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しろくま先生のブログ
しろくま歯科医院より歯にまつわる楽しいお話や、
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当院では、心停止の救命措置に必要なAED(自動体外式除細動器)を設置しております。

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2008年8月12日 (火)

日本選手を支える医療

本日は、日本経済新聞8月10日分よりお届けいたします。

日本選手を支える医療

八日に開幕した北京五輪。世界のトップレベルの選手が集う五輪では、紙一重の差が勝敗の行方を左右することも珍しくない。こうした中、選手の能力を最大限に引き出すための医療的なサポートで、注目度が上がっているのが歯科医療やメンタル面のケアだ。

専門のバックアップを受け、強い「歯」と「心」を持った日本選手達の活躍に期待が高まる。

「歯のかみ合わせは、成績を大きく左右する体のバランスに直結している」

日本で初めて大学にスポーツ歯学研究所を立ち上げ、日本オリンピック委員会(JOC)の強化スタッフドクターでもある東京歯科大学(千葉市美浜区)の石上恵一教授は強調する。

☆全身に様々な影響

石上教授によると、歯のかみ合わせの僅かなずれは、全身に様々な影響を及ぼす。重心がぶれたり、特定の筋肉に偏った負荷がかかったりして、アスリートが本来もっている能力を発揮できなくなる。

「肩こりや首、腰の痛みを引き起こし、それが大きな怪我に繋がることも考えられる」(石上教授)という。

女子マラソンの土佐玲子選手が三年をかけて歯列矯正に取り組んだのも、走りのバランスには関わっていないが、「矯正の成果も大きいはず」とみる。

土佐選手に限らず、歯のかみ合わせと競技レベルの関係に注目し、改善に取り組むアスリートは少なくない。「野球やゴルフ、フィギュアスケートなどの瞬間的に大きな力を出す競技ほど噛みあわせ治療が結果に結びつきやすい」。

石上教授が診察したプロ野球選手のケースでは、補正器具を使うだけで、重心が安定し、打撃成績が飛躍的に向上したという。

歯のかみ合わせは一ミリ以下のズレでも全身に影響がでる。サッカーなどの接触プレーがある競技の選手が外傷予防のために使うマウスガードが実は噛みあわせを狂わせている可能性がある。歯型にしっかりと合っていないと顎の顎関節症になる恐れもあり、石上教授は「トップレベルで競技することを前提にした場合、マウスガードは歯科医の指導で作ることが望ましい」と指摘している。

トップアスリートは幼少期から競技一筋の生活を送るなど、一般の人とは大幅に異なる環境の下で育ってきたケースが少なくない。このため抱える悩みも特有なもの。心理的サポートの有無は、競技結果だけではく、生活そのものにも大きな影響を与える。五輪で戦うような戸プアスリートを支えるのが、国立スポーツ科学センター(東京・北)のスポーツ科学研究部心理グループだ。

北京五輪には、医師、栄養士、トレーナーらに混じり、心理の専門家も同行。その一人、同センターの武田大輔研究員(体育科学)は「トップアスリートには(リラックスの仕方)うわべだけの技術を教えても意味がない。悩みを訴えてきた時に、徹底的に傾聴するところから始める」と説明する。心理グループの陣容は、常勤四人、非常勤四人の計八人。メンタルトレーニング講習会に出席したアスリートから個人的なサポートを依頼されることが多く、年間の延べセッション回数は約二百五十回に上るという。

◇根元的問いかけも

典型的な悩みは「やる気が出ない」「怪我から復帰できるか不安」「監督や仲間といまくいかない」というもの。漠然とした悩みだけでなく、過食・拒食やうつなど、具体的な症状となって現れることもある。「自分は本当にアスリートになりたかったのか」など根元的な問いかけもみられます。

武田研究員によると、こうした悩みや症状の奥には、アスリート本人が気が付かない対人関係の問題などが潜んでいることがある。「繰り返し丁寧に話しを聞いていく中で、アスリート自身が問題の在りかや意味に気づいていく。我々の役割は、そのお手伝いをすること」(武田研究員)

心理状態を数値化する様々な測定方法がありますが、。トップアスリートのレベルでは、点数の上がり下がりはあまり意味をなさないという。それよりも武田研究員は「アスリートは、競技を通じてどのように生きていくのかを試行錯誤している存在。成果も大事だが、自分にとって競技とは何かを考えてもらうことや、競技後の生活をどうするかなど、先を見据えたサポートが必要だ」と訴えている。

2008年7月23日 (水)

人の皮膚からの万能細胞成功

本日は、福島民報平成19年11月25日号よりお届けいたします。

再生医療「ゴール見えた」

京都大の山中伸弥教授らが世界に先駆け、人の皮膚からの作製に成功した万能細胞。傷ついた臓器や組織を修復する夢の再生医療の実現に向け「ゴールが見えた」(同教授)と実感させ、研究競争が激化するのは必至です。

ここまでトップを走ってきた日本ですが、研究規制などの政策しだいでは今後劣勢に陥ると警戒する声も出始めています。

「受精卵なしで可能に」「飛躍的躍進」-。

成果がほぼ同時に発表された20日、米メディアは新たな万能細胞の登場を大々的に報じました。「人工多能性幹細胞(ips細胞)」と名付けられたこの細胞。これまで人体のどんな組織んじもなれる「万能細胞」は、育てば赤ちゃんになる人の受精卵(胚(はい))から作る胚性幹細胞(ES細胞)の代名詞でした。

このため研究には常に倫理問題がつきまとい、キリスト教保守派が支持基盤のブッシュ大統領は「反倫理的」とES細胞研究を目の敵にしてきました。

皮膚細胞からの作製成功の報にホワイトハウスは「大統領は大変喜んでいる」と歓迎の声明を発表しました。山中教授の下には国内外から祝福のメールや電話が殺到。患者から「自分の病気を治せるか」の問い合わせも多く、教授は「反響の大きさは予想以上」と驚いています。

☆地殻変動

衝撃は早くも、世界の研究界に“地殻変動”起こしています。

「クローン胚研究はもうやらない」-世界初の体細胞クローン羊ドリーを誕生させた英国のイアン・ウィルムット博士は、山中教授らの研究の進展を知り、万能細胞づくりの本命とされてきました。研究の放棄を発表しました。

クローン胚は皮膚など患者の体細胞を、核を抜いた卵子に入れて作ります。これを元にしたES細胞は、患者に移植しても拒絶反応がなく、理想的とされてきた多数の卵子が必要なのが難題でした。山中教授はそれを皮膚細胞にわずか4種類の遺伝子を組み込む方法で解決しました。発ガン性の危険があるウィルスを使うなど安全性には問題が残るが「いずれは解決出来る」との見解が強いです。

☆どこまで許される

山中教授らは、世界で初めてマウスのips細胞づくりに成功。追随したのが米ハーバード大学とマサチューセッツ工科大学でした。「人の細胞で先を越されるとしたら彼らだと思っていた」が、今回、京大と同着で同じ成果を発表したのはウィスコンシン大学。米国の研究層の厚さと底力に教授は舌を巻きます。

競争が激化する中、日本の研究規制がどうなるかも大きな関心事です。ips細胞は、受精卵や卵子を扱う倫理問題は回避出来ますが、万能性がES細胞と全く同じなら生殖細胞の精子や卵子も作れます。男性の皮膚から精子と卵子の両方を作ることも理論的には可能で、受精させれば、親は父親だけという子供が生まれる可能性もあります。

「どこまでなら自由な研究が許されるか、規制の議論は今から始めるべきです」と位田隆一京大教授(生命倫理)は指摘します。一方、京大の中辻憲夫教授(再生医学)は「ES細胞研究で日本は、厳し過ぎる規制のため後れをとった。それを繰り返せば、せっかくの画期的成果を活用できなくなる」と強く警戒しています。

2008年5月29日 (木)

生野菜の盲点

本日は、福島民報平成19年9月17日分の「健康歳時記」よりお届けいたします。

生野菜の盲点

ビタミンCを取るのに生野菜のサラダを取るのは優れた調理法です。ところが、生の野菜の中にはビタミンCを破壊する作用をもつ「アスコルビナーゼ」という酵素(アスコルビン酸化酵素ともいいます)を含むものがあります。

その名の通り、アスコルビン(ビタミンCの化学名)を酸化する酵素です。ビタミンCを含む野菜を一緒にすると、ビタミンCの効力が低下するのです。

アスコルビナーゼは、キュウリ、カボチャ、ニンジンなどに含まれています。特にキュウリの皮とカボチャの皮には多いのです。

しかし、アスコルビナーゼは、同じ野菜に含まれるビタミンCは破壊しません。“内ゲバ”がないので、キュウリの中のビタミンCは大丈夫なのです。

しかし、キュウリとほかの生野菜を混ぜてサラダを作るとアスコルビナーゼが活性化し、ビタミンCが壊されます。

これを避けるには酢を加えると良いのです。酸性の状態ではアスコルビナーゼが働きにくくなります。酢の物は理にかなった賢い食品です。野菜ジュースにも柑橘類を加えるといいでしょう。

2008年5月18日 (日)

なぜか人は左にまわる

本日は、日本経済新聞平成19年10月27日分「生活物語」の暮らしサプライズよりおとどけいたします。

時計回りと逆回り、どちらに動いてもよいと言われたら?人は無意識のうちに、左手が内側にくるよ半時計回り(左回り)を選ぶという説があります。

土曜の夕方。ジョギング好きが集う皇居のお堀端にいってみました。見つめること20分。左手を皇居側にして走る左回りのランナーは139人、右回りはわずかに12人。暗黙のルールでもあるかのように差は歴然としています。

台風の影響でダイヤが乱れ混雑した羽田空港ロビーには人があふれかえっています。発券カウンターに並ぶ乗客の列は、左回りでした。

スーパーマーケットも入り口を正面に向かって右回りに設ける左回りの動線が主流だといいます。老舗の紀ノ国屋(東京国立市)は「創業当時から左回りが基本。体に染みついたものなので変更は全く考えていません」。「ほぼ100%左回り」は成城石井(横浜店)。関西が基盤の地盤のいかりスーパーマーケット(兵庫県尼崎市)も「原則左回り。理由が分かりませんが・・・」でした。

スーパーの場合、米国流の輸入、右手で壁際の商品を取りやすいなど理由は諸説あります。立地での右回りの店舗も少なくなく、左回りを原則とする会社がおおいのは慣習ゆえか?

肝臓が影響?

慣習から回り方が固定したのが時計。時の研究家の織田一郎さんによると「機械式の時計が出来たのは1300年頃。右回りだったのは、もともとあった日時計が右回りだったからが通説です」。

日時計は南半球では左回りですが、「北半球のものを受け入れたのでしょう。時計は見間違えると大変だから」。

1896年、アテネで行われた第一回近代五輪の陸上トラックは、今とは逆の右回りでした。左回りの現行ルールで統一されたのは国際陸上競技連盟が創設された1912年です。

スケートリンクも自転車競技も左回り。左回りの多い生活環境に人間が順応したのか、はたまた人間は元来左回りが得意なのか。

筑波大学准教授の尾縣さんは「環境順応説」を専攻していらっしゃいます。「左回りが走りやすいと感じる人が多いのは、慣れが大きいのでは。左側にある心臓を守るには左に傾いた方がいいという説もあるが、説得力に乏しいように思う」

一方、人体の構造に答えを求める専門家もいます。愛知県で治療院を営むマッサージ師の小山田さんは、プロサッカーの藤田選手(名古屋グランパスエイト)ら多くのアスリートも見てきましたが、「人間の体には右にひねりにくく、左にひねりやすい。逆の人に会ったことがありません」と話します。

「(左回りの傾向は)右に肝臓があるからでは。心臓よりもずっと大きい肝臓がひっかかると考えれば説明できます」

京都大学教授の小田さんも「人体構造説」を説きます。その論拠は野球。投げ終わった後で一塁(左)側に傾く右投手はたくさんいますが、三塁(右)側に傾く左投手には、なかなかお目にかかれないことです。「利き腕に関係なく、左足に体重が乗る動きが理にかなっているに違いない」小田さん。「肝臓が右にある分、人間は右の方が重いのかも。仮説ですが、バランスを取るために左に重心が移る習性があるのでは」

右回りの「計算」

人は左に向きやすいと考え、仕事に応用する人もいます。東京メトロの駅ビル事業を企画するメトロプロパティーズ(東京・台東)企画部長の鶴岡さんは商売柄、人の動きを観察し、「人間は左に回りやすいとずっと思っていた」。だから鶴岡さんは人の流れの左側に店を置くといいます。『左の方が人の視界に入りやすいはず。「左」は僕のキーワード』と言い切ります。

鶴岡さんが手掛けた「渋谷マークシティ」三階のスターバックスコーヒーはJR渋谷駅側から来る人の左側。東京メトロ表参道駅の地下構内にある、一日平均4000人ほどが訪れる「エチカ表参道」のフードコートでは、食事を終えた人が通る道の左側にスイーツの店を配置、持ち帰りの客を誘います。

「ファーストフードのレジも銀行のATMも、利用が終わったら左に出る形が多いでしょ」。今更何をと話すのは、都内などで時計専門店を展開するベスト販売(東京・新宿)の石田社長です。同社の店舗は「石田流左周回理論」を逆手にとったつくり。お客が右回りに回遊しやすいようにレイアウトしてあるのです。「左回りは動きやすいので早く回ってしまう。効率を求めず、ゆっくり見てもらうには右回り」。時計と同じ右回りだと、壁際の商品はお客の左手にならび、見やすいことも計算のうちです。

もちろん人の動きを決める要素はさまざまです。「群衆に従う人もいれば、逆らう人もいます。個人差はあります」(建築人間学が専門の若井日本大学教授)。

「左右論」は一つの要素に過ぎないことを承知の上で応用例を考えてみるのも楽しいです。例えばビラ配りは来る人の左側に立つ方が受け取ってもらいやすいのでは、などと想像は広がります。

京都大学の小田さんは「左回りが多い回転ドアを右回りにすれば、少し慎重になって事故がへるのでは」と提案します。実験する価値のあることは意外に多いのかもしれません。

2008年5月12日 (月)

インドでストリートデンティスト規制の動き

本日は、デンタルトリビューン5月号よりお届けいたします。

インドでストリートデンティスト規制の動き~課題は歯科医の不足

(インド)世界レベルの医療観光産業を立ち上げようとしているインドでは、ニューデリー市らで見られる路上で診療を行う歯科医(ストリートデンティスト)が問題になっています。

インドでは、2010年にコモンウェルスゲームズ(イギリス連邦に属する国や地域が参加して4年ごとに開催される総合競技大会)の開催が予定されており、それにあわせて首都の路上から彼らを一掃しようと、当局による厳しい措置が取られています。

特に、ニューデリー市やムンバイ市のような大都市では、当局による取り締まりの強化に加え、免許を持つ歯科医の急増とHIV/AIDSへの関心の高まりによって、ストリートデンティストは減っているのだそうです。

歯学部卒業生の多くが英国へ流出、無資格歯科医の拡大を招く

インドでは、毎年200校の歯学部から1万3,000人の歯科医が卒業しています。それにも関わらず、免許を持った歯科医は依然として不足事態です。インドの熟練した歯科医のほとんどは、国外、特に有資格歯科医の需要が高い英国に職を求めるためです。

世界保険機関(WHO)の推計によると、インドの農村部では、歯科医の割合が住民2万25,00人に対してわずか1人となっており、これが無資格の歯科医に活躍の場を与えることになっているとされます。

しかし、歯科医を管理監督する国家機関であるインド歯科審議会では、国内のストリートデンティストの実数を把握していません。路上での歯科検診は違法とされていますが、これまでは黙認されてきました。

WHOは、2003年にルミ・ナードゥ州のチェンナイの児童を対象に行われたインドの歯科衛生状況に関する調査に触れ、「平均年齢12歳の子供の齲蝕数、欠損歯数、充填歯数の平均が、世界で1.6本であるのに対して3.9本であった」と指摘しています。

さらに、栄養状態の悪さや、不適切な口腔衛生によって、平均的なインド人で60歳までに9本、75歳まででは18本の歯を失っていることが明らかになっています。

2008年5月10日 (土)

鼻呼吸で花粉症の症状和らぐ

本日は日本経済新聞平成20年2月3日分「健康」版からお届けいたします。

「鼻うがい」で口呼吸を回避

風邪や花粉症で鼻がつまると、ついつい口で呼吸をしてしまいます。しかし、口呼吸に頼ると、体の細菌への抵抗力が弱くなり、症状を悪化させることにもなりかねません。「鼻うがい」をすると、鼻から吸って吐くという呼吸の基本動作を取りもどすことができます。

利点の多い鼻呼吸

嗅覚(きゅうかく)ではなく呼吸器としての鼻には、「浄化」「加湿」という三つの機能があります。

ほこりや細菌、ウィルスなどが混じった空気は鼻から入ると鼻腔(びこう)にびっしりとはえた細く長い繊毛と、それを保護する粘膜の力を借りて、きれいになります。

繊毛の表面についた細菌は、繊毛のしなるような動きで40分から1時間かけてのどから食道を通り抜け、胃に流れ落ちます。細菌の病原性が出る前に胃の中で死滅するために感染が防げます。

冬場の冷たい乾いた空気も、繊毛と粘膜によってセ氏30度まで温められ、湿度も90%と、のどや肺に刺激のない状態に変わります。

利点の多い鼻呼吸ですが、忘れてしまって口呼吸している人は意外と多いのです。かぜや花粉症による鼻づまり以外に、鼻のリンパ組織「アデノイド」の肥大化や、肥満などが原因です。

口をポカンと明けている機会の多い人や、意識して口を閉じると息苦しさを感じる人は要注意です。

今の季節、口呼吸をすると、ホコリや細菌の混じった、冷たく乾いた空気がそのまま気管や肺に入り込みます。のどには「浄化」「加湿」「加温」の三機能はありません。細菌などは繁殖しやすいのです。

口呼吸は花粉症を悪化させる要因にもなります。

東邦大学医療センター大橋病院の大木幹文・准教授は「花粉症を訴える人の4割は家のホコリやダニに対してもアレルギーがあります。いつも口呼吸で鼻粘膜が荒れているため、花粉の影響も受けやすいのです」と解説します。

そこから抗原となる花粉が体内に入り、鼻水やくしゃみなどの症状が悪化、さらに口呼吸に頼らざるをえないという悪循環に陥ります。

部屋の湿度が20%以下になると鼻の中は乾いてしまいます。繊毛の働きが鈍ります。マスクを付けたり加湿器を使ったりして乾燥を防ぐのも手ですが、鼻うがいをするとゴミや花粉の除去にもなります。

使うのはセ氏37~38度のぬるま湯です。粘膜が刺激されて「ツーン」と痛くなるのを防ぐため、体内の状態と同じように塩分を含んだ生理食塩水にします。濃度は水1リットルに対して9グラム。毎回計るのが面倒な人は、しょっぱさを味で覚えて、それを目安にするのも良いでしょう。

水が垂れることもあるので、胸にタオルなどをあて、洗面所で顔を少々前にだした姿勢で行います。

一方鼻の穴を人差し指でふさぎ、もう片方の穴から吸い込みます。最初は水中に潜ったような息苦しさを感じます。急いでやるとむせることもあります。落ち着いて口で息をしながらやるのがコツです。

うがい後、何かが残ったような感じがするかもしれませんが、鼻を軽くかむくらいにとどめましす。強くかんだり、初心者が無理に鼻の奥まで吸い込んだりしようとすると、水が耳に入って中耳炎を招くこともありますから気をつけましょう。

1日1~2回

西端耳鼻咽喉科(東京・千代田)の西端慎一院長は「入れた水を口から出さず、鼻から出すだけでも十分効果があります」と語ります。ほこりや花粉を洗い流せるだけでなく、粘膜の乾きを防ぎ、繊毛の働きを改善できるからです。のどに落とすのは十分に慣れてからで十分だそうです。

ただ、鼻うがいのやりすぎはよくありません。粘膜がなくなる恐れがあります。あまり丁寧に洗いすぎないよう、一日1~2回、外出から帰ったときや起床時にやるのが理想です。

大木准教授は「鼻はとてもナーバス。爽快(そうかい)感を求めてはだめ。やっていて物足りないぐらいがちょうど良い」とアドバイスします。

2008年3月18日 (火)

吸わない妻は危険性2倍

本日は、福島民報 平成19年12月13日の記事からお伝えします。

自分はたばこを吸わないのに夫が吸う女性は、夫も吸わない女性と比べ肺腺がんになる危険性が約2倍高まるとの免疫調査結果を、厚生労働研究班(主任研究者・津金国立がんセンター予防研究部長)が12日(平成19年12月)発表しました。

夫の一日の喫煙量が20本以上だと、リスクがさらに高まるといいます。同センターの最新の推計値によると、2001年に肺がんを発症した女性は2万1千人あまり。別の調査では、肺がんの女性の約70%は非喫煙者とのデータもあります。

調査は岩手、秋田など全国八県の40~69歳のたばこを吸わない女性約2万8千人が対象。平均13年間の追跡調査で109人が肺がんと診断されました。

このうち肺腺がんだったのは82人で、さらに夫が喫煙者、もしくは以前喫煙者だった女性は67人。統計学的な計算によると、30人は受動喫煙がなければ肺腺がんにならずに済んだはずだという。肺がんにも最も発生頻度の高い腺がんを含め4種類ありますが、肺がん全体でも、受動喫煙でリスクが高まる傾向があったといいます。

2008年3月 6日 (木)

かかりつけ医

本日は、日本経済新聞 平成20年1月20日分の「医療」の中の「駆ける」からお届けいたします。

「かかりつけ医」対話が生む信頼

体の変調をまず診てもらい、治療から専門病院の紹介まで行う「かかりつけ医」。

高度に専門化した現代医療で効率的な受診体制を支える縁の下の力持ちとして注目が集まっています。

医師としての活動の他、寺下医学事務所(東京・千代田)で会員制のかかりつけ医制度である「主侍医倶楽部」を主宰、早くからその有効性に注目してきました。

スタートは1990年。会員は健康な頃から健康相談が出来るほか、病気になった場合は治療に最適と思われる医師を千人程度の中から紹介してもらえるユニークな仕組み。

原則、自費診療で利用料金は高いですが、主旨に賛同した50人以上が参加しています。

参考となったのは皇室の手厚い医療体制。医師団を抱え、皇族の健康維持につとめるほか、病気となった場合は治療方針を相談して決めます。「本人は安心して医師団に任せられる」。

こういう仕組みを一般にも広げられないかと考え、主治医ではなくあえてそばにいる主「侍」医と呼びます。

相談で多いのは「がん」「心の問題」で、全体の八割程度を占めます。なかでも印象に残るのが「末期の肝臓がん」と診断された患者のケース。ある病院で「治療が難しい位置にある。もって数ヶ月」と言われたけれども、がん治療の専門家を紹介し検査をやり直したところ「手術は可能」との結論が出たと言います。

健康な時から行くことが出来るため患者との信頼関係を築きやすいのです。「あなたが病気にならなければ私はゆっくりできる。たばこをやめたらどうですか?」と冗談めかして言ったところ、複数の会員が禁煙に成功しました。

「医療に触れる敷居が低くなり、病気の早期発見がしやすい」。

無駄な診療が減り医療費の抑制につながることもあります。「紹介される医師が良い意味の緊張感を持つ」ことで、良い医療を受けやすくなる利点もあります。

「昔は医師は患者から感謝、尊敬の念を励みに頑張ってきた」が、今は十分な信頼関係を築けているとはいえません。

「医療はあくまで患者を治療するためのインフラ」と語り「(医師と患者との)対決型ではなく、対話型の医療にすすむべきだ」と提言しています。

2008年2月22日 (金)

人ごとではない突発性難聴

本日は、日本経済新聞平成20年2月9日分「元気悠々」からお届けいたします。

人ごとではない突発性難聴

ある日突然、片方の耳が聞こえなくなる「突発性難聴」。

はっきりした原因も分からず、有効な治療法も確立していないこの病気は「そのうち治るだろう」と軽くみると、取り返しのつかないことになりかねないのです。

いわば時間との勝負。早めの診療と、心身を安静にし、過労とストレスを早く除去することです。

「実は去年、耳の検査をしてもらったのだけど、左耳は完全に機能しておらず、治療の術はないと診断されたんだ」

歌手の浜崎あゆみさんがブログにこう書きつづったのは初年のこと。大晦日のNHK紅白歌合戦に出場した直後の「告白」だけにファンは衝撃をうけました。

「病院に行こうと思ったのは、自分の耳に確実に異変が起きているのを感じたから。(中略)ぶっちゃけ私は、心のどこかで、手術なりを受ける時間さえ取りさえすれば、また聞こえる様になるんじゃないかと思っていた」。

彼女自身も所属事務所も病名は公表していないが、症状は深刻です。

難聴とひと言で言っても、コンサートやヘッドホンでおおきな音を聞いたことで発症する急性音響性難聴や、爆発の破裂音などで耳を痛める音響外傷、さらに、長年、騒音が激しい工場や職場で起こる騒音性難聴など様々。なかでも、理由もなく、誰でも起こりうる病気が突発性難聴です。

突発性難聴は、健康で耳の病気を経験した事のない人が、ある日突然、片方の耳が聞こえなくなる病気です。急激な難聴の悪化に、ほとんどの患者は発症した時期を「何月何時の何時頃」とはっきり覚えているのがこの病気の特徴でもあります。厚生労働省のが指定する123ある難病の一つに数えられ、1993年の国内の推定患者数は年間約2万4千人でしたが、2001年は3万5千人と増加傾向にあります。

「両耳同時に聞こえなくなるケースはまれでほとんどの人は耳鳴りを伴います。しかも遺伝的な要素もありません」とは同省の調査研究班班長で東京医科歯科大学大学院の喜多村健教授。

男女の差もなく、強いて言えば発症前にストレスや疲労感を抱えていたことが多いくらいです。

典型的なケースはこうです。20代後半のあるサラリーマンは、時間外勤務と寝不足が続いたある日、朝起きると左耳が詰まった感じがし、耳鳴りが響きました。起きあがるとふらつき、しばらく様子をみていたけれど、改善する気配がないため、病院に駆け込みました。医師は入院治療をすすめ、結局1週間治療を行った結果、聴力はなんとか8割まで回復したといいます。

では、原因は何か?一般的に唱えられているのは「ウィルス感染症」と内耳血管のけいれんや血栓などによる「内耳循環障害説」の二つ。

前者では内耳の蝸牛(かぎゅう)がウィルスに感染したとして、副腎皮質ホルモンなどのステロイド剤を投与します。

一方、循環障害説では、耳の血管が細くなり、必要な酸素が運べなくなり機能が低下したと想定。血液中の酸素濃度を増加させるための高血圧酸素療法や、血管を拡張させるための治療が施されます。両療法を同時に行う“カクテル療法”もあります。

「ただ、治療は発症から2週間以内に始めるべきだ。これを過ぎると改善率が下がることもある」と早期の受診を呼びかけるのは慶應大学医学部の小川郁教授。医師に安静が必要だと診断されたら、仕事を休める環境に即座に身をおくこと。休めない人は、思い切って入院するうなど、医師と相談し早い段階で対応を決めるよう忠告します。

それでも、治療を受けて完治するのは患者の3~4割程度。1~2割のケースは治療を受けても症状は変わらないといいます。残りの患者は、難聴や耳鳴りなどの症状が多かれ少なかれ残ってしまうだけに早い対処が求められます。

原因が明確ではない以上、これといった対策はないのですが、耳を大切にする方策としては、大きな音で音楽を聴くなど、耳を酷使することは普段からさけること。さらに、循環障害の引き金となる生活習慣病には気を付けるほか、自分の体と“会話”をし、ストレスをためないように心がけるしかなさそうです。

2008年2月20日 (水)

家庭内での感染を防ぐには

本日は、日本経済新聞平成20年2月9日分の「家庭常識」の(折々の知恵)からお届けいたします。

発病者にも他の家族にもやさしい過ごし方

風邪やインフルエンザが蔓延するこの季節。家族の誰かがかかり、その後一家にうつり、枕を並べてしまうという事態を食い止める対策はないものでしょうか。

「お姉さんのインフルエンザを今度は弟がもらちゃって」。東京都練馬区在住の会社員山野さん(40、仮名)は長引く看病に、仕事のやりくりが大変だと困り顔。兄弟や自分にまでうつると目も当てられません。

子にうつされる母

興味深い数字があります。日本臨床内科医会インフルエンザ研究班の副班長で川崎市の小児科医、廣津伸夫さんが調べたものです。2001~2006年の5シーズンにインフルエンザに感染し、廣津さんが診た患者約1600人のうち、610人が家庭内感染にかかわり、家族内に感染率は9.7%でした。

市中感染率は約4%なので、家族間の感染は高いです。なかでも子供にうつされた母親は約75%に上ります。

感染予防策の第一は予防接種を家族全員で受けること。接種効果に疑問をいだく人もいますが、国立感染症研究所感染症情報センター(東京・新宿)の主任研究官で医師の安井良則さんによると、感染を防ぐことは出来ないが、ある程度、発病を阻止するし、重症になるのを防ぐことは出来るといいます。

次ぎに発病者にはマスクをしてもらいます。市販されているガーゼマスクやサージカルマスクでいいです。

インフルエンザはくしゃみなどの飛沫(ひまつ)で感染するため、マスクで飛沫の量を減らせます。他の家族もマスクをします。発病者はふすまなどで仕切った別室で寝起きして、タオルを共用しないなど家庭内でもあるていど隔離したほうが良いでしょう。

タミフルを飲んだ後の異常行動やインフルエンザ脳症といった不測の事態もあり得るので、「子供が発病した場合は、母親など看病する人はそばで様子を見る」ほうがいいでしょう(安井さん)。

ふすま程度で、と侮る事なかれ。「03年に開業以来、他の子供にうつった例は一件もない」と話すには、病児を預かる専門施設みるく病児保育室(熊本市)の永野和子室長。同じ病気の子供だけ集めて部屋をふすまでしきって隔離します。担当の保育士は手洗いやうがいなどを徹底し、効果を上げているといいます。

この冬も猛威を振るったノロウィルス感染症も怖いです。嘔吐(おうと)した時の飛沫などからも感染し、感染力も強いです。流行時期に家族の誰かが嘔吐したら、ほかの家族とは別の部屋で安静にさせ、タオルや食器などを消毒せずに共用しない。

嘔吐物の処理に当たるときはゴム手袋をして、汚れた衣類などをまとめ、その箇所を50~200倍に薄めた塩素系漂白剤で消毒。使った手袋はすべてビニール袋に入れて密閉し、二重に包んで捨てます。もったいないけども、洗うと今度は洗面所などにウィルスが飛び散り、感染する恐れがあります。

流水で手を洗う

手は液体石けんを使い流水で洗い流します。また、発病者が嘔吐した場合は、部屋の空気を入れ換えます。

「看病にあたる機会の多い母親はどうしてもうつりやすい」と安井さん。結局は免疫力を高めるしか手だてはありません。免疫系の活力を引き上げるというアミノ酸のシスチンとテアニンを配合した補助食品も近頃販売されました。

マクロミルを通じ、20~50代の子供がいる女性1000人にインターネットにて感染対策を聞いてみたところ、1位は「マスクをしてもらう」(721人)でした。以下、「温かくして早く寝る」「咳(せき)やくしゃみをするときは口を押さえてもらう」「室温を保ちながら空気を適度に換気する」などが続きました。

知っているようでしらないうつさないための知恵。地道な作業を徹底して積み重ねれば、少なくとも看病する人以外への感染は防げるはずです。

食事はどうする?

熱が高く食欲がない時。「スポーツ飲料など糖分が入った水分を十分にとらせる」とは廣津さん。繊維の多いオレンジジュースなどは避けます。

無理に食べさせることはないといいます。気になるのは口当たりが良くカロリーもあるアイスクリームなどがいいです。

嘔吐する風邪のときはあわてて水を飲ませがちですが、これもダメです。「余計に嘔吐してしまうので、まずは吐き気止めの処置をしてもらう」と安井さんはいいます。

嘔吐を繰り返すと脱水症状を招きやすいので、落ち着いて対処することが大切です。

2008年2月10日 (日)

ガムの味は何分続く?

本日は、日本経済新聞 平成19年10月27日分に掲載された「生活物語」の中のニッポン適量考からお届けいたします。

ガムの味は何分続く?

ストレスの多い現代社会。

ガムを噛んで心を落ち着かせる場合も多いです。そこで、気になるのがガムの「味持ち」の時間。

味はどのくらい続くのかーーーー。

味覚には個人差があるが、記者(38、男)が毎分90回前後かみ続け、ガム一枚(一個)を捨てたくなった時間を比べてみました。

まず気が付いたのがミント味とフルーツ味の違い。

板ガムタイプのロッテのロングセラー、グリーンガムと梅ガムは、それぞれ5分半と4分でした。他社商品の同じブランドも、ミント系の方がフルーツ系よりも長い結果でした。

ガムの味は砂糖やキシリトールなど糖原料の甘みを主成分に、香料などを微調整して作り込みます。フルーツの風味を出すのが酸味料です。けれども「酸味料は酸っぱいために添加できる量が限られ、口溶けもしやすい」(ロッテ)。

このため、噛みはじめは風味が強いが、すぐに味が薄くなりやすいのがフルーツ味のようです。

もちろん、最近はその商品も味持ちは長くなっています。きっかけは人工甘味料の普及です。

従来は3~5分が主流でしたが、粒ガムのクロレッツXPオリジナルミント(キャドバリー・ジャパン)、キシリッシュ・クリスタルミント(明治製菓)は、違和感なく十分以上噛んでいられました。

メーカーにとって、「味を長持ちさせるのは永遠の課題」(キャドバリー)。

砂糖の約200倍の甘みがあるアスパルテームなどの高甘味度甘味料を簡単に口溶けしないように加工し、甘みを徐々に出させる工夫などをしています。

米国には30分もつという商品もあり、「口腔内賞味期限」に競争はまだまだ続きそうです。くれぐれも食べ過ぎにはご用心。

2008年2月 8日 (金)

医師が学ぶ「告知術」

本日は、日本経済新聞平成19年11月18日の「医療」に掲載された記事です。

医師が学ぶ「告知術」

「治らないのですか」「死ぬのですか」。

ガン患者から聞かれた時、医師はどんな言葉を返すべきか-。

ベテラン医師でも困る場面ですが、患者の心情に気を配りながら、病名や再発などの悪い知らせを上手に伝える「告知術」を医師に学んでもらう国の取り組みがスタートしました。

今月(平成19年11月)8,9日、仙台国際センター(仙台市)で開かれた研修には全国から16人の医師が参加。

模擬患者を使ったロールプレーでは、ガン患者の心のケアの専門家から「沈黙の時間を共有することも大事」「決して患者を見放さないことを伝えるべき」などの指摘がありました。

山形県立中央病院(山形市)の斉藤博医師(59歳)は「専門用語を無意識に使っている事に気が付いた」。関西医科大枚方病院(大阪府枚方市)の宮崎浩彰医師(44歳)は「若手にスキルを伝えたい」と話していました。

歯科でも最近は「メディカル・インタビュー」という同じような学問が生まれています。ただ病気を治すだけではなく、心のケアも忘れてはいけないということなのかもしれません。

2008年2月 7日 (木)

食後高血糖

本日は福島民報平成19年11月25日のサンデー健康の中の健康歳時記からお届けいたします。

食後高血糖

糖尿病。

誰でも知っている病気ですが、正しく理解している人は以外に少ない。一昔前では「いったん発症hした糖尿病は治らない」といわれました。

今は違います。

生活習慣病によって起こる2型糖尿病は、早朝にきちんと対処すれば、確実に発症前の状態に戻せると専門家が保証しています。

2型糖尿病の最初の兆候は、まず食事の後だけ血糖値(血液中のブドウ糖の量)が上昇する「食後高血糖」として現れます。空腹後も、食後も、いつでも血糖値を正常域に保つ能力を耐糖能といいますが、対糖能に乱れが生じ、食後のみ血糖値が高くなります。

この時期に適切な治療を受け、糖尿病を発症させた生活習慣病を改めると、発症前の状態に戻せるといいます。つまり「糖尿病が治る」訳です。

それには食後の血糖値を知る必要があります。正常な人なら空腹時の血糖値は70ミリグラム~100ミリグラム、暴飲暴食の後でも140ミリを超えることはまずありません。が、食後またはブドウ糖75グラムを水に溶かして飲む経口ブドウ糖負荷試験二時間後の血糖値が200ミリグラム以上だと「糖尿型」とされます。

2008年2月 4日 (月)

乳歯バンク

今日は、昨年12月7日付け、日本経済新聞12月7日の〈テクノロジー〉からの抜粋です。

名大が「乳歯バンク」設立

乳歯の中から、骨や神経などさまざまな細胞に成長する幹細胞を取り出して再生医療の研究に役立てようと、抜けた乳歯を集める「乳歯幹細胞研究バンク」を設立したと名古屋大の上田実教授らが発表しました。

大学や公共機関がこうしたバンクを開設するのは世界で初めてといいます。

乳歯バンクは、名大病院などの患者から提供を受け、乳歯の中の歯髄から幹細胞を分離して保存し、再生医療の研究に役立てることが目的。将来は、子供のころ抜けた乳歯を保存しておいて、高齢になって骨折した際に骨を再生したりする可能性があるといいます。

期待したいと思います。

2008年1月23日 (水)

足をみて健康状態を知る

本日は、日本経済新聞平成19年11月25日分健康の面よりお届けいたします。

足をみて健康状態を知る

じわじわと生活習慣病に蝕まれる体の異変が、足から表れるケースがあります。普段見舞われたことのない痛みやむくみが続くようなら要注意。一度、専門家の診察を受けるのが良いでしょう。

☆痛み

散歩やゴルフなどの最中、大して疲れていないのに急にふくらはぎが痛くなり、立ち止まったり、しゃがみ込んだりした経験はないだろうか。2~3分じっとしていると歩けるようになるが、またしばらくすると痛みが襲ってくる。

こうした走行中に突然歩けなくなる状態を「間欠性跛行(はこう)」といい、五十代以降の中高年に多い足の動脈硬化症である閉塞(へいそく)性動脈硬化症の特徴的な症状です。

閉塞性動脈硬化症は下肢の動脈硬化で血液が流れにくくなるため、初期症状では足が冷たくなったり、しびれたりします。しかし、この段階で病気だと考える人は少ないです。多くの場合、間欠性跛行の症状が出るまで異変に気がつきません。

医療機関では血圧計を使って、検査します。足首の上の血圧(収縮期)を上腕の上の血圧で割った値が0.9以下だと、足の動脈硬化の疑いがあります。

血流が流れにくくなっている事が原因で、心臓よりも遠くなる足首の血圧が下がっているからです。

ただ、家庭用血圧計で足首の血圧を測るのは難しいです。間欠性跛行のほか「手足の冷えがつらい」「足の指の色がおかしい」などの症状に心当たりある人は、一度検査を受けるとよいでしょう。

東京医科大学の重松宏教授は「閉塞性動脈硬化症は全身の動脈硬化症の窓」と言います。患者は、脳や心臓の血管でも動脈硬化が進行していることが多いです。海外の追跡調査では、患者の約6割に足以外でも動脈硬化があったといいます。

「間欠性跛行の症状をもつ患者の5年生存率は約7割。乳ガンより悪く、大腸ガンと同じレベル。早めに気づいて専門医に診てもらってほしい」と重松教授はアドバイスします。

☆むくみ

立ち仕事が続いたり夜遅くまで働いたりすると足のむくみが気になります。いつもはふくらはぎがむくみますが、見慣れないところに症状が表れたら、腎臓や心臓などに異常があるかもしれません。

見分けるコツは「弁慶の泣きどころなど、日頃むくみにくいところをみる」(慶應大学医学部総合医科学研究センター井口教授)。

立ちっぱなしで重力の影響を受けて起こるむくみと違い、病気による可能性が高いです。足だけがむくむ場合は心臓に、手足両方がむくむ場合は腎臓に何らかの異常がある場合があります。

立った状態でふくらはぎの内側がみみず腫れのようになったら静脈瘤など静脈の疾患を抱えているかもしれません。靴下の跡がひどい場合や寝てもとれない時は特に注意しましょう。血管内の弁の機能が落ちてむくみやすくなり、倦怠感や歩くと痛む場合もあります。

静脈瘤は日本人の1~2割が抱えています。症状が軽いため見過ごすことが多いですが、長時間坐ったままでいると血栓が出来て、命にも関わる「エコノミークラス症候群」の危険因子。覚えておきましょう。

足は第二、第三の心臓といわれ、血液を心臓に戻す働きを担います。井口教授は「足は心臓や頭から一番遠い。その経路にある体の変化や血液などの循環が悪いと、影響を受けやすく症状がでやすい」と指摘します。

☆感覚がない

糖尿病になると知覚神経が侵されて鈍くなります。足を怪我しても気が付かなかったり、冬場にストーブに近づけて温めているつもりが分からずにやけどをしたりすることもあります。

糖尿病患者は体の免疫力が弱くなるため、傷の炎症がひどくなり腫れることが多いです。悪化すると静脈や動脈がつぶれて血液が届かなくなります。最悪の場合、壊死(えし)してしまいます。小さな傷でも見過ごせません。

糖尿病治療では足の健康が特に重要です。フットケア外来を持つ病院もあります。東京女子医大学糖尿病センターの新城講師は「糖尿病患者は特に足の状態を意識するようにしてほしい」と話します。(松田省吾さん 筆)

2008年1月19日 (土)

歩けばやせる?

本日は、日本経済新聞 平成19年10月28日分の【健康】のページからお届けいたします。

歩けばやせる?

減量のために歩く人は多いが、本当にやせるのだろうか?

答えは「やせる人もいる」が「やせない人もいる」。

肥満とは体脂肪率がある一定基準以上に多いことを示します。一般的には、体重(㌔)を身長(㍍)で二回割って算出する体格指数(BMI)で判断します。

日本では25以上が肥満です。肥満といっても、体脂肪の多い人も少ない人もいます。骨太で体脂肪の少ない太った人は歩いてもやせません。

体重の増減は脂肪の分布にも関係しています。脂肪には内臓脂肪と皮下脂肪の二種類あり、内臓脂肪はウォーキングで減りやすい反面、歩かないとすぐ増えます。皮下脂肪は増加しにくいですが、一度増えると歩いてもなかなか落ちません。

肥満を内臓脂肪を主体とする内臓脂肪型、皮下脂肪を主体とする皮下脂肪型、両方多い混合型とに分類しています。

内臓脂肪型と混合型が生活習慣病と深い関連があり、内蔵型脂肪の蓄積に高血圧、高血糖、脂肪異常を伴った状態をメタボリック症候群と呼びます。

皮下脂肪型と混合型の見分け方は、肥満に高血圧か高血糖、脂質異常があるかどうかで判断、一つでも合併しているときを混合型とします。

内臓脂肪型と混合脂肪型の見分け方は、腹囲が基準(男性85センチ、女性90センチ)以上で、普通体重が軽度の肥満の場合を内臓脂肪型、かなり太っている場合を混合型といいます。

内臓脂肪型は中高年では過食というより長年に渡って日常生活で歩かない事が主の原因です。ライフスタイル・ウォーキングを習慣化出来ると歩数の増加に応じて検査値は安易に改善してきます。

皮下脂肪型は病気という観点から見ると特に減量する必要はありません。ウォーキングだけでは消費エネルギーが少なく、減量には結びつかないのです。食事制限が必要です。

混合型では「一に運動、二に食事」というように歩くことが第一。内臓脂肪が減少出来れば皮下脂肪(体重)はそんなに減らなくても検査値は改善します。ただ、改善が少ない場合や短期間で急に太った場合は食事制限も追加して減量することも大切です。(日本ウォーキング協会副会長 泉さん)

2008年1月10日 (木)

味覚を育て本物志向に

本日は、平成19年11月4日に福島民報に掲載されたミシュランの一つ星を獲得した中村勝弘さんの寄稿文です。

味覚を育て本物志向に

「飽食の時代」と言われて久しく、「食べる」ことへの関心は低下しています。しかし、このような時代だからこそ、本物の味を知り、正しい食習慣を身につける必要があるのです。

私たちは「食べ物に関する感謝の気持ちを自然に持ち、味覚を育てることが食育」と考え、十歳前後の子供達を対象にした活動を続けています。

フランス農務省から農事功労賞を受賞した料理や教育など各分野の専門家が集まった私たちの「フランス農事功労者協会(MOMAJ)は今年、東京ガスなどと協力して半年間、毎月一回の味覚教室を実施しました。

実はフランスは1970年代から国を挙げて子供に対する味覚教育に取り組んでおり、私たちはその第一人者であるジャク・ピュイゼ教授の手法を基本に、日本の風土に合わせたカリキュラムを作成しました。

具体的には私が先生になり、小学生に甘みや苦みをいった味覚や、加熱で素材の味がどのように変化するかなどを体験してもらいました。

さらに野菜や魚、肉などがどのような経路をたどって食卓に届くかなどを勉強したり、農場を見学し、その場で収穫した野菜を使って一緒にカレーを作ったりもしました。

とはいえ、今回はあくまでも試行であり、この経験を基に全国のMOMAJ会員が取り組めるようなテキストを作成する事を考えています。

食育には、栄養上のバランスに注目したり、肉や野菜がどのように作られるかを紹介したりするなど、さまざまな取り組み方があります。その中でも、味覚を磨き、正しい食習慣を体得することは非常に重要なポイントとなります。

しかし、偏食や過食など誤った食習慣を送っている人は少なくありません。これを防ぐには子供の頃から本物の味を知り、食習慣を含めた正しいマナーを身につけることが一番なのです。

例えば、さまざまな化学調味料を使ったり、素材の味を隠してしまうような濃い味付けは、刺激が強いだけに一度慣れ親しんでしまうと、なかなか抜けだすことは出来ません。

こうした味に慣れ親しむ前に、卵と酢だけで作ったマヨネーズや、季節ごとの素材の素晴らしい味を知ることが大切となります。

そしてその過程で、料理を作ってくれる人や食材そのものなどに対する感謝の心が自然に育ってくるはずです。もちろん、このような取り組みは私たち達でけでなく、家庭の参加が不可欠です。小さなころの体験は一生を左右します。そのことを忘れないでください。(MOMAJ食育担当理事)

2008年1月 8日 (火)

種実は天然のサプリメント

本日は、日本経済新聞2007年12月1日に掲載された「医食同源」からお届けいたします。

種実は天然のサプリメント

種実類は中国では古くから不老長寿食、千人食とも言われてきました。

それはコンパクトに詰まった栄養素からみると木の実は二つのタイプがあります。一つは炭水化物を多く含むくりやぎんなんなど、もう一つはタンパク質と脂肪、ビタミン、ミネラル、食物繊維を多く含むアーモンド、カシューナッツ、くるみ、松の実、落花生などです。

若々しく元気を保ち、健康を維持するのには、後者のタイプをおすすめいたします。

タンパク質と脂肪を多く含む種実は、高血圧を予防するカリウム、骨を丈夫にしたり、心筋梗塞のような心臓病を防いだりするカルシウム、マグネシウムを含有。貧血を防ぐ鉄、味覚障害を抑える亜鉛、強い坑酸化力があり、活性酵素を消化するビタミンE、炭水化物などの代謝を促すビタミンB1、B2、便秘を防ぐ食物繊維も豊富です。

種実には脂肪が多いので、エネルギーが高く、メタボリックシンドロームの原因になるのではと思う人もいますが、心配は無用です。

種実の脂肪に含まれる脂肪酸は、わずかな飽和脂肪酸、そして多くの一価不飽和脂肪酸(オレイン酸)と多価不飽和脂肪酸(リノレン酸やアルファリノレン酸)から成り立っています。

飽和脂肪酸は体脂肪や血中コレステロール値を上げる働きがありますが、不飽和脂肪酸は、むしろ体脂肪になりにくく、動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞を促すコレステロールを減少させる働きがあります。

以上の点から、アーモンドや落花生などをポケットに入れ、一日ひとつかみくらい食べたり、酒の肴にしたりするのが、健康長寿には効果的です。

2007年12月29日 (土)

カルシウム以外も骨には大切

本日は、日本経済新聞11月24日分に掲載された「医食同源」からお届けいたします。

カルシウム以外も骨には大切

骨粗鬆症の予防には、カルシウムをしっかり取るのが常識ですが、これを日常大量にとっている欧米人が、日本人より、骨粗鬆症が多いといいます。

その原因の一つとして、欧米では、カルシウム以外の骨形成に関与する食品の取り方が少ないことも考えられます。

その食品とは、マグネシウム、ビタミンD、K、C、タンパク質、イソフラボンなどがあります。

カルシウムの摂取量は、日本人は、いつも不足しがちなので、これらを多く含む、牛乳及びその加工品、大豆及びその加工品、小魚、緑黄色野菜などを十分に摂る必要があります。

また、マグネシウムも骨づくりに必要です。これはアーモンド、ゴマなどの種実類、納豆、あさり、かきなどの貝類に多いです。他にビタミンDは、腸管でのカルシウムの吸収を促し、また骨形成促進作用があります。これは、サンマなどの魚類、きくらげ、干しシイタケなどのきのこ類におおいです。

ビタミンKは、骨のカルシウムの沈着を助けます。これは納豆やほうれん草、こまつななどの緑黄色野菜に多いのです。タンパク質は、骨の構成成分であり、コラーゲンを骨格にして出来ます。このさいビタミンCが必要です。

イソフラボンは、女性の骨粗鬆症の原因になる女性ホルモン不足を補う植物性女性ホルモンです。これは大豆及びその加工品に多いです。

骨粗鬆症予防にはカルシウムを摂るのは必須ですが、他の栄養素もバランス良くしっかり摂ることを忘れてはなりません。この点、魚介類や大豆およびその加工品、緑黄色野菜などは、日本食で補いやすいです。

2007年11月28日 (水)

水ぼうそう、大人も注意

本日は、日本経済新聞11月11日 の健康面に掲載された、「1分間人間ドック」からです。

水ぼうそう、大人も注意

子供の病気と思われがちな水ぼうそうですが、実は大人になってかかる人も多いのです。

予防接種が任意であるために接種率が低く、感染者が減らないのが現状です。成人の十人に一人は抗体を持っていないという報告もあります。

水ぼうそうは、水痘・帯状疱疹(ほうしん)ウィルスによって引き起こされます。一度発症すると免疫が一生持続します。気温が摂氏25度以上だと飛沫(ひまつ)感染しにくいため、患者は夏に少なく、冬に多いのです。

大人が感染・発症すると、まず水疱がにきびのように出てきます。二、三日後には膿(のう)泡化してきて三十八度以上の熱が出ます。子供がかかる場合よりも重症になりやすく、入院することもあります。

妊婦が妊娠二十週までの感染すると胎児にうつることもあり、約二%の確立で先天性水疱症になります。また、乳幼児の帯状疱疹を招くこともあるので注意が必要です。

東京慈恵会医科大学付属青戸病院の本田まりこ教授は「まだまだ成人の患者は増えるでしょう。水ぼうそうにかかったことのない人は、ワクチンを打っておくことがなにより大事です」と言います。

2007年11月16日 (金)

ピロリ菌除去広がる

口は、体の消化器官の最初の所です。そのため、消化器系の話は歯科に関係があると思い、今回はピロリ菌を取り上げます。

テキストは日本経済新聞10月28日分健康面からです。

ピロリ菌除菌広がる

五十歳を越す日本人の六割以上がピロリ菌に感染しています。感染者は胃潰瘍(いかいよう)だけでなく胃ガンになりやすいとする研究報告が相次ぎ、予防目的で除菌する人が増えています。

群馬県沼田市の飯田武一さん(67)は、近くの公民館でピロリ菌の感染有無を調べる尿検査を受けました。胃の調子は良好でしたが、結果は陽性。病院で薬をもらい一週間飲んだところで除菌出来ました。

「ガンのリスクが一つ減って安心しました」と喜んでいます。

胃炎は保険適応外

沼田市の利根保険生活協会同組合は、数年前からピロリ菌除菌の普及活動に取り組んでいます。地域の集まり「班会」に利根中央病院の検査技師が出向き、ピロリ菌について説明し、その場で検査します。

ピロリ菌除菌が保険適用になるのは、胃か十二指腸に潰瘍がある場合だけです。飯田さんのようなケースでは自己負担になります。

費用は病院や検査の種類で異なり、五千~三万円程度です。

保険診療とは一緒に実施できないため、利根中央病院は自費診療の窓口を設けています。担当の大野順弘医長は「ピロリ菌がいれば必ず胃炎は起きています。除菌で胃炎は良くなり胃ガンのリスクも下がります。」と話します。

一般的にピロリ菌除菌は胃酸を抑える薬と二種類の抗菌薬を一週間服用します。これで八割除菌できますが、出来なかったら薬を変えてもう一度除菌します。

服薬中は下痢や、味覚が変わるなど副作用が起きる事があります。ごくまれに薬剤過敏症で入院が必要になる人もいます。

また、除菌後は胃の粘膜が回復して胃酸が強くなるため、約一割の人に逆流性食道炎が起きます。臨床研究として新しい方法で除菌を実施している病院もあります。

例えば、慶應大学病院は、通常二度の除菌で効かなかった人を対象に、別の抗菌薬で対応する研究を進めています。除菌代は無料ですが、条件に合わないと参加できません。

ピロリ菌と胃ガンの関係はどこまで広がっていくのでしょうか。

ガンの危険性高く

厚生労働省の研究班によると、ピロリ菌に感染した人が胃ガンになるリスクは、感染していない人の5~10倍で、胃ガンの患者の九十四%がピロリ菌に感染していました。最近、日本人の大半は、ピロリ菌に感染すると胃ガンになりやすい遺伝子を持っている事も明らかになりました。

一方、中国で行われた大規模な調査では、除菌した人としていない人では、胃ガンの発症率が変わらないとの結果が出ました。

慶應病院の鈴木秀和専任講師は、「胃炎が進んで粘膜が萎縮すると、除菌しても遅いのではないか」と推察します。

ピロリ菌が胃ガンのリスクを高めるという点では、専門家の意見は一致します。けれども、いつ除菌すればどの程度胃ガンを防ぐことが出来るのかは、決着がついていません。

症状や期待される効果、コストや副作用を考え、各自が判断するしかありません。

ピロリ菌の検査は、人間ドックなどでも受けることが可能です。除菌は消化器の専門医に相談すると良いでしょう。

社会保険滋賀病院(滋賀県大津市)の中島滋美検診部長が三月、専門医にアンケート調査した所、胃ガン予防を含めて七割弱は保険外で除菌した経験がありました。

「専門医の間では保険外の除菌が一般的になっている」(中島部長)

日本ヘリコバクター学会は、保険外で除菌する際の条件を検討しました。効果だけでなく、治療の限界や副作用も患者に説明し、文書で同意を取ることにしました。今後医師らに周知しtていく考えのようです (文 古田彩さん)

2007年11月12日 (月)

C型肝炎治療2

昨日の続きです。本日も日本経済新聞11月4日分 「医療」欄からお届けいたします。

「共存型」も模索も

徹底したインターフェロン投与によってウィルスをゼロにすることも出来るが、よりマイルドな方法の模索も続いています。

姫路赤十字病院(兵庫県姫路市)の奥新造晃内科部長は「ウィルスよりも体の免疫力の方が上回るようにしておけば、肝炎の発症を防げる」

インターフェロンについても「打てる範囲で打てばいい」との考えです。

使用量を抑えれば、副作用を減らすことが可能です。高齢者などこれまで投与が難しいとされた人もインターフェロンを使えるようになりました。奥新部長は「他の病院で副作用を理由に断られた人が、うちの病院で使えると分かると表情がやわらぐ」と話します。

副作用を抑えるため、一日分を二回に分けて点滴することもあります。解熱性鎮痛剤を事前に飲んでおけば、不愉快も抑えられるといいます。

患者の意思の尊重を含め、効果的な治療法の模索が続く中、国は高額のインターフェロンより治療に対する助成策を検討中。インターフェロンより効き目のある新薬の治験も始まっているといいます。

佐田教授は「国には医療費のい手当を是非お願いしたい」と強調します。ある女性患者は「インターフェロンが効かない患者への助成策も考えて欲しい」と柔軟な対策を求めています。

ことば

インターフェロンとは

体内で作られるタンパク質。ウィルスに感染した細胞が、ウィルスと戦いに備えるために薬に立ちます。細胞がインターフェロンを受容すると、複数の酵素を活性化させ、ウィルスの増殖を抑えるように作用します。

体内で自然に作られるインターフェロンだけではC型肝炎に対抗出来ないため、人工的に作り出したインターフェロンを体内に注入する必要があります。ペグインターフェロンは別の物質を結合させ、効果が長く持続するよう改良されたものです。

受診率、3割にとどまる

誰でも感染するおそれがあったウィルス。「沈黙の臓器」と呼ばれる肝臓に襲いかかったその対策として、国は検診で潜在患者の発見を進めます。2002年度から年数十億円単位の大型予算を組んでいますが、思ったように検診は進んでいません。

四十歳以上が対象のウィルス検診の受診率は、02年度から五年間で約三割にとどまっています。

検診は老人保健法に基づき四十~七十歳の主婦や自営業など国民健康保険の加入者が中心。五年ごとの節目に受診できることになっています。

02~06年の対象は、約二千三百八十万人でしたが、受診したのは約八百六十万人でした。「陽性」の人の割合は毎年1%前後。厚生省は「感染に気づかなければ、肝臓ガンに進行するおそれがあります。自覚症状がなくても是非、受け手欲しい」と呼びかけています。

老人保健法に基づく検診以外でも、全国の保健所で昨年四月から、無料でウィルス検診を受けられるようになったほか、各企業の健康保険組合も個別で検診を実施しています。

2007年11月11日 (日)

C型肝炎治療1

本日は、歯科の治療と関係の深いC型肝炎治療について、日本経済新聞11月4日分 医療の欄からお届けいたします。

C型肝炎治療 医療現場、地道な努力続く

救済策や国の責任などをめぐるニュースが絶えないC型肝炎問題。永田町まで巻き込み加熱する議論の一方で、インターフェロンなどを使った地道な治療が続けられています。原因となるウィルス感染者は百五十万人ぁら二百万人と推定され、気づかず進行すれば肝臓ガンになるおそれもあります。

感染に気づいている人は限られ、健診の受診率向上は緊急の課題です。“二十一世紀の国民病”ともいえる肝炎治療・検診の最前線を追いました。

感染経路は汚染された血液製剤の他、輸血や注射器の回し打ちなどが主な原因として考えられますが、未解決な部分もあります。

血友病患者に被害が集中した薬害エイズと異なり、原因不明の分も含め、出産や手術時の止血など感染事例は多岐にわたります。1980年代後半に感染のピークがあったとされ、新たな感染はほとんど見られなくなりましたが、放置すれば肝硬変から肝臓ガンに移行する事もあります。

肝臓ガンで年間死亡する約三万五千人のうち、約八割もがC型肝炎ウィルスが原因とされています。

主な治療法は三つ。インターフェロンなど坑ウィルス剤でウィルスを除去する「根治型」、炎症を抑え肝臓の繊維化を防ぐ「共存型」、肝ガンの早期発見と早期治療で延命を図る「対処療法型」です。

「根治型」で最も推奨されているのはインターフェロン「ペグインターフェロン」と坑ウィルス剤「リバリン」との併用です。

効果に不安の声

ただインターフェロン治療には坑鬱や間質性肺炎などの副作用の懸念もあります。厚生労働省も「適切な判断に基き、治療方針を選んで実践することが最も大切」と専門医の判断の重要性を訴えています。

その適切な治療を巡って患者の悩みは大きいのです。肝臓ガンの進行した男性は「医者から『インターフェロンは効かない』と言われた。ウィルスの数値が下がるかもしれないので、使ってみたいのだが、どうすれば良いのか」と医師との考え方の違いについて悩みをうち明けています。

一方で、別の患者は「副作用に気を付けつつ、インターフェロンでウィルスを押さえ込んでいる」と話します。

治療費が年間約八十万と高額になるケースもあり、この治療法に踏み切れない患者も多いのです。

厚生省が2004年度に実施した調査では、検診で「陽性」とされた約一万三千人のうち、インターフェロン治療を受けた人は約二百七十人にとどまりました。

「副作用が怖い」「お金がかかる」。久留米大学医学部(福岡市久留米市)が、ある地域のC型肝炎ウィルスの感染者を対象に行った調査でも、インターフェロン治療を勧められながら断った理由の多くはこうした回答が占めました。

調査では専門医と非専門医の認識の差も判明しました。肝臓の専門医がいる病院では約九割の患者にインターフェロンを勧めていたが、専門医のいない診療所などでは三割にとどまりました。調査を実施した消化器疾患情報講座の佐田通夫教授は「専門医の受診をまず受けてほしい。副作用を心配する患者さんもいるので、医療機関としても精神科と連携するなどの対策をとるべきだ」と現場の悩みも指摘しています。

明日へ続きます。

2007年11月 7日 (水)

腸内細菌丸ごと調べる

本日は、日本経済新聞10月7日分の「かがくCAFE」からお届けいたします。

腸内細菌丸ごと調べる

「私たちが知る微生物は氷山の一角です。地球にすむ微生物の0.01%しか知らずに生命のシステムは理解出来ません。」

人間の体内や海中、土の中にいる微生物を分離せず、丸ごとまとめて遺伝情報(ゲノム)を読みとる新しい研究手法が注目されています。

この「メタゲノム」とと呼ばれる手法で人の腸内細菌を調べ健康診断などに応用を目指しているのが東京大学の服部正平教授です。

「これまで遺伝子を調べることが出来たのは培養で増やせる微生物だけ。実はほとんどは培養出来ません。培養出来るものも、出来ないものも区別せず、例えば海水1リットル中、土壌1グラム中の微生物群の遺伝子を丸ごと調べるのがメタゲノムです」

--ごちゃ混ぜにするとどの微生物の遺伝子だか分からないのでは?

「見つけた遺伝子を手がかりにしてその持ち主の微生物を探し出すことは出来ます。また単純な構造の微生物体を人工的に合成して、有機遺伝子を組み込む事もできるようになりつつあります。」

--この研究の目的は

「ひとつは宝探し。ペニシリンをはじめ多くの薬が微生物から見つかりました。新薬のネタが見つかる期待が