドウ糖濃度が病的に高くなることでさまざまな合併症を引き起こす危険性のある病気です。日本での患者数は約700万人にまでのぼるともいわれています。

一般的に糖尿病の方はバクテリアなど細菌の感染に弱いとされていて抵抗性が低下する症状が見られることもあります。したがって歯周病になる確立も高く、病状が進行するにつれてインプラントの治療にも影響を及ぼす恐れが出てきます。

また、糖尿病の方の場合には、インプラントと骨が結合するときの骨吸収量が多くなりインプラントが外れてします可能性があります。いずれにしても、主治医との相談が必要になるでしょう。血糖値を低くコントロールすつなど徹底的な管理が行われている場合にはインプラントの治療も不可能ではないようです。

⑥高血圧症・心疾患

現在、心臓に不安があって通院している方や過去にこのような病歴がある場合、主治医と相談することをおすすめいたします。インプラントの治療に際しては、通常の約20~30は血圧が上昇する方が多いといわれています。インプラントを埋入する手術で使用する部分麻酔にも血圧を上昇させる作用があり、慎重にならざるをえないでしょう。

高血圧の状態による過度な心臓への負担も考慮すると、血圧を下げる薬の投与などの処置も対策としては考えられますが、安全な治療を行うために医師の指導のもと、十分な血圧のコントロールが必要になるでしょう。

心臓への負担に関しては、狭心症や心筋梗塞同じ事がいえます。普段から動悸や息切れを自覚している方は特に診察を受けてインプラントの治療を受ける旨を相談するといいでしょう。

そのほか、肝臓や腎臓についても同様に、インプラントの治療の前に念のため、内科で相談する方が安心して治療に臨めると思います。肝臓疾患で懸念されることとしましては、止血がしずらいこと、薬を服用することで肝機能のさらなる低下が危惧されることが指摘されています。腎臓については、疾患の進行が激しい場合には抵抗力の低下によりインプラントの定着がスムースにいかないケースもみられるようです。

インプラントという選択肢だけが残された方法というわけでは必ずしもありません。自分に合った治療方法が必ず見つかるはずなので、あきらめずに勇気をもって一歩ふみだしてみることが大切です。

⑦喫煙

インプラントの治療を行うにあたって、いろいろな情報を見聞きすることと思いますが「喫煙」に限ってはどの文献をあたっても共通の見解が述べられているのではないでしょうか。いずれの場合も「禁煙」をすすめています。

喫煙を続けていると、傷口の治りが悪く手術の成功を妨げる要因になるからです。そもそも、喫煙者とそうでない方では歯肉の色からして違います。

健康な歯肉がピンク色であるのに対して、喫煙者の歯肉は黒みがかったピンク色になっています。これは、喫煙により血管が収縮していることで口腔内の隅々まで十分な血流が行き渡らなくなるからです。

血流が行き渡らなくなるということは、末端の細い血管まで酸素が運ばれなくなるということです。

実際にインプラントの治療の現場となる歯肉や歯槽骨は、この「末端」の部分に該当します。その大切な治療の場所が、自己責任の管理下において血管収縮や血流障害を起こしているのだとしたらどうでしょう。せっかくはじまる治療が、自ら招いた不摂生によって失敗に終わるとしたらもったいないと思いませんか。

また、喫煙は白血球の機能障害にも引き起こすことが分かっています。傷の治癒を遅くするだけでなく、手術の時に痛みを感じる場合もあるといいます。口腔内のバクテリアも喫煙者には多いという報告もあります。全身疾患と違って「禁煙」は自分でコントロール出来ることです。健康な歯を取りもどすことと、「禁煙」について改めて考える良い機会かもしれませんね。

参考文献 絶対失敗しないインプラント 増岡健司著 廣済堂

2008年1月30日 (水)

インプラント治療が制限されるケース1

今回は、増岡健司先生がお書きになった「絶対失敗しないインプラント」からお届けいたします。

治療が制限される可能性のあるケース 1

これまで、インプラント治療に関してプラスとなる情報が多かったのですが、インプラントにも課題となる問題があります。

入れ歯やブリッジなど従来の治療方と比べると、どうしてもメリットの多さが目立つインプラント治療ですが、「インプラントにはデメリットはないのでしょうか?」と質問されることもあります。

インプラントの治療のすべてを知ってもらうためにも、あらゆる面から説明をしたいと思います。インプラントの良い面、悪い面も理解した上で治療を希望するかどうかを決定するのも選択方法の一つだと私は思います。

さて、まずはインプラントの治療が制限される可能性のあるケースについて説明しましょう。

①年齢制限について

インプラントの治療に年齢の上限の制限は無いといっていいでしょう。実際の年齢よりも重要なのは口腔内と身体の健康状態です。高齢の方でも口腔内と身体が健康であればインプラントの治療は可能でしょう。逆に若年齢の場合には、骨や歯の成長が終わった時点で可能になるので一般的にいって18歳前後からインプラントの治療は可能ということになると思います。つまり、成長が終わっていて健康に安全に手術が受けられる方なら、年齢を問わずインプラントの治療は可能になるでしょう。

ただし、インプラントの「寿命」についても頭の片隅に置いておかなければならないことも事実だと思います。

インプラント本体はチタン製で耐久性に優れているので理論上は半永久的に持つものとされています。ただし、たとえば60歳の方にインプラントを装着した場合と20歳の方にインプラントを装着した場合では、両者がそれぞれ80歳になった時点でのインプラントの疲労度は異なると考える方が自然でしょう。

この事に関しては、今後もさらにいろいろな臨床の結果が報告されると思います。少なくとも現段階では、健康な歯を削るブリッジよりも、隣接する歯に負担がかからないインプラントを選択する方法が支持されています。

②金属アレルギー

金属が体内で溶け出すことによってタンパク質と結合して抗体となってアレルギー反応を起こすことが考えられているのが金属アレルギーです。

水銀、ニッケル、コバルト、スズ、パラジウム、金などで発生するケースが多いと言われています。

インプラントの材料であるチタンはどうでしょう。純チタン製のインプラントの場合、正確にいうと純チタンと骨が結合するのではなく、純チタンの周囲に出来た何重もの酸化膜と骨の結合です。ですから、チタンが体に溶け出すことはあり得ません。

万が一、体内にへ入ったとしても心配はないといわれています。現在は歯科医療の領域をこえて人工心臓や人工関節にも使用されているチタンですが、極めて金属アレルギーを起こしにくい金属であることは間違いありません。どうしても心配な方は皮膚科やアレルギー外来で、チタンのアレルギー反応を検査してもらうのもいいでしょう。

③骨粗鬆症

日本には約1000万人以上が患っているといわれ、中高年に多い病気の一つである骨粗鬆症には、骨に小さな穴が多数開いてしまう状態のことです。

患者の多くは女性で、実際には骨量が低下して骨が弱くなることで骨折しやすくなると言われています。インプラントの治療をスタートさせる前には、治療を受ける方の骨の状態を十分に検査します。

骨粗鬆症のみならず骨量がすくなかったり、歯周病が原因で骨が溶けてなくなっていたりする方でもGBR法やGTR法といった何らかの策を講じることによってインプラントの治療は可能になります。

④妊娠

インプラントの治療に直接影響があるというよりは、治療に際して必要になるレントゲンや麻酔に対する懸念から「妊娠中は治療は控えた方がいいでしょう」というように一般的にいわれています。虫歯や歯周病の治療で継続して歯科医院に通っている方や、個人的な事情のあるケースもあり、ひとりひとり状況は異なりますので、まずは一度、担当医に詳しく相談してみましょう。

明日へ続きます。

参考文献 絶対失敗しないインプラント 増岡健司著 廣済堂

2007年10月 5日 (金)

喫煙とインプラント

本日は、日本大学歯学部教授 萩原芳幸先生の「50歳からのインプラント」よりお届けいたします。

喫煙とインプラント

喫煙が健康に悪影響を及ぼすということは誰でも何となく知っていて、喫煙=肺ガンというイメージも広く浸透しています。

一方、喫煙が歯や歯肉にも悪影響を与えている事はあまり知られていません。1990年代に入ってから歯科や口腔外科の視点からもさまざまな研究が盛んに行われる様になり、とくに、喫煙と歯周病の因果関係が高いことが分かってきました。

年齢や喫煙量にもよりますが、現在、喫煙者は非喫煙者の3~4倍、元喫煙者でも1.5~2倍ちかくのリスクがあると言われています。

インプラントは比較的新しい治療法であるため、何千何万という対象者を長期的に調査したデータはありませんが、歯周病に対するリスクと同様であることは想像がつきます。

喫煙者におけるインプラント失敗率は、非喫煙者に比べて2~3倍高くなるという報告もあり、インプラント治療におけるリスクファクターの上位に位置づけられています。

では、タバコの何が歯周病を発症させたり、インプラントに悪影響を与えたりするのでしょうか?喫煙により末梢血管が収縮して血流が低下するということは知られています。

口腔内でも同様の現象が起き、まずは血行不良によって低酸素状態に陥ることが歯周病菌の繁殖を助長hしているとも考えられます。

インプラントの場合では、これに加えてニコチン・タールなどの有毒物質が骨や歯肉の再生や修復に悪影響を与え、抵抗力を低下させてしまうので、手術後の傷の治りを阻害・遅延させたり、インプラント生存率(耐久性)を低下させると考えられています。

参考文献 50歳からのインプラント  萩原芳幸、葉山めぐみ共著 小学館

2007年5月 3日 (木)

喫煙がインプラント脱落の原因に

今日は、デンタルトリビューン紙からのトピックです。

禁煙を強く勧めるべき

ムルシア大学(スペイン)の研究者らが、インプラント処置の成功率に禁煙が及ぼす影響について検討した同研究により、喫煙は歯の喪失やインプラント脱落の危険因子であることが明らかになった。

同大学歯周病科のArturo-Sanchez-Perez氏は「喫煙者においては、外科処置後の感染のリスクが増大するし、治癒も遅延しがちであります。また、喫煙者にインプラント埋入を行った場合には、脱落が生じる確率が高くなります。その結果、顔貌には悪影響がでるし、歯周組織の骨欠損は増加することになります」と述べています。

喫煙は、歯槽骨や歯周組織への血行を悪くするため、骨の創傷治癒が阻害されます。

それにより周囲骨組織とのインテグレーションが確率出来なければ、インプラントは脱落します。

同研究では、66人に患者において埋入された総計165本のインプラントについて、5年間にわたる追跡調査を行いました。その結果、インプラントの脱落率は喫煙者で15.8%であったのに対して、非喫煙者は1.4%でありました。

米国歯周病学会会長のPreston D.Miller氏は「喫煙は歯周疾患の危険因子であり、成人における歯の喪失の主たる原因になっていることは既に明らかになっています。今回の研究は、インプラントを長持ちさせたいのであれば禁煙すべきであり、インプラント治療に当たる歯科医師は事前に説明し、禁煙の大切さを理解してもらわなければならないことを示すものです」と話しています。

2007年4月11日 (水)

インプラントと入れ歯の違い

今日は、加藤大幸先生の著作「究極の歯科治療」からお送りいたします。

インプラントとブリッジ、入れ歯の違い

私たちの奥歯は1本で約50㎏、ほぼ成人の体重を支えるほどの強さがあります。

このように強い歯が、虫歯や歯周病(歯槽膿漏や歯肉炎など歯の歯周組織の疾患)に侵され、失われていくに従って、ものを噛み砕く力(咀嚼能率)は徐々に低下してしまいます。

仮にあなたが奥歯を一本失うと、咀嚼能率は30~40%も低下してしまうのです。

噛むことの重要性と私たちの健康に及ぼす影響については、多くの事実が明らかになっています。不幸にして歯を抜かなければならなくなったとしても、出来るだけ少ない本数で止めておきたいものです。

ブリッジのように安易に健康な隣の歯を削って信頼性の低い金属で被せてしまうと虫歯や歯周病になりやすい環境を作り出し、将来より多くの歯を失う事になる可能性が高くなります。

部分入れ歯にした場合も、入れ歯を引っかける歯に過大な力がかかり、その結果、健康な歯まで蝕むことになります。

例えば、ニューヨークでは、歯を失った場合の大半はインプラント治療が行われています。

失った1本の歯のために両隣の健康な歯を削ってブリッジにすることはしません。インプラントは歯を失った場合の第一選択枝なのです。

高いレベルにある歯科医の技術には、日本もアメリカも大差はありません。しかし、人工歯などを作る歯科技工士の技術になると、日本の方が上だと思います。それなのに日本では虫歯治療の大半が、信頼性の低い銀歯え被せてしまいます。そのために将来、隣の歯が虫歯や歯周病で駄目になってしまうのです。

歯はドミノ倒しと同じように、一つ倒れてしまうと次々と駄目になり、最後には総入れ歯になってしまいます。さらに、噛み合わせが安定しない不正咬合のために、体調が優れず精神安定感を失いがちです。やがてこの変形が姿勢にまで及ぶと、様々な全身症状(咬合性由来)を引き起こすことが知られています。

このような状態から元に戻すことはとても難しく、歯科医の高度な技術と観察力とに、患者様の回復への強い思いと努力が必要です。

一方、私たち身体は使わなければ衰えて行きますが、もう一度使えるように治療すると、失われた機能が発達回復するように出来ています。いわゆるリハビリです。

インプラント治療を行うと、ただ噛めるようになるだけでなく、全身的、精神的に大きな効果が現れてきます。

おかしな話ですが、自分の歯よりも噛める感じがするのです。一度衰退した筋肉や神経が徐々に回復してきて身体に力が入るようになるからです。表情は豊かになり、頬に張りが出て、唇も引き締まってくるのがわかります。さらに、噛み合わせが安定することによって、精神的安定感もよくなり、学習能力が増してきます。噛み合わせを安定させると、ゴルフのスイングなどが安定してくるのはこのためです。

入れ歯やブリッジも決して悪い治療ではありませんが、インプラント以上の効果は期待できません。

また、治療することによって他の健康な歯を傷つけてしまい、引き抜くような力がかかってしまうので治療の限界が見えているのです。このため、日本においても歯を失った場合の第一選択肢になることはまちがいありません。

参考文献 究極の歯科治療 加藤大幸著 現代書林